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女子も人数はいるが流石に紅白戦をやるだけの人数ではない。
僕は軽く頷いて。
「僕じゃ相手にならいんじゃない?」
「いつも、副審やっているもんね。審判やるぐらいだから経験者だよね」
まさか、初心者で高校になってから始めたとでも思われたのだろうか。高校から始めたやつの中にも2年になると試合に出始めた奴も出てきたから、威張れることじゃないけど。僕は中学からやっています。
とりあえず、経験者でもたいしたことのない僕は苦笑いを浮かべた。
「まあ、ルールは知っているんだろうし。毎日ボール蹴って基礎練習しているんだから最低限できるよね。」
彼女の最低限がどれほどのレベルかわからないのでとりあえず、頷いた。
「駒野くん、審判としては優秀だよね。私は審判やったことないけど、オフサイド取るの難しくない。」
オフサイドと云う言葉はサッカー部が聞かれて最も困る単語らしい。おそらく、サッカーに詳しくない人に説明しても伝わらないのだろう。深見さんはサッカー経験者だからここで説明する必要はないだろう。
わからない人は『オフサイド』検索である。
「きわどい時は取らないようにしている。誰が見ても明らかなときだけ取るようにしている。」
ついうっかりとんでもないことを言ってしまった。いつも不服そうにアピールしてくる奴らには絶対に聞かせられない。