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代表会からの参加者

NO編集継続中。


【元九煉】の退園の処分は行わない。

しかし、本人の発言による騒動は問題とされ、加えて生徒諸君が抱いた不信感を拭うため、この学園に在籍するかどうか、生徒諸君の腕をもって試していただきたい。よって、本日の正午までの時間、【元九煉】の討伐を許可、それと同時【限界解除】の解放を許可する。

その結果を踏まえ、問題とされる生徒の入園許可と判断としていただきたい。


その日、早朝から大々的に『裏口入園』の処遇が発表された。それは学科ごとではなく学園全体にだ。


それが意味することは一つ。


機関である代表会のみで判断するのではなく、学生、しいては教員を含む【花王育成学園】関係者による判別。


誰もが、名も知らない生徒の可能性はないと感じた。それと同時、参加する意思もやる気をどれだけの人数が持つかが疑問だった。


たしかに、コネという方法で入園してきたことは許されることではない。しかし、噂される人物は【限界解除】すらできないという。これはライバルになりえず、競い合う相手ですらない。簡潔に言えば、どうでもいい存在だった。


逆に言ってしまえば、この学園に入園するのに苦労し、才能がないと自分から暴露しているとさえ言えてしまう。


生徒の大半から一言二言、どうでもいい感想が漏れたのち、天空に浮かぶ掲示板から視線を外していく。


「これも計算のうち?」


問題の中心たるや『元九煉』を監視できる屋根の上から、少年と共に見ていた側近の少女は言い放つ。


少年は側近の少女を馬鹿にしたような態度で返した。


「当然でしょ」


そう言った後、自身満々の様子で二本の人差し指を掲示板に指さした。。


「なっ、」


驚きをあげたのは少女だけではない。目下、掲示板を見上げていた一人の生徒の驚きの声に再び掲示板に視線は集まった。


次々に少女と同様な驚きの声が上がる。



追記、討伐成功者には代表会から褒美を与える。

褒美とは、代表会代表【華蔵悠宇になんでも言うことを聞いてもらえる券】

(ただし、生命に危機が起こる行為をした者がいた場合、褒美はない物とする)



「キサマ何を考えてっ――」


「だいじょうぶ、だいじょうぶ、悠宇さんってちょっと、ていうかかなり抜けてるから許可降りるって」


「そういう問題ではッ――だ、代表っ!」


側近の少女が激昂する直前、スタッと屋根から屋根に飛び移った悠宇が現れた。


「私が何かすればいいのか?」


「人間やる気を出すにはご褒美を与えるのが一番だからね。協力してくれる?」


「それは構わないが、定型文を使った後に、稚拙な文章は改善してもらいたいものだな」


注意する部分はそこじゃない、と言いたそうに手を伸ばした側近の少女だったが、すでに悠宇が許可してしまったためその言葉を飲み込む。


代わりに、


「代表、この提案を許可されていいのですか、間違いなくケガ人が出ます」


「注意書きがある、それに皆良識の範囲で行ってくれるだろう。そう私は信じている」


確かに生徒も人間だ。最低限の常識と良識で動いてはくれただろう、あのご褒美がなければ。


気付いてくれない事への不安から側近の少女は尋ねた。


「『なんでも』という意味を理解していますか、代表」


「ん? そうだな、私ができる限りの事をしよう」


側近の少女はいつも手に持っているクリップボードを落としまで動揺した。その様子を見ていた少年は器用に屋根の上で腹を抱えたまま笑い転げている。


そんな少年は笑いすぎて出た涙を指で拭きながら、普段なら冷静な側近少女に教える。


「参加は可能だよ」


ピクンッ、と側近の少女の肩が僅かに動いた。


確かに、教員までもを含む発表の仕方だ。生徒の中でも特別視される代表会でさえ、その権利はある。


「しかし……」


代表会は圧倒的に他の生徒と違う。単純な言い方でいえば、強いのだ。代表会の人間が一人でも参加すれば、決着はすぐに出てしまう。その結果、この騒ぎの根底である目的が達成されない。


この騒ぎの目的はあくまで、【元九煉】という生徒がこの学園に正当な方法で入園しているという事実を生徒全体に伝えなければいけないということだ。


代表会としての義務を優先するべきか、代表である華蔵悠宇の貞操を守る為に自分が立つべきか、側近の少女は葛藤する。


どちらにせよ、退園はないのだから問題はないのではないか。勝者である生徒が無茶なご褒美を要求しないのではないか。


そんな様子を面白がりながら眺めていた少年が聴こえるように呟く。


「各部屋にも掲示板はあるからね。もうすでにやられてたりして」


またも側近の少女の肩がピクと動くが、乗せられたりはしない。


なぜなら件の少年が寮から飛び出してきたのだ。


「あらー、つまんねぇ。何してんだよ【挌闘走】のやつ……ら、は…………は?」


少年の発言は冗談のものでしかなかったはずだ。いくら各生徒の部屋の掲示板があるとはいえ、早朝の時間から見る生徒はある程度絞れる。それに加えて即座に動く者を考えれば【挌闘走学科】の一つの寮で考えても、多くても一〇〇程度。しかし、件の彼の後続には寮のほとんどと言っていいほどの人数が流れ出ていく。


「な、何が……なんで、こんなに……」


突如笑い声が響いた。


驚いたのは少年と側近の少女、未だかつて大口を開いて大笑いをする代表華蔵悠宇の姿は見たことがなかった。


「くく、これも君の予想通りか?」


カチンッ、と幼さが残る感情に小さな火がともる。


「いいえ。でも、だったらやりようはあるし、これだけ挌闘走の奴らがやる気があるなら、…………なんだ?」


不満が残る口調でも、感情を抑え込み新たに考えた流れがすぐさま霧散する。


そこに続く光景は、件の彼が駆け抜けた後方で次々と倒れて脱落者が増えて行ったのだ。


「なんで、いつから……?」


少年の考えは大きく間違っている。


なぜなら、知る由もない件の彼が逃げ始めたのは昨夜、【限界解除】もせず一晩中追いかけっこをして掲示板を見た者などいなかったのだ。


すでに【限界解除】をするだけの体力が残っているものなどいない、ある三人を除いては。


想定外な出来事に動きを止める少年を他所に、悠宇は側近の少女に倒れた生徒の介抱の手配をさせる。


「ちょ、ちょっとまった、他の代表会のメンバーだって動いてるはずだ。あんたも――」


「それはあなたの予想が当たればな」


「――ッ!?」


消そうとした火は、完全に燃え上がった。


「では行きましょう代表」


「ああ、ではな。あまりやりすぎないように」


悠宇の声は少年には届かない。


少年の目には走り抜ける件の彼の姿だけが映っていた。


上の立場から傍観し嘲笑う予定は崩壊し、プライドを砕いた相手への挑戦へと変わる。


「元九煉……、俺も参戦してやるよ」


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