一回、二回、三回目っ!!!
◆
「ああ、君クビね」
二度目は実に簡潔にどうでもよさそうに宣言された。
「ちょ、ちょっと待ってくれ! 退学はないでしょ! だって、まだ……」
俺の今までの人生は親との旅以外の事をしたことがない。旅先での出会いと様々な出来事は人よりも多く経験したという自負はある。だけど、逆に言えばそれ以外の年相応というべきか、人並みに知るべき経験が俺にはない。
そして、その経験は旅先で出会う人から聞いてはいる。聞くたびにそれは憧れに変わっていった。
だから、【限界解除】できないからと言う理由だけで学生生活がいきなり亡くなるなんてのは納得できない。
「私に言われてもね。あくまで私が知る限りの校則を言っただけ、だから私に交渉したって駄目よ」
そうやら、【限定解除率】を計ってくれていた女子生徒は、知っている事実をただ口に下だけの様で、校則を則って行使するのは別の誰からしい。
「じゃ、じゃあ誰に」
「それを教える前に単純な興味本位で聞いても良い?」
この女子生徒が面白半分に尋ねてきたのは分かる。だって顔がにやけている。その質問には素直に答えよう。
すでに最恐もいなくなり、俺には校則を行使できる人の存在を尋ねて答えられそうな知り合いはすでにこの場にはいない。あとで、火群にきいても教えてはくれるとは思うが、物事が手遅れになってからでは遅い。それにできれば、なんとなく知られたくない。
「どうぞ」
「じゃあ、お言葉に甘えて聞くよ。君どうやってこの学園に入園できたの? っと、その前に名前教えておいて」
難しい質問なら困った所だが、そんなことかと俺は気を楽にしてまずは名前から答えた。
「元九煉」
ガタッ!
音をする方を見ると、【最高】が、壁から背を離し、傍にあった椅子を倒していた。そこであった眼はどこか驚きを現していた。
理由は分からないし、なんとなく恐いから出来るだけ関わらないようにしよう。俺がこの学園に残れるならば。
「オーケー、それで、」
本来の質問に移る。
大勢が俺の行く末を見守る中で、俺は言ってはならない。もしくは普通なら言わない言葉を発した。
「親父のコネ」
仕方がなかった。
この時の俺はそのたったの二文字の言葉の意味を知らなかった。生まれたときから両親の旅に同行していた俺の知識は常識とは程遠いくらい偏りがあり、言葉を知っていてもその意味を、使い方を完全には把握していない物が多く存在している。
俺が常識から逸脱した発言をした後、その空間にいたすべての者から、音という音を俺は奪い取った。
反応は様々、憎悪、嫌悪、偏見、嫉妬、好奇、圧倒的に負の感情が多い視線が送られる。その中に一つ小さな声で「……ばか」と漏らした人がいる。
「な、何?」
あまりにも雰囲気の変わりように恐怖さえ覚えた。
たぶん目の前にいる女子生徒は俺の反応に、何かを感じとったのだろう。他と違い、そこにあるのは戸惑いの感情。
「念のため教えとくけど、【コネ】って裏から非合法な方法でその事柄を実行することなの。だからね、ここに入ってきた生徒は才能やら努力やらが認められた生徒。ところが君は、入れない可能性をまったくのゼロにして何もせずに親の権力を振りかざして、才能と努力を踏みつぶした存在に今なりました」
ようやく俺は失態に気付いた。
というか、俺はここにいてはいけない存在だったことに気付かされた。
女子生徒は小さな声で「何も知らなかったんだねぇ」と漏らし、続けて「それが正当な理由ともいえないけど」と言い終わると申し訳なさそうに、元々あった可能性を今さら不親切に教えてくれた。
「聞いても仕方ないだろうけど、一応ね。何かしらの原因で【限界解除】できなくなった処置として、他学園への推薦、もしくは他校への転校ができるよう代表会がしてくれる。まぁ。君は無理だろうけど」
「で、でしょうね」
それは正当な理由で入園してきた人への優しい処置。そんな非合法での入園をした俺にそんな権利があるわけがない。
「というわけで、気分を変えて言うね」
もう何を言われるのか知っていた。
だって、
「君やっぱり退園」
三回目っ!!!




