4/8
ひまわり畑
まだこのひまわり畑が 僕の背丈よりも高かった頃
世界は一面の太陽で 僕らは日溜まりの中を歩いていた
まだこのひまわり畑が 君の背丈よりも高かった頃
世界は隅々まで謎めいていて 僕らは日溜まりの中をかくれんぼしていた
だけど僕らは大人になり 太陽はただひとつで
謎もまた遠い思い出のひとつに成り果てた頃
あのひまわり畑は 一年草の集合以外の何物でもなくなっていた
あらそうかしら あの頃と変わらない君の声に 僕は振り返る
花々の茎の隙間から 君の笑顔がにっこりと 僕に向けられていた
おいでよ 君は膝を抱えて 僕を誘った
僕はひまわり畑に入り 膝を抱え 君と同じ背丈になる
世界が一面太陽で 世界が隅々まで謎めいていた 黄色い午後のお話