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オレンジころころ
オレンジころころ 坂の上
まーるい まーるいオレンジは 気持ちよさそうに転がっていきます
農園の娘は なんだかそれを追うのが億劫になって
にこにこと微笑みながら オレンジの不思議な遊戯を
じっと見送っていました
オレンジころころ 坂の下
まーるい まーるいオレンジは 気持ちよさそうに土の上で眠っています
農園の娘は なんだかそれを拾うのが億劫になって
にこにこと微笑みながら オレンジの不思議な昼寝を
そっとしておくことに決めました
おうちに帰った娘は 台所で母親の声を聞きました
オレンジがひとつ足りないわ、と
娘は答えます
思い出が篭の中にないように きっとどこかで眠っているのよ、と
