チワワの計画
ラストです♪
小さな身体を目立たぬ様に、地面に伏せながらジリジリと敵ににじり寄る。
にっくき大型犬は今まさに、御主人様からの撫で撫でを待ち構えて、いつもは鋭いその目を細めている。
白い繊手が敵に触れる寸前に、チワワはその身を躍らせた!
屈んで大型犬を撫でようとしていた御主人様と、大型犬の間に割り込んだのだ。
そうして敵を撫でる為に差し延べられた、御主人様の柔らかな手の平に、撫でて撫でてとその小さな頭を擦り付ける。
突然乱入した小さなチワワに目を丸くした御主人様は、直ぐにニッコリと微笑むと、自分の気を惹いた小さな身体を存分に撫で撫でした。
優しく柔らかな手に、愛情を込めて撫で撫でされ、その至福に我を忘れて身悶えるチワワ。
思わず身体を返すと、柔らかな腹も撫でてと差し出した瞬間、覚えのある感覚に襲われた。
微笑ましい一人と一匹の背後では、御主人様の注目と撫で撫でを奪われた大型犬が、どす黒いオーラを放ちまくりながら、ユラリとその逞しい四肢で立ち上がっていたのだ。
大型犬は一人と一匹の間にその大きな頭を捩込むと、おもむろにその大きな鼻面で、小さなチワワをコロコロと転がして排除したのだ。
よほど機嫌を悪くしたのか、いつもの倍ほどの距離を転がされて、目を回していたチワワがハッと我に帰ると、御主人様の手の平に頭を押し付けている大型犬の姿が視界に飛び込んできた。
小さなチワワはもう一度御主人様の撫で撫でを取り戻さんと、その身体に漲る怒りをエネルギーに換えて、果敢に吠えながら一人と一匹に走り寄る。
しかしそんなチワワの動きは、大型犬にしっかり邪魔された。
どんなに頑張ってもその大きな図体は、信じられないほどにするりするりと、御主人様とチワワの間に滑り込む。
どうしても御主人様に近付けないチワワは、益々怒りをつのらせると、盛んに吠えながら跳びはねましたとさ。
次こそは御主人様の撫で撫でを一犬占めするのだと、その小さな胸に刻み込みながら。
お わ り
図らずも私に妄想ネタをご提供下さり、また掲載を快くご承諾頂けました作家さまに、心から感謝申し上げます m(_ _)mペコリ