ずっといっしょ
注意)とても重いです
おかあさんが動かなくなった。
寒い朝、わたしがおはようの頭スリスリをしても、いつものようにやさしく撫でてくれるはずの手はぴくりとも動かない
ねたふりごっこ?
おかあさんがねたふりして、そのうちがばぁってお布団をかぶせてくれる遊び
それからおかあさんとお布団の中でゴロゴロ
お腹が減って我慢できなくなるまでの大好きな遊び
お布団がばぁはまだかな~
あっいけない
わくわくしてしっぽがパタパタ
まだかな~
…おかあさんおかあさん、
ねたふりごっこはやめようよ
おかあさんおかあさん、
おきてよ~
おかあさんのお腹をムニムニしても、ほっぺをタシタシしても、わたしを見てくれない
おかあさんお腹減ったよ~
おかあさん寒いよ~
おかあさん、抱っこしてよ~
おかあさん、いつものように、お鼻スリスリしようよ~
おかあさんおかあさん、おかあさん
なんどおかあさんを呼んでもおかあさんは
もうわたしを見てはくれないってわかった
これはおかあさんの抜け殻。
もうすぐおかあさんの仲間がやって来て、おかあさんの抜け殻を連れていってしまう。
おかあさんおかあさん、
おかあさん
おかあさんのほっぺに、くびに、
頭を耳を体中をこすりつける
それからわたしはおかあさんといっしょ
いつでもおかあさんはわたしといっしょ
もうあまくわたしを呼んではくれないけど
もうやさしくわたしを抱っこしてはくれないけど
やって来たおかあさんの仲間は、
冷たいおかあさんからわたしをひきはなした。
おかあさんからひきはなして、わたしをかごに閉じ込めた。
かごに閉じ込められておかあさんの家から連れ出された。
別に気にならない
だってあの家に、おかあさんはもういない
おかあさんの仲間達はよく、「猫は家に着く」
なんて言ってるけど
大間違い。
心引かれるモノがない所に、わたし達は居着かない
あそこはもうわたしを引きつけない
でも今はおかあさんといっしょ
かごの中でおかあさんといっしょにゆめをみる
ゆめの中でおかあさんと遊ぶの
変なニオイがしたって気にならない
うつらうつらしていると、誰かがわたしの頭をやさしく撫でた
うるさいわね
せっかくおかあさんと…
目を開けずに耳をピルピルして追いはらおうとしたとき気がついた
しわしわでやわやわな手。
おかあさんの手!
おかあさん!!
わたしはおかあさんに飛びついた
おかあさんはいつものように抱っこしてくれた
あまくわたしを呼んでくれた
わたしをやさしく撫でてくれた
わたし今日はおもいっきりスリスリするの
こどもっぽいからなんて
がまんしないで
喉を鳴らして甘やかしての合図して
おかあさんに
たくさんたくさん撫でてもらうの
おかあさんおかあさん、
おかあさん
これからもいっしょ
ずっとずっといっしょにいようね。
せめてこれからは、離れ離れになりませんように。




