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奇霊譚 ~ 奇々怪々  作者: #モノ
魔術手術 -Contraindicated Surgery-
8/8

闇医者 ~ Mad Doctor

 腐れ外道の医者、薮石(やぶいし) 師弥《しや》が取り出したのは、見た事も無い黒い本だった…

怪しいオーラを漂わせており…何か嫌な気配を感じるし…表紙に書かれている金色の文字も、何だかよく分からない文字で書かれている…(そもそも…あれは文字なのか?)


空「…それは一体何なんだ?」

師「コレはある古本屋で見つけた僕の大切な仕事道

  具です

  この本はこの世の全て(・・・・・・)が書かれているのです」

空「………は?何だって?」

師「この本に書かれている医療技術は素晴らしいの

  です!!

  例え患者を死なせても、生き返らせる方法も書

  かれているし…未知なる病にも効く薬の調合方

  法も書かれているのです!!!」

空「………」


 何言ってんだアイツ…死なせた患者を生き返らせる…?未知なる病にも効く薬?

そんな胡散臭(うさんくさ)い治療方法を信じるなんて…


空「じゃあなんだ?お前はその本の通りに従って、

  患者を診察していたと言うのか?」

師「えぇ、そうですよ

  僕にとって、これは最後の希望なのです…

  この力(・・・)で…約束を果たすと決めたのです!」


 この力…アイツはあの本を利用していると思っているけど、逆に利用されている事には気が付いていない。

あの本がどういった存在なのか、今一度感じ取ってみた(・・・・・・・)けど…アレは太古の昔に黒魔術に魅入(みい)られて、破滅していったモノの念が宿っていた…

それで朽ち果てる事なく、本は色んな場所に回っていき、次第に古本屋に流れ着いてあの男の手に渡って、闇医者の完成という訳か…


空「(全部ひっくるめて、原因はあの魔導書(・・・)か…

  まだ使える魔導書が残っていたなんて…)」

師「そしてこの本は医療だけでは無い…」

空「…ん?」

師「材料(ドナー)集めも容易に出来る…邪魔する奴らも簡単

  に消す事が出来る…

  僕は早く手術に戻らないといけない、早く治療

  してあげないといけない…

  だから邪魔をするな!!!!!!

  【死屍累々蘇生】!!」


 俺の足元に赤い魔法陣が展開されて、さっきと同じように大量の男の死体(ゾンビ)が湧き出てきて、一気に囲まれる…(ざっと数えただけでも千体以上は居るような気がする…)

どれもコレもが継ぎ接ぎだらけの死体であり、バラバラにした人間を再利用している事がわかる…



空「…はぁ、全く面倒くせぇな」

師「さぁ行け!我が下部(ゾンビ)共よ!

  目の前の人間を生け捕りにするのだ!!」


 師弥が指示をすると共に、死体(ゾンビ)共は一斉に遅いかかってくる…

この数全てを相手にすると…絶対に疲れるよな…


空「(…仕方がない、やるか)」

(ガシャン!!)

師「!?」


 俺は錫杖(しゃくじょう)を地面に突き刺して、師弥が展開した魔法陣とは別の陣を展開させる。

死体(ゾンビ)達が全員乗ったのが分かったら、俺は口を開いて”経典文(アストラル)”を唱え始める。


空「闇医者に利用されし死体(ゾンビ)共よ、無に還れ

  〖無色透明〗」

(キュイーン!!)

師「!?」


 経典文(アストラル)を詠唱すると同時に、俺が展開した魔法陣は光り輝き始め、死体(ゾンビ)達を一斉に浄化させていく。

浄化される死体(ゾンビ)達は煙の様に消えていき、死体(ゾンビ)の数は一瞬でゼロになっていた。


師「なっ…なんだって…!?

  一瞬で死体(ゾンビ)達を…」

空「存在を無に還す、俺の経典(きょうてん)だ

  死体をぞんざいに扱うお前には効果抜群だと思

  ったんだよ」

師「くっ…貴様ァ…!!」


 まぁ、存在を無に還すと、色々怒られるんだけどな…

でも今回は致し方ない、きっと許してくれるだろう。


空「さぁ!次はお前の番だぜ!!

  死んだ人間たちの無念を受け止めよ!!」


|


 僕は今…アルくんの記憶らしきモノを見た…

純粋無垢に笑うアルくんの姿と…狂気狂乱に笑うアルくんの姿が…僕の脳に入ってきて…


射「(アルくんと一緒に居た人が…先生?

  優しそうだったけど…その後の形相は…)」

治「………ぐっ」

射「!!」


 アルくんに蹴り飛ばされた看護師の幽霊は、苦しみながら起き上がる…

あんなに強い威力で蹴られたのに、起き上がるなんて…流石人材(ゆうれい)だな…


治「このクソガキィ………!!

  私(わたくし)を蹴るなんて…私がしてあげた恩を忘れたの

  か…(怒)」

フ「知らなーい♪」

治「…ッチ!!

  …うふふ、良いでしょう…アンタに対する積年

  の恨みを、今ココで晴らすとき…」

(スッ…)

治「!?」

射「…えっ?」


 アルくんは一瞬の速さで看護師の元に近づいた…

そして、手に持っていた鋏(ハサミ)を…


(ザクッ!!)

治「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!?!?」

射「!?」


 看護師の目に思いっきり突き刺して…看護師は悲鳴をあげる…

幽霊なのに人間の様な悲鳴を上げて…僕は思わず目を背けてしまう…


治「あっ……ァァアァアァァア…ッ……」

フ「………(ニヤッ)」

(げしっ)

治「ぎゃっ!?」


 次に目を開けた時…アルくんは看護師の事を蹴っては踏み潰していたりしていた…しかも…アルくんは笑顔で踏んでいる…


射「ちょっ…アルくん!?やめて!!」


 僕はアルくんに近づいて、暴行を止めさせる…

いくら相手が悪い霊だと言っても…少しやり過ぎな気がする…


フ「えぇー?どうしてー?」

射「どっ…どうして…」

フ「だってコイツ、ウルーくんを虐めようとしてた

  んだよー、後ー、ボクもコイツに恨み憎しみが

  あるんだよー♪ワアハハハハハハー♪」

射「でっ…でも…」

治「…キィッ!!!!!」

(ブンッ!!)

射「!!」

フ「わぁっ」


 怒った看護師がアルくんに対して怒りの刃を突きつけたのが見えたので、僕はアルくんを持ち上げて刃を躱(かわ)す…

アルくんは凄い軽くて、発砲スチロールを持ち上げている様な軽さだった…


治「殺す!!絶対に殺してやる!!」

射「うわっ…ちょ……おわぁっ!?

  (どっ、どうしよう…紙一重で躱してるけど…

  コレがどれまで続くか…)」

フ「(ブンッ!!)」

(グサッ!!)

治「ぐあっ!?」

射「えっ…」


 アルくんが持っていた鋏が、看護師の腹部に刺さり、看護師は動きを止める…


治「ッ!!グッ…」

フ「フフフ☆ フラーン♪」

射「…?フラン?」

フ「後は宜しくねー(・・・・・・・)♪」

射「…宜しく?」


 フランって…アルくんが抱いていたクマのぬいぐるみ(テディベア)だよな…

さっき看護師にお腹を切りつけられて、廊下に転がっていた様な…


(ズズズ…)

射「!?」


 廊下に転がっていたテディベア(フラン)を見てみたら…なんかフランは大きくなっていた…

僕よりも全然大きくて…爪先が鋭利な刃になっていた…


(ガシッ!)

治「キャッ!?

  なっ…何!?」

(……………)

(グッ)

治「!?」


 フランは看護師の霊持ち上げて…腹を上にして…曲げよう(・・・・)としている…


治「あがっ!?あ"ぁ"っ"!?!あっ"!!

  やっ…!!やめて!!やめ"っ!!あ"ぁ"!?」


 看護師の霊は悲痛の叫びをあげているけど…フランは手を止めようとしない…

相手は霊体の筈なのに…何故か目を逸らしてしまう…


(ググググググッ…)

治「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!

  しっ…師弥様ァアァアァァ!!!!」

(ボキッ)

────────────────────────

 俺は弾幕(オーブ)を出しながら師弥に近づこうとする。

死体は一掃したから、出来る事は少ないだろう。


空「次はお前を消してやるよ!」

師「させるか!!」


 師弥も負けじと魔法陣を展開させて、弾幕(オーブ)を飛ばしてくる。

弾幕(オーブ)を避けるのは簡単だ、刃物しか弄った事の無い黒魔術師擬(もど)きに負ける筈は無い。


(スッ、スッ、スッ)

師「ぐっ…クソッ!」

空「そんな単調な弾幕(こうげき)は当たらないぜ

  おらヨッ!」

師「うっ!?」


 俺が投げた弾幕(オーブ)は師弥にクリティカルヒットして、宙に浮いていた師弥は床に墜落していく。

でもこれで終わりでは無い、御札(ふだ)で四角い結界を展開して、師弥をプレスしようとする。


師「!!」

(バッ!!)


 師弥は寸前に躱して、プレスから逃れる…

まぁ当たるとは思ってなかったけど、避けられるとちょっとガッカリするな。


空「引き篭もりの癖に身軽だな」

師「手術をするのには、体力をつけるのは当たり前

  なんだよ!」

(ババババっ!!!)


 師弥がまた反撃をしてきたので、俺は空を飛ぶ事にした。

空中戦だと弾幕(オーブ)は避けやすいし、何より…


師「クソッ!何故当たらない!!

  クソッ…!クソ!!」


 当たり前だ、こちとら地元で幼少(ガキ)の頃から弾幕(オーブ)を避けて生きてきたんだ。

本を少し読んで、力を付けた奴とは訳が違う。


空「フンッ!」

(さぁぁぁっ)

師「!?」


 錫杖を振って、弾幕(オーブ)を掻き消す。

俺の霊能力(ちから)は使いにくいけど、こういった場面では役に立つ。


空「弾幕(オーブ)は、滅多矢鱈(めったやたら)に出せば良いもんじゃねぇん

  だよ

  〖色空結界〗」


 俺は師弥の周りに結界を展開させて、師弥を閉じ込める。

如何(いか)なる存在を閉じ込める、強固な結界だから、抜け出す事は出来ない。


師「負けるか!(バッ!!)」

(………)

師「なっ…何!?

  何故魔法陣が出ない!?」

空「残念だったな、その空間ではお前は何も出来な

  いんだよ!」

師「おっ…おのれぇぇぇ!!!!!」


 俺は光の如く速さで、師弥の元に突撃しにいく。

錫杖を持っている手を力一杯握りしめて…


空「オラッ!!!消え失せろ!!!」

(ずっ………

 バァァァァン!!!!)

師「がはぁっ………!!!」


|


 看護師の………治子(なおこ)さんの雄叫(おたけ)びが…耳から離れない…身体の震えも止まらない……吐き気も…凄い……

相手が悪い幽霊だとは言っても…あんな殺され方は…流石に同情してしまう…

もし生きた人間があんな木の枝を折る様に殺害されたら…流石の僕でも吐いてしまう…


フ「ウルーくん、良かったね♪」

射「………へあっ?

  なっ……何が?」

フ「悪い人が居なくなって♪

  良かった良かった良かったね♪」

射「………」


 アルくんの胸には…テディベア(フラン)が居る。

さっきまではあんなに大きく動いていたのに…何事も無く元のテディベアに戻って、アルくんが抱きしめて可愛がっている…


射「…アルくん、フランって一体…」

フ「………あっ」

射「(ビクッ!?)

  なっ、どうしたの?」

フ「……………消えかけてる(・・・・・・)」

射「えっ?」

フ「アレが…アイツが…消えそう…死にそう…

  えへっ……えへへっ……へハハハハッ!」


 …アルくんは、また狂った様に笑い初めてしまった…

それも…今までとは違って…何だか嬉しそうにしている…


フ「…ウルーくん」

射「?」

フ「ボク、ちょっと行かなきゃ

  フランを貸してあげるから、お友達をちゃんと

  見つけてあげてね」

射「えっ?あっ?」


 アルくんがフランを渡してきて…ふよふよと何処かに行ってしまった…

アルくんの思考は、相変わらず読めなかった…(分かったのは、だいぶ怖い子だと言う事ぐらいだった…)


射「…でも、フラン(このこ)を貸して貰ったって、どうすれ

 ば…」

(スッ)

射「…!?」


 フランを見てみたら…廊下の奥を指指してした…

もしかして…この先に行けと、暗示しているのか?


射「……………

  とりあえず…進もう…

  言う事を聞かないと…折られそうだし…」


To be continued

( *・ω・)ノ丫∀☆ #モノです。

a Dr.Quack Surgery that Does not Fail

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キャラクター


*无色《むしき》 空泡《くうた》


奇霊な少年。


反則技のオンパレードです。

自身の霊能力は使い方を間違えると、とんでもない事が起こるので、滅多に使いません。

地元じゃ負け無しです。


*夏芽《なつめ》 射竜《うりゅう》


目を背けたくなる光景を目の当たりにしました。

幽霊にも痛覚があって、背骨を折られると死ぬのを知りました。

無駄に物覚えが良いので、トラウマ確定です。


*フラジアル・ハーメンド


壊れた小悪霊です。


残虐で容赦なく、手加減を知りません。

日に日に精神が壊れると共に、玩具を壊したり、人間を傷付けていました。

幽霊になってからは、そこまで残虐ではありません。(多分…)


*薮石《やぶいし》 師弥《しや》


闇医者です。


闇医者であり、黒魔術師であり、藪医者です。

魔導書に心を奪われた時点で、彼は破滅に向かっていました。

自分の意思で魔導書を使っていたのでは無く、魔導書に利用されていたんだと思います。


*木綱《きずな》 治子《なおこ》


非道な看護婦。


二度もフラジアルに殺されました。

そして、霊体で殺害されたので、二度と輪廻転生が出来なくなりました。

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