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迷う残光は空に  作者: 悠月 蒼祈


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 そんな感じで訓練に参加できなかったし、見学中の勉強もダメだった。

 今日は全然だ……リュクスにも怒られた。

 エヴは上官なんだから。ほにゃほにゃーって。

 わかっている。でも、誘拐犯許せない。


 昼食を食べ、フィーナに色々話をして。

 皆の訓練労うのも忘れない。

 訓練参加できなくてごめんなさい。と謝る。

 

「まあまあ」


 ペッタポッタがラエルの数少ない褒めれる所を挙げて慰めてくれる。

 皆もうんうん言ってる。みんなはもっと凄いのに。

 頑張らないと。


 戦闘訓練なんかまだ始まってもいない。

 荷物を持って移動する体力づくりで一杯一杯だ。

 商会の仕事、荷物の移動とかをやって自信があったアールだって全然駄目だし。

 森の子、ペッタポッタだって今ひとつだ。

 フィーナが意外と食らいついているが、持久力がない。

 ラエル?今後に期待だね。皆の遥か後方。未だ見えず。

 運動の話はもういいよ。ラエルがダメダメって話にしかならない。


「運動もだけど、文字、ぜんぜんわかんない……」


 あー……と全員がラエルを見る。

 興味を持てないのだ。仕方あるまい……

 ヒトは何故文字で意思疎通するんだろうね?

 お口から音を出してでいいじゃない。


「共通語くらいは読み書き出来るようになってもらわないと困るわ」


 フィーナがそう言い放つ。ですよね。ですよね。

 おしゃれで小粋なお手紙を書けるようになるのが、ラエルの目標らしいので。

 フィーナが勝手に決めた目標だけど。


「その先に暗号とかもあるからなぁ……」


 暗号?暗号……暗号とは?

 暗号の説明を聞いてはえー……となる。

 面倒だね。こう、例えば念話で何とか……念話も受信される可能性ありますね。はい。


「でも、ラエルは計算がそれなりにできるんだよなぁ」


 計算は得意です。計算できないと困るからね。

 アレ数えるのに必要だからね。管理するのに数えないと。

 アレ?


「計算だけできてもな……軍を辞めた場合の事も考えて……例えば商い関係なら文字の読み書きも必要だし」


 はい、はい……

 フィーナは使用人として、ラエルを下級貴族の所に潜り込ませようとしているみたいだけど。

 使用人も文字読めないとダメですね……はい……


「そういや座学の手控えは?」


 鞄から帳面を取り出し見せる。

 良く描けていますよ!自信作です。


「絵じゃん……絵じゃん……絵しかないじゃん……これ前回のやつ?」


 そうです。


「前回のだよ。あの内容絵にしたらこうなるとは思う。全部絵で描こうと思わないけど」


 アールとペッタポッタの様子を見て、ラエル……とフィーナが頭を抱えている。

 フィーナも知らなかったのか……とアールとペッタポッタが頭を抱えている。


「わかるけど芸術って視点では上手くはないし……評価に困るやつだなぁ!」


 とヤケクソ気味にアールが言う。

 なんでぇ。芸術点は高いでしょ。むっふーむー


「まぁまぁ、座学の内容は理解は出来てるし……文字が読み書きは流石に出来ないのは駄目だけど……」


「というか読み書きできないのに良く座学付いてきてるよな……」


 リュクスはしっかり説明してくれる。

 だから理解した内容を、ちゃんと描けるもん。

 文字いらないのでは?


「熱心に何か書いてるのこれだったのね……」


 大作です。


「どうして気が付かなかったのかしら。ラエルはずっと文字に困ってたのに……」


 あんな熱心に書くことなんて無いわよね……文字わからないって言ってたら……

 とフィーナが唸っている。


「これ、相談した方が良くない……隊長に」


 そうだなと三人が団結したようだ。

 隊の皆が仲良くていいね。


 昼休みが終わり、座学の時間。

 アールがリュクスにラエルの帳面を見せる。


「知らなかったのか?だからちゃんと教材を読み聞かせて、説明するようにしていたのだが」


 文字早く覚えようね。とリュクスに言われて、この話は終わった。

 リュクスは隊長としてのお勉強があるからね。暇じゃないのだ。

 リュクスは話が分かる男。これが出来る男というやつ。きっとそう。

 だから文字なくそうよ。


 座学が終わってそのまま本日の反省会へ。


「ラエル、今日から私の帳面を貴女の帳面に写しなさい。文字とその絵を対応させるの。そうすれば多少覚えやすいでしょう」


 なるほど。

 初回の座学から写し始める。ぐにゃぐにゃ。


「読み上げるわ」


「というかさ、絵心がある……あるでいいのか?なら文字を絵だと思うのはダメなのか?」


 ラエル、絵心は自信あります。あるでよろしいのですよ。


 文字を絵?

 帳面を近づけたり離したりして良く観察する。紙を回したり、倒したり。起き上がらせたり。

 絵、模様……うーん……



「商品の意匠とかで文字を使うこともあるじゃないか?工房の名前カッコよく入れたりさ。ああいうのはラエル的にどうなの?」


 アールに言われ悩む。そうなの?

 文字で意匠……カッコよく?


「何か実物ないの?ラエルがわかりやすいように」


 ペッタポッタに言われアールが悩む。この部屋にすぐに出せるものはない。

 フィーナも悩みだした。


「あ!時計!時計の文字盤!数字だから計算が得意な、ラエルにはあまり役に立たないかもだけど。まずは時計の数字を見てどう思うか探ってみましょう」


 フィーナが案を出す。ラエルが時計に興味があると言ったのを覚えていたらしい。

 時計、この部屋にもあるが、この時計数字はない。


「ええっと……数字ないわね。ええっと……時計台は今からじゃダメね。時間が足りないわ」


 うーん、うーん時計。時計。

 今まで見てきた素敵な時計達を思い返してみる。

 うーん?ありかも。

 計算する時に数字はするっと書いているのだ。

 で、数字をどうやって知って覚えたか?という話になる。

 ここに来て、フィーナに時計の見方を教えてもらった時だ。

 あの待ち合わせの時だ。数字を教わった。

 あの待ち合わせの場所、ここの外の時計は数字が書いてあった。

 確かに最初の頃はあれを思い浮かべて数字を書いていた気がする。


「時計、うん、時計。数字覚えたの、フィーナが時計を教えてくれたからだよ」


 フィーナにそう伝える。

 教えたかしら……とフィーナも記憶を探っている。


「ほら、買い出しの待ち合わせ。待っている時に教えてくれた」


 ああー!とフィーナが声を上げる。


「そ、そうね、教えたわ。そう、あれで数字は覚えたのね」


 そうよ、それでラエルが時計に興味あるって知ったんじゃない……と呟いている。

 計算の時はそういや数字書いてたなとアールが言う。


「じゃあラエルの好きそうな文字で覚えればいいのね……絵本はダメだったわよね……」


 フィーナが見せてくれた絵本。

 お話と絵は良かったが。


「文字あんまり良くなかった」


 話は覚えてるけど読めないのはそれでかー……とフィーナが頭を抱えている。


「とりあえず図書室に行くか?無味乾燥な文字列が並ぶ学術書とかも、表紙だけは凝っている本も多いし」


「うーん、そうね。今日はそうしましょう」


 じゃあ早速と言った様子で皆が立ち上がる。ラエルもそれに続く。


「後は、図書室で表紙見るだけでは全然足りないでしょうし、並行して皆に頼んで手持ちの絵本、文字も含めて芸術性の高いものを探してもらうわ」


 適当に人気のある絵本を持ち寄ったのがダメだったわ。と落ち込むフィーナ。

 絵は素敵だったとフィーナに言っておく。

 話もだいたい面白かった。

 どれもこれも文字がダメだった。合ってない。作風をぶち壊している。許せない。



 図書室行くの初めて。ラエルは文字読めない。無縁の場所。

 皆も初めてらしい。存在は知っていたらしいが。

 アールは興味があったが、ペッタポッタが興味がなさそうなので遠慮していたらしい。

 ペッタポッタも多少は勉強しないとダメな危機感があったらしいので、まぁ今後は応相談ってことで男達の話はまとまっていた。

 フィーナはラエルにほぼ付きっきりだし、それ以外にも社交で忙しい。

 フィーナ、ラエルは一人でも大丈夫です。と伝えておく。自分の時間も大切にと。

 この前の休みも一人で礼拝堂に行ったり色々した。

 何か他の記憶がないけど。

 犯罪者に誘拐された記録があるので記憶がないのも心配ないよ。犯罪者許せない。

 体調悪くなった?のは犯罪者のせいでしょ。ラエルはちゃんとできる子です。犯罪者許すな。

 あの野放しの犯罪者、どうやったら檻に入れれるんだろう。

 さっさとぶち込んでいれば、今日の訓練妨害も防げたはず。


 そんな事を考えているうちに図書室へ到着していた。近い?

 認識票を司書?に出して入室手続き。初回なので色々説明を受ける。

 本を汚さない、飲食禁止の騒がない。借りる時は司書へ認識票と借りたい本を。そんな感じ。

 退室も認識票の確認がいる。大丈夫。


 司書?のお姉さんにお勉強頑張ってね。とにこにこされた。にこにこしておく。挨拶大事。

 意外と子供向けの本が多いらしい。まぁ新兵、学のない子供ばっかりだし。

 ここで勉強するようにってことですね。早く来るべきだったのでは?

 ここで勉強するよりフィーナのお茶会の勉強の方が大事。

 ラエルがお茶会を体験できる機会は少ないし。多分。


 ラエルは一応子供向けの本が並ぶ場所へと向かう。

 フィーナもラエルに付く。

 男二人は自分の興味あるところから攻めるらしい。


 背表紙をさっと眺めて。こう綺麗に並んでいるのは素敵。

 気になったやつをフィーナに背表紙を読んでもらう。

 気になったやつはするする入ってくる。

 文字なんとかなるかも。


 机に持って行って書き取りをして覚える。

 背表紙が良くても、表紙や中身が良いとは限らない。思うように進まなかった。

 でも、今までよりは進歩した。うん。手応えあります。


 夕食の時間なので皆で食堂に向かってお食事です。

 アールとペッタポッタは面白い本を見つけたらしい。よかった。


 夕食後は自室で今日のまとめ。

 フィーナの座学の帳面写しを少しする。

 それと今日覚えた文字で適当に文を作って、フィーナと御付きの皆さんに評価してもらう。

 御付きの皆さんがラエルお嬢様が文章を……と彼女らが感動しておられた。

 次はお手紙を小粋に返せるように。色々表現学びましょうねと。

 これからもがんばります。


 お風呂やら手入れされて。寝台に滑り込む。おやすみなさい。

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