表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
迷う残光は空に  作者: 悠月 蒼祈


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/19

11

 翌日。

 昨日のグチャグチャしていた思考が嘘のようにすっきり爽快だ。

 準備をして。食事をして。

 食事の時に昨日の貴族がどうなったのか?それとなく聞いてみた。


 気にすることはない。


 と、フィーナと愉快な仲間達は笑うばかりだ。

 まあ、フィーナが対処に動いたから気になっていただけで、ラエルはどうでもいい。


 フィーナと一緒にすちゃちゃと割り当てられた部屋へと向かう。

 今日は足取りが軽い。

 てってすちゃちゃ。

 なかなかの足さばき。


 ご機嫌ねとフィーナは言っていたが、うーん?ご機嫌なんだろうか。

 すっきり爽快ではあるがご機嫌ではないと思う。


 リュクスが心配そうにしていた以外はいつも通りだ。

 そんなリュクスも素敵だ。今日はいい日だ。


 運動も問題なかった。体調は良い。


 ラエルはご機嫌だね。とペッタポッタとアールにも言われた。

 普段通りだと思うんだけどなぁ。とラエルは不満である。

 不満を感じている時点でご機嫌ではない。


「昨日は何かあったの?疲れていた様子だったけど」


 フィーナが心配そうに聞く。

 もしかしたら例の親戚について悩んでいると思われたのかも知れない。


「疲れが出ただけだと思う大丈夫」


 と回答しておく。

 今日は元気いっぱいなのだ。一晩休んで回復したのだ。大丈夫だろう。

 何も捨てれなかったけど。回復はしたはず。


 今日は特に何もなかった。



 そこから更に数日。

 休みにフィーナとちょっとしたお出かけをした。それ以外は特に何もなかった。

 給料が出たが無駄遣いはできない。だからお出かけしても無駄な買い物とかもしていない。

 日用品は少し買い足した。

 まぁ休日は楽しかった。都会の生活というのを少し学べた気がする。

 休日の話はそれくらいだ。


 今日から合同訓練だ。

 もきゅもきゅと朝食を食べる。今食べている食事は何かは良くわからない。

 一緒になったアールがラエルを見てもきゅもきゅしてるな……と言っていたからもきゅもきゅだ。

 味はよくわからない。普通だと思う。


「ラエルって美味しいって言っている所見たことないけど……好きなものとかないの?」


 ペッタポッタに尋ねられた。

 ペッタポッタは何かの香辛料?が苦手らしいし、人の好みが気になるんだろう。

 ちなみにラエルはその香辛料?は別に好きでも嫌いでもない。


 うーん?美味しいと感じるものはあるけどなあ。


「隊長の入れてくれたお茶とか?」


 首を傾げつつ答える。

 ……静寂に包まれる。何かおかしな事を言っただろうか?


「まぁ、あれは美味しいわよね……なんであの方、あんなにお茶を入れるのが上手いのよ……」


 ぐぬぬと言った様子でフィーナがぼそぼそ呟いている。

 可愛いのにそれは駄目だと思う。素敵なお嬢様が台無し。


 フィーナでも美味しいと思うのか……

 うーん、ラエルはフィーナの御付きの皆さんより、隊長に入れ方教わった方が良いのでは?暇を見つけて。

 と、一瞬考えたが、思考を読んだ御付きの皆さんが物凄い形相でラエルを見ている。

 やめておこう。


 あれが美味しいとか、あれは普通。とか話しているとどんどん皆の表情が変になっていく。


「ラエル、貴女……いや、ラエルよりも……」


 フィーナが頭を抱えて突っ伏している。

 絶対それやったら駄目だと思う。

 フィーナお嬢様生き返って。


 等と考えつつ、ラエルが首を傾げているとアールが


「うん、ラエルの好みは何となくわかった。で、良いんじゃない」


 とまとめてくれた。

 なんで皆遠い目をしているんだろう。解せぬ。という奴である。


「ラエルは隊長好きだねぇ」


 とペッタポッタが言う。

 何を当たり前のことを言っているんだろう。

 あの美しいものを好きにならない理由があるというのだろうか?

 よろしい。

 何か約束していたような気もするけど、リュクスの美貌をわからせる必要がある。

 と天からのお告げが聞こえる。きっと大した約束じゃない。お告げを優先すべきだろう。


 ラエルが熱く、熱く、リュクスの美貌について語っていると、流石に移動しないと拙い時間になった。

 今日は座学からなので、てってく、てーと部屋に向かう。

 ちなみに座学はまだ合同じゃないのでリュクス隊だけだ。


 座学を適当に流して昼休憩を終え、いよいよ合同訓練だ。

 訓練場への移動中に、ペッタポッタとアールがラエルも元気になったねぇ。とか話している。

 倒れていた頃とは違うのですよ。ふんふ。


 合同訓練をする隊は人間三人、兎の耳を持つシッシュ族一人の四人だ。

 兎というのは耳が長い小動物とフィーナに教えてもらった。

 ラエルは見たことはないので、ふーんと話を聞いておく。

 シッシュ族は初めて見た。兎耳は緑色で眩しい。森で木々に紛れそう。

 耳に興味津々。

 ちなみに全員男。隊長も男だ。

 ふーんと自己紹介を聞いたり、したりする。

 向こうの隊についてはあんまり覚えていない。興味を持てなかった。

 おいおい覚えていかないととは思うので後でフィーナに聞こう。

 フィーナに教えてもらえば記憶に残るはず。覚えていれば聞こう。


 兎耳シッシュ族がペッタポッタに何か話している。

 森仲間か?と思ったが、どうやら、例のヒトかどうかの儀式についてらしい。

 シッシュ族も絡まれて困っていたらしい。

 あの儀式が行われたのはペッタポッタきっかけだからね。

 だからお礼をしたいとかなんとか。

 シッシュ族君がさっさと上官、自分の隊長に儀式したいって言えばよかっただけでは?

 とラエルはもやもやする。

 そうすればペッタポッタまで貶される前に儀式をやったのでは?

 リュクスと話している隊長を見る。

 あいつは話聞いてくれなさそうかも……何となくいい加減というか軽薄と言うか。

 嫌な感じがする。

 ラエルが関わりたくない雰囲気だ。目立たぬようにこそこそしておこう。

 シッシュ族君も他に相談できる偉い人を探すべきだよ。と、念を送っておく。


 訓練はいつもと変わらない。まずは人数が増えたことに慣れる為にだ。

 暫くして。向こうの隊の人間二人が倒れている。シッシュ族君は元気だ。

 ラエルと同様に孤児院出身で体力がないらしい。

 ラエルはと言うと倒れる前に休憩に入っているので、倒れてはいない。

 立てるか?と聞かれれば倒れる。と答える程度の残り体力だが。


「女の子が地面に突っ伏すのはダメでしてよ」


 と今まで何度もフィーナに怒られた。こわい。

 なので倒れないようにラエルは頑張っているのだ。


 ラエルはぐったりしつつ文字のお勉強しておく。

 休憩中には文字の勉強が一番。

 まったく頭に入ってこない。

 こう?こう?と見本を見ながら地面に書いてみるがなんか違うね……


 訓練自体は参加人数が倍になった以外は普段の訓練だったので、特に何もなかった。




 暫くしてのある休日。

 合同訓練も特に問題なく代わり映えのない日々。

 フィーナは用があって居ない。

 アールとペッタポッタも二人でお出かけで居ない。

 合同訓練の隊とお出かけらしい。

 ラエルはどうでもいいが、女子一人は気まずいのでは。よくわからないけど。

 誘われたが今回は遠慮しておいた。

 

 とりあえず礼拝堂へ行こう。お祈りお祈り。

 何人か祈っているので混ざって祈っておく。

 説法をやる神職は居ないらしい。今度神殿に行くべきだなぁ。

 神殿に行く体力つけないと。それか馬車?お金がいりますね……


 久しぶりにちゃんと祈ったので清々しい気分だ。

 ちゃんとお祈りしたのは孤児院以来か?

 孤児院は神殿経営ではなかったけど礼拝堂があったのだ。

 とりあえず開放されている訓練場で運動と魔術の練習を軽くやっておく。

 日々の鍛錬大事。


 鍛錬を終え昼食。


 サニア神へ祈りを捧げ料理を口に入れる。


「あれ?お姫様じゃん。一人?」


 リュクスにおすすめされた料理が美味しい。

 好みを探して色々試していたが、次からはこれにしよう。

 自分で料理しなくていいのは助かるなぁとラエルは食べ進める。


「おーい、お姫様聞いてる?」


 この麺も美味しいと思った事なかったけど、味付けでここまで変わるんだなぁ。

 ラエルはもきゅもきゅと食べる。多分、皆が見たらもきゅもきゅって言われる。

 お皿が良くないのはどうにかしてほしいなぁ……お金がかかるから無理だろうけど。

 いっぱい口にいれるとおいしくて幸せ。

 フィーナも居ないしいっぱい入れちゃう。どんどん入れちゃう。


「えい」


 突如、ラエルの頬に指が刺さる。痛い。

 もきゅもきゅ踏ん張る。よし。

 キシャー!と叫びたくなるのを我慢して臨戦態勢へ移行する。


「もう、ずっと呼んでるのに、お姫様」


 だれだこいつ。

 にこにこしつつ不服そうなラエル達より少し年上……

 リュクスと同じくらいか?の男がラエルの頬をつんつんしている。

 年上だからえーっと、これくらい離れていれば階級?はラエルより上だ。

 今年の新兵じゃない。で、だれ?


「いや、君の料理とかわざわざ取らないから」


 皿下ろしなよと言われ皿を下ろす。

 とりあえずなんか良くわからないけど簡単な方の敬礼しておく。

 略式?そんな感じのやつ。

 ラエルは一番下っ端だし敬礼しておいた方が良いだろう。

 で、どちらさま?


「……もしかして、覚えてくれてない?」


 ……知り合い?

 いや、王都に知り合いなんて……リュクス隊の皆と……フィーナ御付きの皆さんくらいしか?

 えーっと……と、ラエルは首を捻る。


「いやぁ、流石にそろそろ覚えててほしいなぁ。俺とお姫様の仲でしょ?」


 そう言ってラエルの手を掴む。

 ちょっと顔が良いからって何をしても許されると思うな。離してほしい。

 リュクスくらいの美形になってから出直せ。

 ちょっと顔がいいくらいで興味もないのに覚えてるわけ無いだろ。

 興味のない事は覚えなくて良い事だって『私』は言っている。


「……」


 キッ!っと思わず睨みつけてしまった。慌てて目を逸らして頭を下げる。

 ラエルは下っ端。逆らうの駄目。ここは平伏とかすべき?

 もきゅもきゅしながら考えるが妙案は出ず。

 口に入れる量間違えたなぁ。まだまだ飲み込めそうにない。

 食事が邪魔されておいしくない。

 沈黙が痛い。周りの喧騒が遠く聞こえる。


 とりあえず料理冷めるから食べていいですか?と聞きたい。

 まあ、もきゅもきゅしてて新しく口に入りそうにない。

 そもそも喋れない。


「口に入れすぎじゃない?もっと上品に食べれないの?君」


 黙って咀嚼している様子に男が何か言ってくる。

 フィーナが居ないから調子に乗っただけだし。

 普段はフィーナに褒められる程度には作法ちゃんとしてるもん。


「まあ平民、孤児に言っても仕方ないか……ここに残りたいなら綺麗に食べなよ」


 そんなわかっている話は聞き流す。ちゃんとお作法の勉強はしてるし。

 で、誰なのこいつ。


「いやあ、合同訓練では手取り足取り教えてあげてるじゃん?それを覚えててくれてないなんて……」


 訓練でリュクス隊の皆以外から何か教わった記憶ないんだけど。

 もきゅもきゅと口の中をやっと空にする。

 食事続けちゃ駄目ですかね?


 話からして合同訓練で一緒の隊、年齢的に隊長?

 うーん、そういやこういう、鬱陶しい感じの男だった気がする。

 何も教えてもらった記憶がない。

 名前……うーん全然記憶にない。世話をしてくれた相手は流石に覚えている。

 やっぱり手取り足取りは記憶にない。

 なので、記録魔道具をこっそり確認するが、興味がなかったので記録されているはずもなく。

 まあこっそりなので未確認部分にあるのかも知れないが。

 ……今後は人の名前とか覚えておいた方が良い事に記録魔道具もっと使おう。


「何してるの?……記録魔道具?なんで君がこんな物を……」


 首から下げている記録魔道具を掴まれる。

 ラエルは返せ返せと念を飛ばしながら手を出すがひらひらと躱される。


「結構良い奴だな、これ……何見てたのか教えてくれたら返すよ?」


 にこにことそう言うが紐はまだラエルの首だ。

 引きちぎられてはいない。返すも返さないもないと思う。

 紐をぐいぐいしておく。手を離せ。

 お食事に戻りたいし、それを返せ。


「たいちょうさん」


 名前がわからないから適当に呼ぶ。


「……いやまあ、隊長だけどさ……ええ……一緒に訓練しだしてから結構経つよね?」


 ……んん~?結構経ったっけ?合同訓練開始から何日目とか興味ないし……

 記憶魔道具を見て確認しようにも取られている。


 男は長い名前だと覚えてもらえなさそうだなぁと呟く。


「エヴだよ、ラエル姫?」


 記録魔道具から手が離れる。

 以後お見知りおきを?と手の甲に素早く口づけされる。

 それを思わず払い除けてエヴと名乗った男を殴ったラエルは悪くない。


 何なんだ何なんだこいつこいつこいつ。


「お、おんなのこにふよういにふれるのは、だめだと、おもいます!」


 フィーナがそんな感じの事を言ってた!

 わーん。フィーナ助けて!

 おんなのてき!


「あ、うん、ごめん……」


 エヴとかいうやつは思ってた通りにラエルが反応しなかったことに不満らしい。

 思い通りになると思うな。


「あいさつをなさるときは、まずきょかを、では?」


 フィーナがそんな事言ってた気がする!

 詳細は覚えてないので適当に言う。お前が貴族なら知ってるでしょ!

 フィーナ、フィーナ、私に力を!とラエルはフィーナに祈る。


「あ、ハイ、そうだね……」


 フィーナ、これがへんしつしゃ?とかいうやつ!?

 滅すべきって言ってたやつ?


「お、落ち着こうね?目が怖いよ?可愛いお顔が台無しだよ?ね。ね?」


 こういうやつをゆるすなと『私』も判断している!

 ラエルもそう思う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ