第零話 『始まりの声と、いつかの夢。』
――声がする
『――――――――』
一人の少年がいた。
――人の声だ
『―――ほ――――だ―――』
彼は何もないところで落ちていた。
暗く、黒く、深い”そこ”へと落ちていた。
――聞いたことのない声だ
『―な――――が―』
何も見えず、何も触れられず、何もない、
深海のような、その空間で彼はただただ落ちていた。
――知らないはずの声だ
『お―――俺を―けて―』
捉えようによっては地獄とも天国ともとれるその空間で一人、声を聞かされた。
――なのになぜ
『ね――――たい―』
その声は耳ではなく、直接脳へと叩き込むような声で、彼の感情を強く揺さぶった。
――なぜ涙が溢れるんだろう
『――よ――いー』
声はノイズが走り、内容が分からない。
――なぜ恐怖を感じるのだろう
『も――ダ!――――――終わ―た――』
しかしその声には重く苦しい感情が乗っている。
――なぜ見るのを止められないんだろう
『――だけはど――』
人に聞かせるにはあまりに醜いその声は、
――苦しいくて、悲しくて、寂しくて
『馬――しい。なにが――――』
声だけで人を殺められそうなその声は、
――面倒で、孤独で、醜くて
『――よ。も――――』
永く…長く続いた。
――痛くて、熱くて、冷たくて
『もう――――――くれ』
その最中あるはずのない一筋の光が……
――辛くて、死にたくて、諦めたいのに
『―――絶対――』
「なぜ、なぜ、なぜ」
『あ――とう―――……』
――なぜこんなにも勇気が出るんだろう
少年を包みこみ、黒く暗い空間を白く明るい空間へと変貌させた。
『救う。――って―――』
――なぜ体が勝手に動きたがるんだろう
ただ光はそれ以上のことは何もしてはくれなかった。
『――神々―ちよ』
――弱さと強さと優しさを携えて
声が絶えることはなく、苦しみが終わるわけでもなく、悪夢から覚めるわけでもない。
『理由?―――けな―――』
――そこへと向かい続け
暗い空間と何ら変わらない空間を維持し続ける。
『この日が―――』
――始まりを慈しみ
しかし少年の目に希望と夢を、
『どんなに―――――ても……』
――終わりを懇願した
少年の体には思考と感覚を、
『そ――こそ、――主たる―――』
――ずいぶん永い道のりで
少年の心には欲と感情を、
『やる―と―――い――――明―だ』
――ずいぶん酷い道のりで
その光は取り戻させてみせた。
『―味も、――もいらない』
――ただただ苦しみ続ける道のりだった
声は未だに続き、
『だけどな―――もや―――といけな―――』
――それでもその道を歩み続けて
彼の体は落下に抗えず
『君は―――』
――私はめぐり
それでも、彼は…少年は、そんな苦痛に耐えながらも、
『貴方は――』
――俺は集い
優しく微笑み、いつかくる目覚めに身を任せる。
『だから、これは……』
――また生を続ける旅に出る
そうして、また自分の生へと戻ろうとする。
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