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第五話 独り立ち

ライムが初めて海を見てから5年後。ライムは10歳になっていた。

ポラリス王国では、10歳になると大半の子供は学校に入ることになる。王都、カンナギシティにもいくつかの学校があった。それらは大きく王立と私立の二つに分けられる。数で言うならば圧倒的に私立の方が多い。その上、王立の方がかなり学費も安いので、どうしても王立は倍率が高くなり、エリート校化してしまっている。そのため、庶民の子は皆王立に行きたがるのだ(というか、金銭的に王立に行かざるを得なくなる)。王立=貴族のイメージは強いものの、王立学校は庶民の方が人口は多い。まぁ、私立だと貴族は裏金でパスできるので仕方がないと言えばそれまでだが…。

そして、この春、めでたくライムは王立商業学園に合格した。それも、一位通過だった。当然と言えば当然だろう。商業学園なので、魔法科学校のように実技テストはなく、入試は全てペーパーテストのみだ。前世ではそれらを専攻してきた彼にとっては、10歳向けの試験など赤子の手を捻るより簡単なのだ。

「ライム!おめでとう!」

「ライムがいなくなると寂しくなっちゃうわね…」

王立商業学園も同じカンナギシティにあるが、なんせ王都が広すぎる。家があるウエスト地区に対して学校のあるイースト地区は王城を挟んで真反対に位置しているのだ。頑張れば通えないこともあるが、学園生は全て費用がかからないという寮で生活をすることにしたのだ。

「何言ってるんだよ、母さん。すぐそこだろ?ちょくちょく帰ってくるよ」

「パパも暇だったら見に行ってやるからな。また溺れたりしたら飛んで助けに行ってやるぞ」

「父さん、一体いつの話をしてるんだよ。もうそんなガキじゃないぜ」

「おい、ママ、今の聞いたか?こいつも大人になったなぁ…」

「そりゃ当たり前でしょ。ほら、ライム、早くしないと遅れるわよ」

「うん、行ってきます!」

「ちょっと待って!」

母がライムを呼び止めた。

「ん?」

「ほら、これ」

と父が袋をライムに手渡した。

中を見ると金貨が5枚入っている。金貨1枚で日本円で言うところの10万円なので、全部で50万円ほど入っていることになる。

「え…?いいの、こんなに?」

「うん、パパとママからの入学祝いよ。商業学園だから、学校生活送りながらでもある程度はお金稼げると思うけど…、有意義に使ってちょうだいね」

「父さん、母さん…!ありがとう!」

「ほら、早くしないと、本当に遅れちゃうわよ!」

ライムは大きく頷いで、思いっきり走り出した。いよいよ、学園生活が始まるのだ。


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