過去
貴方は前世の記憶を信じますか?
これは前世では決して結ばれることがなかった2人が
今世では高校生で再開するというお話です
貴方は、前世の記憶を信じますか?
時は、江戸時代、吉原には毎晩多くの人が春を買っていた。
提灯がゆらゆら店先を照らしていて、まるで夢の中にいる感覚に陥る
「おーい、裕次郎、こっちだ」
ひらひらとこちらに手を振っている男が一人
「やっぱりやめませんか?」
「なにいってんだ!ここまで来たんだ、男に二言はないだろう?」
俺はいつもとは全く違う光景に少し気が滅入っていた。
「裕次郎はどの女にするんだ?」
「そう言われましても…」
俺は吉原なんて来たこともなく選べと言われても
正直困る。
それでも一際目を引く遊女がいた。
可憐で目が合うとにこっと微笑でくれる遊女が。
「あの、方にします。」
「おー!裕次郎、見る目があるな!じゃあ楽しめよ!」
そういうと一緒に来た男は先に店の中に入っていった。
俺は、店にいた主人に初めてだということを伝えて
部屋に通してもらった。
襖を開けると広い畳の部屋があってここで待つようにと言われたので大人しく待つことにしたが心の中というとほんとにあの子が来るのかとか俺は大丈夫だろうかと慌ただしかった。
しばらくして、失礼いたしますと少し落ち着いた声が聞こえた
「はい、」
「失礼いたします。」
「どうぞ」
「お堅いねぇ、初めてかい?」
「初めてです。知人がどうしてもというので、」
「…女は嫌いかえ?」
「そ、そんなことは無いです、ただ…」
「ただ?」
「その、必ず寝なきゃいけないんですよね、?」
「へ、?」
そういうとその遊女は声を高らかにあげて笑った。
「主さん、そんなこと気にしてたのかえ?」
「だ、だって、初めて会った人となんて…」
「主さんはうぶだねぇ、」
そういうとその遊女は自分の名前とここでのルールを教えてくれた。
最初から寝るのではなく寝るのは3回会ったらで
それも嫌なら必ずでは無いと
「そ、そうなんですね、安心しました。」
「主さんは珍しいねぇ、他の男とはなんか違う感じがするよ」
「そうですか?」
「だって、最初から押し倒してくるような野暮なやつもいるんだよ?まぁ吉原は、そういうところだから仕方ないのだろうけどね」
「そんなことないです!確かにここは吉原でそういう事ができるところですけど、最初からなんて、俺からしたらありえません。こんなに可憐で素敵なのに。紫さん」
「そうかえ、真正面から言われると照れるねぇ」
そういうと紫さんは顔を赤らめた。
「俺、紫さんを見た時可憐でどこか儚げでここには居ないようなそんな気がしたんです、でも今ここにいる。ありがとうございます、来てくれて」
「ほんとに変な主さんだねぇ、」