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前回から文章力の成長が感じられなくて泣くしかないです。
「痛ったあ…」
初手ドロップキックはないと思う。このうさぎ、頭がおかしいのか。
ずきずきと痛む顔面を押さえながら立ち上がる。と、鼻血がだらだらと垂れた。
小さいくせして高威力だな。
うさぎは脚力が強いとかなんとか聞いたことがあるし、そういうことなのかもしれない。
鼻血をたらたらと流しつつ、ティッシュをあてる。
すると、さっきのいけ好かないうさぎが肩に飛び乗ってきた。
重い。
〔お前、おれの主か?〕
「はあ?」
口が悪いな。
それが本当として、主にドロップキックを食らわすのはおかしな話だ。
ちらりと真葉原の方を見ると、うなずいている。
そうだ、ということらしく、ポニーテールを揺らして笑顔を浮かべていた。
「そうみたいだけど」
〔なら、これからよろしくな!〕
「よろしく」
私がそう言うや否や、うさぎが何かを吐き出した。
うさぎはそれをティッシュで拭くと、私の左手を取り、そして。
薬指に嵌めた。
「はあ!?ちょっとお前何やってんの!?気でも狂ったの!?」
わけがわからない。
求婚?は?
「おお、その反応懐かしい」
真葉原がからからと笑う。
いや、本当に笑い事じゃないんですけど。
「契約の儀式的なものだよ。安心してもらって大丈夫」
そう言って自身の左手を見せてくる。
その手に指輪が嵌まっていることを確認し、ほっと胸を撫で下ろした。
それならそうと先に言って欲しいものだが。
今日は驚きっぱなしだ。
魔法少女部ってそもそも何なのか分からないことが多すぎて最早怖い。
ちらりと時計を見る。
そろそろ弟が帰ってくる時間だ。
私が家にいないと、セキュリティの低い我が家は小学生には少々危ない。
「すみません。今日はもう、帰っても良いですか?」
「あ、いーよー。ご自由に」
「それじゃあお先に」
家と学校は少し遠いため、急いで帰り支度をした後直ぐに学校を出た。
全力疾走に程近い速度で走り続けているからか、息があがる。
因みに先ほどのうさぎはフランメという名前らしく、今はすっぽり制服のブレザーのポケットに収まっている。
〔なあ、お前の家まだなのか?〕
「うる、さい、な!」
〔疲れてんな、大丈夫か?〕
小さな身体を上手く上へ向け、フランメが私の顔を見る。
「確かに、ちょっとつかれた」
コンクリートの段差に座り込み、通学鞄から水筒を取り出し中身を飲む。
既に2kmほど走ったが、家まではまだあとおよそ1kmある。
ここでお茶を飲むくらいしないと、脱水症状になってしまう。
それでももう10分以上連続で走っていたからか、息が中々整わない。
「大丈夫か?」
ふー、と息を吐いて立ち上がり、いつの間にかポケットから出てきていたフランメを鷲掴みにして走り始める。
最近は空き巣が多いとご近所さんが噂していたし、早く帰りたい。
うちのボロ家があと少しに迫ったところで気が付いてフランメをポケットに入れ直した。
「ただいまー…」
あれ?返事がない。いつもなら上機嫌で駆け寄ってくるのに。
この時間で帰ってないなんてことないだろうし…あ、本を読んでるのか。
そう思って部屋を覗いてみた。
いない。
え?
「春?」
名前を呼んでみるものの、やはり返事がない。
顔から血の気が引く。
取り敢えず、全ての部屋を探す。
平屋で大して多くもない部屋を風呂場以外全部探して、最後に残った風呂のドアを開ける。
いた。
「え?」
ただし、部屋中に血が舞っていたが。
春は、バスタブに上半身を預けた状態で、倒れていた。
細い首の小さな裂け目からは、今もどろっとした血が垂れている。
赤い雫がぽたん、と垂れ落ちた。
ーーーー
そこからの記憶がない。
大人の話では、私はあまりのショックで気を失い、その後帰って来た父さんが通報したらしい。
春は、亡くなったそうだ。
私が休憩などせず帰っていたら。
発見して直ぐに手当てをしていたら。
何か、変わったかも知れない。
最悪の事態は免れられたかも知れない。
私のせいだ。
学校で真葉原から聞いた。
「多分それは、魔女の仕業だと思う」
魔女、というのは魔法少女の倒すべき敵で、黒い影は魔女が作り出した駒らしい。
中世の魔女狩りというのも、魔法少女の行う魔女退治の一環のようだった。
「じゃあ、魔女を倒せば復讐できるんですか?」
思わず聞いてしまった私を咎めることなく真葉原は答える。
「そうなるね」
「それなら私、魔女を倒します」
「魔女を倒して、復讐します」
意を決したように言う私に、真葉原は笑う。
「それじゃあ、これからよろしくね」
むしろ退化してます。




