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作戦変更

 アルタイルも目の前の出来事に驚いているらしく、神経を通して伝わってくる。


「どうしてそんなことするの!!?」


 みりあんが私の背後へ視線を向けながら、頬を膨らませて声を上げる。


「悪魔の仕事だからー?」


 さっきから聞こえていた若い女の子の声は、私の記憶のどこにも存在しないものだった。

 アルタイルにはその声の正体を知っているようで、みりあんの視線の先へゆっくりと顔を向けた。


「このタイミング……最悪じゃな」


 視線を向けた先には、悪魔のようなツノを生やし、悪魔のような羽を背中に宿した悪魔のような存在が私たちのことを見下ろしていた。

 見るからに悪魔的要素が詰まっているのに、悪魔だと断定できないのは態度が原因だった。

 まさに女子高生のような身なりをしており、口調もどこかギャルギャルしい。


「まさかこの目で両者が揃うところを見られる日が来るとはな」


 アレガはこの光景が嬉しいのか、低い声で笑っている。


「もっかい戻れーっ!!!」


 みりあんがそう唱えると、低かった笑い声が止み、再び落下し始めた。

 つまり、アレガとヤイチがまた入れ替わったのだ。


「ねぇ!これどうなってるの!?」


 状況の理解が追いつかず、私も表に出てきてしまった。


「おい、待て!今入れ替わられると、わらわたちも落っこちてしまうぞ!」


 アルタイルの言う通り、私たちの体は徐々に降下し続けている。


「このままじゃ埒が明かないからー、ここで潰させてもらうよー、天使さん?」


 悪魔のようなギャルがみりあんに向かって指を差している。


「ちょっと!!みりあんに何しようとしてくれてんのよ!!」


 あつみんが叫んでいるが、ギャル悪魔たちには届いていないようだ。


「どうしてこんな状況に……まぁ仕方ない。目的は果たせてないものの、アレガが引っ込んでくれた。ベガ!天使を少し頼むぞ!」


 アルタイルはベガからヤイチを受け取る。

 ベガはアルタイルの頼みを受け、みりあんたちの方へ向かった。


「わかった!」


 ベガは軽い体をひょいひょいと器用に動かし、スピーディーに飛行していく。


「おっか、さん、じゃない……?」


 ヤイチを抱えたまま地上に降り立つ。


「わらわはアルタイルじゃ。ドリームボックス振りじゃな」


 ヤイチの瞳は今にも閉じてしまいそうで、生気があまり感じられない。


「ヤイチは大丈夫なの?」


 アルタイルに尋ねる。


「え、おっかさん!?」


 先に口を開いたのはヤイチだった。


「ヤイチとアレガの仕組みと同じよ」


 「あぁ、そっか」と言うと、ヤイチの見開かれた瞳は再び細くなっていく。


「ヤイチの体は心配ない、今のところはな。問題はわらわたちじゃ」

「……リミットが近いってことね」

「うむ」


 私の話題になったということは、つまりそういうこと。


「わらわたちだけで未来の世界に行くのも、ソウルターミナルに移送されるのも、どちらも避けなくてはならない。ヤイチの中に爆弾を抱えたまま未来の世界に行くことも視野に入れないといけなくなったな」


 アルタイルはヤイチを見つめて唸っている。


「アリスよっ!!!」


 アルタイルの唸りを止めるように、私が表に飛び出して言葉を投げる。


「あ、あああ、アリス!アリスがどうかしたの!!?」


 突然飛び出したもんだから、ヤイチを驚かせてしまった。


「アルタイル、意味はわかるわよね?」


 ヤイチのことを置き去りにし、アルタイルに問うも返答はなかなか返ってこない。


「アルタイル?」


 名前を呼ぶと、唸り続けているアルタイルが表に出てくる。


「今の状態のアレガとデネブを合わせるのは非常にまずい」

「詳しく教えて」

「二人が喧嘩したことで、世界をいくつも消滅させてしまったことがあるんじゃ」

「大人しそうな子なのにね」

「わらわたちもそう思っていたし、本来は大人しいのじゃけど、アレガとはどうも馬が合わないようでな」


 良い策だと思っていたのだが、私が思いついたよりも先にアルタイルはすでに考えていたようだ。


「あ、未来の世界ってことは……」


 ヤイチがボソッと呟いた。


「未来の世界ってことは、何?」

「あ、いや、こっちの話なんだけど」

「うん、それで?」


 ヤイチは言いづらそうな表情をしている。


「両親がいるんじゃろ?」


 アルタイルはヤイチが何を言おうとしていたのか知っていたようだ。

 アルタイルの言葉に対して、ヤイチは首を縦に振った。


「それがどうかしたの?」

「父ちゃんたちなら、何とかしてくれるかなって」

「私たちじゃ頼りにならないから?」

「そんなこと言ってないでしょ!?」

「ごめん、嘘」


 ヤイチは頬を小さく膨らませる。


「わらわたち神はヤイチの両親について全く知らない。未知なものに期待を抱くのは良くないと思っておるのじゃが、実力は十分にあるのじゃ?」

「あったりまえよ!!!」


 ヤイチは自信満々に答えた。


「って言ったけど、俺も実際どんなものなのかはっきりとはわかんない。ただ、素人の目からでもわかる、二人の連携はやばい。まじでやばい」

「何かに例えるとしたら?」

「アライバコンビくらいやばい」

「世代じゃないよね?」

「ギリ世代だよ」


 と、少し話題が逸れそうになったところで、アルタイルが顔を出す。


「まぁ、今からアレガを起こさせる方がリスクがあるし、神の力を消失させられる確証はない。なら、世界を変えてリミットをリセットしてから策を考えた方がましじゃ。見えないものに頼ろうとしているのは少々不安が残るが仕方ない。ベガ!予定変更じゃ!未来の世界へ向かうぞ!」


 と、空中にいるベガへ声をかけたと思ったのだが、


「……おらんな」


 そこにはベガはおろか、みりあんもギャル悪魔も姿を消していた。

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