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季節高校生  作者: GORO
第1章
7/99

デート?2

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日差しが少し増し、時刻は昼の一時を回る。

まだ肌寒さがある中、


「はーぁ……………」


藪笠は頬をつきながら溜め息を吐いた。

今、藪笠がいるのは商店街に並ぶ一件のコーヒーカフェの室内。

男女の客が多く、賑やかに喋り声が店内に広がりつつある。

そして、ある一角の藪笠を除いた彼女たちも、


「花、まさかアンタが藪笠狙いだったなんてねぇー」

「ち、ちがうよ。ちょっと藪笠くんに協力してらって貰おうと」

「へー、協力ねー……」



浜崎と島秋 、そして鍵谷の三人の視線がそこから藪笠に集中する。

特に鍵谷の視線がキツイ。

三者視線に顔を背け、居づらさと気まずさを感じる藪笠。

心中では、この場を離れたい!!

ゴクリと唾を呑み込み、藪笠は小さな咳払いをしてから口を開く。


「…………あー、お前ら」

「「「何?」」」

「っ!?」


まさかの三人返事に怯みそうになった。

藪笠は眉を潜めつつ、席から立ち上がりながら、


「い、いや………俺ちょっと向こう行ってコーヒー入れてくるから」


そう言って脱兎のごとく逃げた。

少女たち三人の視線を気にしつつ、とりあえず様子を見るため死角となるコーヒー入れ場の角に隠れた。

空になったカップにコーヒーを淹れ、一口飲む。

ここで時間を潰そう、と考える藪笠は溜め息を吐く。

壁に背をつけ、時間が五分と経過しようとした。


「はー…………」


大きな欠伸をしながら、どうにも戻りにくい彼女たちのいる席。

コソッ、と未だ喋り続けているだろう彼女たちの様子を顔を出して伺った。

そこでは、共に笑いながら浜崎と島秋が雑談中。

何やら楽しそうに話し合っている様子に見えた。

藪笠は小さく溜め息をつく。が、そこであることに気づく。



(あれ? ……………浜崎と島秋って……………?)



誰か一人忘れているような、とそう思った。

その直後。


「何コソコソしてるのよ」

「!?」


背後の声に藪笠の体が震わせる。

後ろに振り返ったそこに、腰に手をつけ眉間に皺を寄せる鍵谷真木の姿があった。


「か、鍵谷ッ!?」

「全く、何してるかと思えば」


顔を引きつる藪笠を見て、呆れたように息を吐く鍵谷。

それでも彼女の表情は変わらない。


「いや、違うからな。俺は別に戻り」

「最低よね。いくら女の子にモテないからって覗き見なんて」

「なッ、違う。俺はただお前ら三人の話に入れなかったから」

「はいはい、言い訳がうまいうまい」


馬鹿にしたような言いぐさ。

イラッ、と額に青筋を浮かばせた藪笠は顔を背ける鍵谷に対し睨みながら言う。


「そういうお前はこんな所でなにしてんだ?」

「ッ!?」

「わざわざ俺にそれを言いに来たのか? 暇なんだな、お前も」

「な、なな何言って!?」

「だったら説明してもらおうか。手にカップも持たずに来たわけを?」

「だ、だから………………それは……………………」


藪笠の続く言葉についに唇を紡ぐ鍵谷。

コーヒー淹れ場の角、二人の間に沈黙が漂う。

何も話さない鍵谷にさすがの藪笠も、あれ…もしかして泣いてるのか? 

と心配してしまう。

だが、その時。顔を伏せていた鍵谷が小さく呟く。


「…………するの」

「は?」


微かな小さな声だったので、聞こえにくく首をかしげる藪笠。

その反応に対し鍵谷は、キッ、と顔を上げ頬を赤くさせながら涙目で藪笠に迫り寄る。


「なっ!?」


顔と顔が当たりそうになる。

そのことに頬を赤らめ藪笠は後退りそうになる。だが、鍵谷は体が当たりそうになる所で足を止めた、そして周りに人がいるのも気にせず大声で言った。



「アンタは、誰でも頼まれれば付き合ったりするのかって聞いてるの!!」



それはもう、ヤケクソだった。

賑やかだった店内が一瞬にして静寂に変わる。

顔を真っ赤に染めながら藪笠を見つめる鍵谷。対して驚いた表情で鍵谷を見つめる藪笠。

二人の間に再び沈黙が落ちる。


店内に只ならぬ、緊迫した違った雰囲気が漂うこととなる。



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