失われた写真と流れ星
母の遺品を整理していると、一枚の写真が目にとまった。
3人の家族とオリオン座にかかる一筋の流れ星の写真。
あの日、母はなんと言っていたか。
「今日は冷えるわ。でも星は良く見える。あれはオリオン座ね。」
「せっかくだから、夜空をバックに写真を撮りましょう。」
翌日、父が倒れ、母は父の介護に奔走した。
―――
あれから5年、もう父も母もいない。
夜空にはオリオン座が今も輝いている。
その時、流れ星が流れた。
「今日も冷えるよ、母さん」
私は星に向かって、そう囁いていた。