最終決戦
初めまして。
テルミン人形です。
この作品は一言でいうと私のやりたいことを詰め込んだ作品です。
眼鏡っ子のヒロイン。
巨大怪獣。
荒廃後の世界。
読みにくい文章かもしれませんが楽しんで頂けると幸いです。
気が付くとそこは真っ赤な景色だった。緊急用なのか赤いランプが延々と点灯している。揺れも酷い、身体中がミシミシと悲鳴を上げていた。
「うっ。くっ……」
ブーブーブー。
ガギッ。バチン。バチチッ。
「……イコ!! レイコ!!」
「はっっ」
私はいったい。
そしてこの暑さは?
急速に意識が覚醒していく。
私は戦わなければならないのだ。
「こちらレイコ。ごめん心配かけて。状況は?」
「敵さんは現在沈黙。さっきの攻撃がかなり効いてるな。しかし、こちらも限界が近い」
「次の攻撃いける?」
「おそらくは次で最後。 機体の装甲が持たん」
「こっちの被害は。 ユキはどうしたの」
「なんども呼び掛けてる。回線がいかれちまってるのか、それとも」
それとものほうなんて考えたくない。
ゴゴゴゴゴッ。
この地響き。
奴が動く。
「モニターを復旧する。俺たちだけでも戦うぞ!!」
ブゥゥゥン。
ピコン。と音がすると視界が一気に開ける。
火の海になった街。あれからどれくらい気を失っていたんだろうか。
外が暗いのは煙のせいなのか、夜だからなのか。
そして目の前の敵。
ビルと同じくらいの大きさ。
岩石のように硬い皮膚。
鋭い牙に翼。
それはRPGに出てくるドラゴンのような。
何度も変態したその姿に以前の面影は全く無い。
「システム起動。神経再接続」
バチンッ。
「んあぁあああっ」
痛みが遮断されてない!?
でもそんなことは言ってられない。
涙目になりながらレバーに手をかける。
深く息をして言った。
「帰ったらまた3人で海行きたいなぁ~」
驚いた。
こんな状況でこんな明るい声が出るなんて。
あのとき恥ずかしがらずにもっとみんなと向き合っていれば。
私は……楽しかったんだ。
「お、おう。お前の水着期待してるよ」
なんで私がこんなことになってるのか。
敵ってなんなのか。
ユキって誰なのか。
私と喋っているのは誰なのか。
それはこの戦いに勝ってからになると思う。
もし生きていたら。
聞いてください。
「突っ込むよ」
「ひゃあ……あんた女の子でしょ」
「冗談言わないの」
「作戦はあるのか?」
「この期に及んであるわけないでしょ。あいつが起き上がる前に参式の粒子爆発を叩き込む」
そう、もう作戦なんてそれしかない。
銃は弾切れ。
アトミックビームもエネルギー切れ。
参式なんて言ってるけど、必要ない部品を外して、少しでもパンチを当てやすくしたというだけのものだ。
「はああああああ!!」
ペダルを思いっきり踏み込む。
だが敵もそのままやられてはくれない。
徐々に体勢を戻しつつある。
ガギンッ。
「くっ。んあっ。のおぉぉ」
「止められた……出力最大!!」
キイイィィィン。
ガガガッ。ガゴ。ガゴゴゴッ。
ケルビナの突進は体勢を立て直した震龍の硬い外骨格によって完全に勢いを殺された。
「どうするお嬢さん」
「どうするったって。ここまで戦ってきて……」
「はははっ。諦めるなんてお前らしくもねぇ」
「だってさぁ!! 全力の特攻を止められたんだよ!? もう攻撃の手段が残ってないよ」
「俺らの勝ちだ。また海行きたかったなぁ~」
何をバカなこと言ってるんだろう。
こんな明るい声で。
「平和な世界になったらさぁ。ちゃんと大学行って、結婚して、幸せに暮らせよ」
「なに? そのこれで最後ですみたいなセリフ」
状況が理解できない。
この状況で平和になった後の話をしてる。
「悪いな。もう時間がねぇや。俺、お前のこと好きだったんだ」
ダンッ。
と通信機から何かを叩く音が聞こえた。
モニターには真っ赤な画面に強制射出の文字。
それから先はスローモーションの映像がずっと流れているだけだった。