前哨戦
クエストの山に向かいながら
「そういや今回のクエストって捕らえろって依頼だったよな?手加減して捕縛までしないと駄目なのか?」
とサージが聞いてくる。
「あぁ、それだけど一応人間系の敵はHPを削りきると気絶扱いになるみたい。それで改めてトドメをさせば死ぬことになるみたいよ。一応ゲームとはいえ人を死なせることに対する配慮みたいね。」
とアリナさんが教えてくれる。
「なら遠慮せずに戦っていいってこったな。良かったぜそんな器用な事出来ないからな!」
とサージが言っている。
「それが聞けたのはよかったわ。手加減考えてたら毒の相手は厳しいからね。」
ミニアスさんもしらなかったらしい。
「あ、そうだ。チェリンさんとアシャーレ、これを」
俺は前回のイベントで余っていたデッキを一つずつ渡しておく。
「トランプ?これは?」
アシャーレが聞いてくる
「前回のイベントで作ったスペルスクロールだ。よかったら使ってくれ、役での強化は出来ないだろうけど単品としては使えるはずだからさ。まぁ文字通り手札が増えたとでも思ってくれ」
そう言いながらセット内容を教えておく。
「ありがとうございます。これは助かりますね」
チェリンさんもお礼を言ってくる。
そう会話をしながら進んでいたら件の山にたどりついた。
「着いたわね。気配を探してみるけど周囲の警戒はお願いね。」
そう言って集中しはじめる。
そうしてるとミニアスさんが
「何人かこっちに来てるわ、警戒して!」
と警告を発してくれる
俺達は迎撃体制を整え迎えうつことにする。
「くるわ!」
そう言われると盗賊達が10人ほどで俺達を包囲しているようだった。
「最初に支援する!感覚が違くなるかもしれないから気をつけてくれ!手札開示!」
そう言って最後の特集セットからクラブのスートの2~6でストレートフラッシュの支援魔法詰め合わせを発動させる。すると全員にトランプに封じていたバフ系魔法が全て効果があがった状態で発動した。
「ちょ!?何この効果!?普通のバフより明らかに効果高いわよ!?」
とミニアスさんが驚いている。
「【トランプ】スキルの効果の一つです!それよりも敵を倒しましょう!」
「防御と引きつけはまかせな!│〈挑発〉(タウント)!」
そう言ってサージが盾で殴ったあとに盗賊達を引きつけていく。サージを狙いにいったやつらに
「これだけのバフがありゃこの程度には負ける気しねぇな!」
「全くっす!」
「驚いたけどその通りね!」
「大会のときにこれあったら危なかったなぁ」
とユース、ノーマン、ミニアスさん、カーセが攻撃を加えていく。そういやミニアスさんの戦い方聞いてなかったけど素手での格闘みたいだな。
「残ってるのを狙いうちます。」
「僕はさっきもらったあれで!」
「俺も追撃だ!〈アクアボール〉!」
俺とアシャーレ、チェリンさんの後衛組は前衛から離れている奴らをターゲットにして追撃をする。
程なくして、襲ってきた奴らは制圧できた。
「ごめんなさいね、戦ってたのはわかってたんだけど気配察知の方を優先したかったからそっちに集中してたわ。」
「いや大丈夫ですよ。それで何か判りましたか?」
「えぇ、一応集団がいそうな場所はわかったわ。けど人数まではわからないわね。」
「それでも助かりますよ。とりあえずこいつらどうしましょうね。捕縛したはいいけど連れて歩けないし…」
「とりあえず身ぐるみは剥いで、手足口を縛って木にでもしばりつけといたら?」
「それで挟み撃ちとかになったら怖いですけどそれしかないですかね。あとは一応罠も仕掛けておきます。」
そういって木に気絶してる盗賊どもをしばりつけ、周りにトランプを罠として配置しておく。
「ホント便利ね…とりあえずいつまでも捕らえておけるか解らないし、さっさとアジトっぽいとこ行きましょ。こっちよ。」




