楽しみ方は人それぞれ
カウンターを離れて掲示板を見ていい依頼がなかったので外にでて入り口から少し歩いた所ででかい剣を背中に背負った男に声をかけられた。
「おいおい聞こえたぜ!≪オリジンスキル≫が【トランプ】だってな、馬鹿じゃねぇのか。そんなんで戦えるわけもないだろ!さっさとゲームやめたらどうだ?」
げ、聞かれてたのかよ。こういうのがいるかもしれないからあまりバレたくはなかったんだけど聞かれたなら仕方ないか。しかも今周りにいるプレイヤー達にもバレたし。
「はじめたばかりなのに止めるわけないだろ。そういうお前は何を≪オリジンスキル≫に選んだんだよ?ていうか誰?」
関わりたくはないが、逃げれなさそうなので仕方なく対応する。
「この武器みりゃわかるだろ!この俺ユースの≪オリジンスキル≫は【両手剣】だよ。お前のとちがってちゃんと戦えるように考えてるからな」
「ふーん、確かに戦闘向きだろうな。戦えるだけってだけで選んだのか?」
「そうに決まってるだろ、それ以外にスキルを選ぶのに考えることなんかないだろうが」
「そうとは限らないと思うんだけどな。生産職とかもあると思うし」
「馬鹿か!生産職をやるつもりでも戦えなきゃ始まらないだろうが!百歩譲って生産系スキルを≪オリジンスキル≫に選ぶのはありとしてもお前みたいな意味不明スキルを選ぶのはありえねぇだろうが」
「別に好きに選んだっていいだろ。俺はこのゲームのタイトル通りに自分だけのスキルの使い方や組み合わせを見つけたいんだから(まぁ【トランプ】はランダムで決定したんだけどな)」
「けっ、後悔するなよ。すぐに何も出来ないでやめることになるにきまってる」
そう言って、ユースとかいった男は去っていく。あれ、意外と簡単に引いたな。もっと絡まれるかと思ってたんだけどな。
ユースと入れ替りでもう一人、猫耳の獣人のプレイヤーが話かけてくる。
「災難だったわね。私はアリナ、少し話いいかしら?」
「俺はジンです。話はいいんですけどさっきのユースとかいう男のせいで目立ってるんでどっか目立たないとこに移動してからでもいいですか?」
自己紹介をされたので自分も名前を教える。あ、さっきのユースとかいうのに名前いってなかったな。あっちは教えてくれたのに悪いことしたかな。
「ええ、いいわよ」
人がいないとこに移動して、座って話をはじめる。
「それで話なんだけど、先に言っておくわね。気を悪くしたらごめんなさい」
「いえ、なんとなく想像つきました」
「まぁさっきの今だもんね。じゃあ単刀直入に聞くとなんで≪オリジンスキル≫に【トランプ】を選んだの?さっきのユースていう男の態度はともかくとして、言ってることは完全な的外れってわけじゃなかったと思うのよ。あ、あなたの≪オリジンスキル≫だけしるのはフェアじゃないわよね。私のも教えておくわね。私の≪オリジンスキル≫は【短剣】ね」
「内緒にしておいてくださいよ?単純にランダムにしたら【トランプ】になったてだけなんですよ」
「え?このゲームで一番重要になるって言われてる≪オリジンスキル≫をランダムで選んだの?何か理由があったりする?」
「いえ大した理由はないです。強いて言えば運営が一期一会ということを言っていたのでランダムで選んで一期一会を大事にしたいなぁと思っただけです」
「ははは、なるほどなるほど、そういうことか、そういう考え方は好きよ。なるほどね」
「ま、【トランプ】になった時はどうしようかと思いましたが。というか現在進行形で思ってますけど、さっきも言いましたけど自分だけのスキルの使い方とかを探してみますよ」
「そうね。そういう楽しみ方もアリよね。私もそういう楽しみもしたりしたいかな。ありがと、結構楽しい話だったわ。あ、フレンド登録しない?」
「いいですよ」
そうしてアリナさんとフレンド登録をして別れた。