到着寸前
休憩所を見つけた俺達はそこで体を休めつつ回復をしていた。
「〈ヒールウォーター〉、ノーマン、これで大丈夫そうか?」
「あざっす。とりあえず問題ないっす。町までどれくらいかかるかわからないのでポーションは節約したいから助かるっす!」
「俺らもノーマンに頼ってるからな。持ちつ持たれつだな」
「そうよ。あたしは回避型だから囲まれるとつらいし、チェリンとジン君は攻撃を食らうだけでかなり厳しいしね。しかしジン君【水属性魔法】覚えてたのね」
「ダンジョンから帰ってきた後に覚えれましたよ。俺のスタイルだと使える魔法が増えれば文字通り手札も増えるからよかったですよ」
「そうね、回復魔法があるだけでも違うと思うわ」
「皆は新しいスキルは取ってないんですか?」
「取ったのは【気配察知】だけね。書物ではまだね」
「オイラは親方に【精錬】を教えてもらっただけっすね。書物はまだ使ってないっすけど戦闘系スキルにするつもりっす」
「私は店長から【細工】を教わって書物で【弓】スキルを獲得しました。まだ弓スキルの技は覚えてないですけど」
それぞれ当たり外れの無いスキルを手にいれてるみたいだな、自由に獲得できるとなると悩むのもわかるよなぁ。
「そうなんですか。ま、欲しいスキルはそれぞれですから書物は悩みますよね。さてそろそろ出発しませんか?」
「そうね。体は休めたし、HPとMPも大丈夫かしら?」
そう聞かれて皆の否定もなく出発した。
出発してからアクティブの蜘蛛に何度か襲われたが3匹以上で来るのは珍しいらしく、ほとんどが2匹までだった。3匹くると消耗がでかいので俺はスペルスクロールの消耗が激しく、残りはハートの5~10、ジョーカー2枚、8が3枚しか無くなっていた。もう少し多めに準備するべきだったな…MPポーションも残りは1個だし。
他の皆もポーション類はきれたようで焦りはじめているようだ。
そうして俺が準備不足の後悔をしはじめたあたりで町が見えてきた。
「あれじゃないですか?」
「そうであってほしいわね。じゃないと死に戻り確定コースだわ」
「何があるかわからないから油断はしないほうがいいっす!」
「目的達成の直前こそ油断したら大変な事になっちゃうこと多いですからね」
そうして町に急ごうたした時にタイミング悪く蜘蛛が3匹でこちらをターゲッティングしていた。
「蜘蛛が来たぞ!数は3!最後の踏ん張り所だ!」
みんなに注意を促すために声を掛ける
「OK!やるしかないわね、皆もう後のことは考えないで戦って!」
アリナさんが皆にそう指示をする。俺も同じ考えなので出し惜しみはしないで8のスリーカードからジョーカーのスプリットで攻撃を加えていく。
「これで攻撃のスクロールは品切れだ!あとは回復のスクロールが5枚と自前の魔法だけだから、援護の回数は減ると思ってくれ!」
皆に注意を促しておく。
ジョーカーに封じていた〈ファイアランス〉が蜘蛛を地面に串刺しにして一瞬蜘蛛が身動きを取れなくなったところで
「〈パワースタンプ〉っす!」
「〈スナイピング〉!」
「〈ダブルアタック〉!」
それぞれがスキルでの攻撃を繰りだし1匹を確実に倒したが、ヘイトを稼ぎすきた俺に蜘蛛が向かって来て噛みつき攻撃をしてきていた。
俺はとっさに外套で攻撃を防御したが、その一撃でHPゲージが8割ほど減っていた。もう一匹も俺に攻撃を加えようとしていたが、ギリギリでチェリンさんの矢での攻撃があたって硬直したらしく、かろうじてかわすことができた。
「ジンさん、下がってくださいっす!」
「回復して!」
「時間は稼ぎます!」
皆が2匹を押さえてくれたので手札を換装し回復をして残りのMPを使って攻撃をする。
「〈ファイアランス〉!」
さっきスクロールで発動させて一瞬だけでも動きを封じられたため〈ファイアランス〉で攻撃した。スクロールの効果でHPは8割まで回復した。
「トドメっす!」
「行かせないわよ。」
「牽制します。」
ノーマンが1匹を倒し、残りは1匹となった。ここまで来ればもう倒すのに問題はないと思っていたが、さらに追加で3匹がこちらに向かって来ていた。
「さらに3匹追加だ。これは詰んだかな」
と諦めていたら不意に
「手伝おうか?」
と声がかけられたのだった。




