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6.遠征

 宿を引き払い買い物に出た。朝は特に活気がある、

 屋台を回ったり市場で食料を買い込む。

 それから街を出ていつもの森へ向かい森の中を迂回し別の道へでた、

 誰かが見ているかもしれない、今度は用心しよう。待ち伏せは1回で十分だ。



 お昼頃になった。時計などないのでその辺は適当だ。


「休憩するか。」木陰に移動し周りを見渡す、動くものは見えない。


 水を飲んで一息ついた。昼食はサンドイッチ、メイリンは串焼き・・ほんと好きだなそれ。



 改めて考えてみる、上級の範囲魔法の使いどころ。

 メイリンは魔族との戦いを想定しているのだろうか。

 ただ単に魔法を教えたいだけならいいが。

 それと魔族の事、街やギルドでも勇者や魔族の噂は聞こえなかった。

 まだ魔族との衝突はないようだ。

 準備段階で民衆へ公表する段階まで来てないのだろう。

 これまで威力の強い魔法は使って来なかった、目立つのだから仕方ない。

 今回はその練習と魔物を相手に効果の確認もしたい。


「さて、進もう」


 ひとりと一匹でまた歩き出す。急ぐ旅でもないので爽やかな風を感じながら。



「だいぶ街から離れたわね。このあたりならいいんじゃない?」


「そうだね森に入って適当な所を探そうか」


 森へ歩きだし少ししたらゴブリンが2匹いた。


「ちょうどいい中級魔法をためしてみるか。」


 気配を消しで射程圏内に近づき魔力を練る。

『サンダースピア』

 これは雷の槍が狭い範囲に複数降り注ぐ魔法だ、眩い光を放つ。

ゴブリンはボロボロでオーバーキルだ、討伐部位など採取できない。


「やはり目立つな、だがこれならオークも一撃だろう。」


 発動には魔力の溜めがあるからツーテンポ遅れる。

 上級はさらに発動まで長くなりそうだ。

 さらに奥へと歩く、オークが1匹いた。

 気配を消しで射程圏内に近づき魔力を練る。

『サンダースピア』オークは一撃で倒れた。


「オークも一撃か。」


 何故かメイリンがドヤ顔だ。


「効果は確認できた、戻ろう。

 森の奥は危険だから少しもどって今日の野営場所を探して休憩しよう。」


「明日から、上級魔法の習得ね。」 


「了解。」


 野生の鹿を見かけたが今回はスルーした。



「よし、ここで野営しよう。」


 テントを設置しテーブルとイスを用意する。

 そして鳥の丸焼きを取り出し皿に切り分ける。

 ほかにパンと野菜を用意する。


「夕食の用意できたよ。」


 メイリンは鶏肉をはむはむ食べだした。

 自分はパンを半分に切り野菜と鶏肉を挟み食べる。今度マヨネーズでも作っておくか。

 夜はテントでぐっすり眠る、なにかあればメイリンがすぐ察知するので心配ない。


 翌日から上級の範囲攻撃魔法の習得が始まった。午後は魔物を探し試すが効果は上々。

 レベルもあがった。40になった。


「なかなかサマになって来たわね。」


 今ならオークの上位種ハイオーク(ランクB)も倒せるだろう。

 さらに上のオークキング(ランクA)もいるが上位種は手下を従えているので鉢合わせは勘弁したい。

 弓の練習も始めた。


 テントで夕食をすませ休憩中に気配を感じた。

 確かめてみると誰か走ってくる、女がひとり。

 歩いて近づくと女はこちらに気づき駆け寄ってくる。


「お願い、妹を助けて。オークにつかまったの。」


 女は必至な形相で目には涙を浮かべているが、わりと美人な部類だと思う。


「まあ、おちついて、なにがあったか話して。」


「仲間6人で移動中に襲われて、みんなばらばらに逃げたんだけど、妹だけつかまって。」


「そうか大変だったね、それでオークの数は?」


「一匹よ。私たち Eランクの冒険者でオークなんかに勝てないの。妹が最初に襲われて


 逃げる余裕がなくてすぐつかまって。助けようとしたけど他の人に止められて。」


「まだ、遠くへは行っていない、すぐ助けなきゃ。」


「よし、探しにいこう、君は残ったほうがいい。」


「一緒にいく。」


「そうか、行こう。」


 女が走ってきたほうへ向かって足早に進む。メイリンもついてきている。

 30分ほどいくと見つけた、オークが女の手をしばったロープを引いて歩いている。

 かまわず近づくとオークが振り向いて声をあげた。


「ブモォー」


「お姉ちゃん。」


「ミリー」


 剣を抜きオークに向かって突進するとオークは斧を持つ手を振り上げた。

 小さな声で『パラライズ』そして迫ってくる斧をよけつつ腹を切る、

 振り向いて後ろから今度は足を切る。

 片足をつき姿勢が下がったので首を狙い振りぬく。

 すべて切断とまではいかなかったが、首の傷は特に深手のようでオークは片手を地面についた。

 そこに姉が突進し短剣を目に深く突きさした。オークは倒れた。


「お姉ちゃん。」


「ミリー良かった、無事だった。」


「おねぇちゃんならきっと来てくれると信じてた。」


 ロープをほどき抱き合っていた。その間にオークの魔石を回収。



「妹を助けてくれてありがとう。」


 姉はスレンダーな感じの美人だ。


「助けてくれてありがとう。」


 妹は幼さが残るが姉より胸が大きい、両手で握って頭をさげていたが

大きな胸が揺れていた。


「いや、ちょっと手伝っただけだよ。助けたのはお姉さん。」


「ここは危ないから街道近くへ戻ろう。」


 3人で街道へ向かって歩き出した。途中ふたりの荷物を回収した。




「私は、シーラと言います。妹はミリー、よろしく。」


「ミリーです、よろしく。」


「ナオヤです。よろしく。」


「ナオヤさん、強いですね、オークを倒すなんて。」


「いや、トドメさしたの、お姉さんだよ。」


「その前の剣さばき、冒険者なんですよね。」


「Dランク冒険者です。ああそうだ、これが魔石。」魔石を差し出す。


「受け取れません。」


「俺はお金には困ってないからさ。受け取ってよ。」


「・・・・ありがとう。じつは、親が亡くなって仕方なく二人して冒険者になったの。」


「縁談もあったんだけど、おじさんばっかりで、それじゃ妹がかわいそうで、

まだ成人前だったのに。」



 もとの休憩場所についた。


「おなかすいたでしょ、食事にしましょう。」


 手提げバッグから桶やタオル、食材と食器をテーブルへ出す。


「ありがとう。」シーラが魔法で桶に水を出し姉妹で体を拭いていく。



 メイリンには鳥の丸焼きを切り分け皿にもる。


「あら、ネコちゃんもいっしょなのね。」


「ええ、相棒です。」






「これからどうするんですか。」


「んー考え中。また薬草採取かな。」


「でも、それじゃまた貧乏ぐらし。」


「そうなのよねーはぁ~。」


「それにしてもあいつら私たちをみすてやがって。」


「ほんと、一目散に逃げていなくなって。」


「熱心にさそわれたから参加したけど、失敗だわ。」


「今度から、あんなへたれ共はお断りよ。」


「そうは言ってもベテランの冒険者が私たちを仲間にする目的って・・・・。」


 姉妹がおたがいを見つめ合う。


「駄目ね。」


「やっぱ、そっちか。だめだめ、おねぇちゃんの恋人は私のお眼鏡にかなう人じゃないと。」


「ひとりいるけどね。」チラっとこっちを見る。


「いきなり、失礼でしょ。」


「それなら、遠慮しないよ、ふふ。」


「もう。ミリーったら。」




「ナオヤさん何処に住んでるんですか?」


「宿暮らしです、引き払ってきたので今は宿なしかな。」


「私たちこの先のアーミルの街に住んでます。

両親が残した家があるので家に来ませんか、歓迎します。」


「賛成! いい人で強いし、3人でなら割のいい仕事ができそう。おねぇちゃんやるわね。」


「う~ん、どうしようか。」


 いきなり美人姉妹の家に転がり込むのか。チラッとメイリンを見ると不満そうだ。


「妹も賛成のようですしお願いします。」


 片手でメイリンにゴメンと合図を送る。


「しょうがないわね、いいわ。」


「えっネコがしゃべった!」


「誰がネコよ、使い魔のメイリンよ。」


「可愛い!」妹のほうが素早く抱きしめる。


「ちょっ離しなさい、私はペットじゃないのよ。」


「かわいい。」


「僕の師匠なんです。離してあげて。」


 ふたり仲間が増え三人と一匹になった。


「今日はもう寝て明日にしましょう。二人はテントに。」


「わたしもテントね。」


「はいはい。」



読んで頂いてありがとうございます。

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