5.大きな街
冒険者ギルドへきた、メイリンは宿で留守番ベッドで丸くなっている。
ここは前の街より大きく冒険者も大勢なかにいた。
クエストストボードの前で割のいいクエストを物色するのに夢中のようだ。
「おはようございます、剣の指導を受けたい。」
「はい、初心者向けですね、一回2時間銀貨5枚です。」
銀貨5枚をカウンターに置く。
「キルネさーん」
「おう、なんだご指名か?」
「こちらの方に初心者向けの剣の指導をお願いします。」
「がんばって。」
「ルーキーか、こっちだ。」
「よろしく。」
訓練場に来た。
「よし、まず振ってみろ。」
剣を抜き振ってみた。それから基本的な振り方を教わった。
振っては修正される、二時間それを続ける。
「まあ、ルーキーならこんなものだな。最後にまず体が硬いストレッチでもしろ。
それから、体の動きが大きい、大袈裟だな、隙が大きい。
足腰を鍛えて意識して練習すれば良くなるだろう。
小さな動きから鋭く剣を振る、強くではなく、素早くだ。
強い一撃はここぞというときに出せばいい。」
「ありがとう。」なかなか勉強になった。休憩して訓練場をでる。
クエストボードを見てみるとAランクは無かったがBランクはいくつかクエストが張り出されていた。
この街には高ランクの冒険者もいるようだ。
ギルドを出て宿に戻り食事を済ませる。ここもメイリンに配慮してくれる。
余分に皿を用意してくれるので食事を分けてあげる。
街のレストランではそういうわけにはいかない。あとは屋台ですます。
メイリンには食器が必要だが。さて森へいって練習がてら狩りでもするか。
メイリンとともの街の外へでて森へ入る。
「生活費もかせがないとな。今日は軽くいくか。」
「明日から魔法の訓練再開するわよ。」
「了解。」
「この私がじきじきに教えてるんだから早く最強になりなさい。」
「えっ・・最強って。」魔王相手にするわけじゃあるまいし最強の必要はないんだが。
それは勇者の役目。
「明日から中級魔法を教えるわよ。」
まあいいか、強いにこしたことはない。
薬草を採取し見かけたゴブリンを狩ってから街へ戻った。
ギルドへの報告は控えめに薬草2種各20本とゴブリン3匹の討伐部位をギルドへ納品した。
薬草屋と道具屋はすぐに見つかった、やはりギルドに近い。
冒険者がよく利用するのだから当然か、早速換金する。
翌日の森
「攻撃、防御、回復系とどんどんいくよ。」
その日からメイリンのスパルタ教育が始まりおかげで中級魔法まではひととおり習得した。
中級の攻撃魔法も習得したが目立つので練習はやめておいた。
上級魔法はここでは無理だ、どこか目立たずに練習できる場所があればいいのだが。
「小物を相手にするのもあきたわね、次はオークあたりかしら。」
たしかにもうレベルが上がりにくくなってきているがオークは単独でもCランクだ
ギルドへ報告すれば目立つ、報告する気はないが。
森の奥へ向かった。
ん、なにやら聞こえるな、誰か戦っているようだ。
様子を見に行くとオーク相手に戦っている者たちがいた。
6人のパーティーでどうやら苦戦しているみたいだ。
戦士らしきひとりはすでに倒れている。目立ちたくないが仕方ない。
後ろから奇襲し剣で足を切りつけた、こっそり『パラライズ』もかけておく。
「今だ!」回復役を除く4人は一斉に攻撃をしかける。
なんとか倒したようだ。
「助かった。恩に着る。」
「いつものオークに比べて強くてやばかった。」
オークといっても個体ごとに強さは異なるみたいで、野生を生き抜くと強くなるようだ。
倒れた戦士に回復役が駆け寄り介抱している。
「大丈夫なようですね。」
こっそり鑑定したら戦士のレベルは31だった。
「あ、まってひとりでこのへん歩いてたら危ない。このあたりはオークが
たまに出没するところなんです。」
「そうか、気を付けるよ。」
さっさと離れよう詮索されたくない。
とりあえずオークに『パラライズ』が有効だと確かめられたのは収穫だ。
次は『ポイズン』の効き具合を確かめよう。
そこから離れてオークを探しならが歩いた・・・いた。
さっそく近づいていき『パラライズ』次に『ポイズン』を放つ。
苦しそうだがまだ敵意は健在だ、苦しそうにしながらも近づいてくる。
適度に距離をとり剣で牽制しながら様子を見る。
毒も有効だが時間がかかるようだ。最後に動けなくなくなったところで剣で止めをさしておいた。
後は魔石を回収し魔法で穴を掘り深く埋めておく。
『パラライズ』『ポイズン』のコンボで弱らせ止めをさす、二匹くらいなら同時に相手できそうだ。
それ以上は気配を消してスルーだな。
効果も確認できたので退散しよう。次は『アイススピア』を試してみるか。
それに久しぶりにレベルが上がったそれも一気に2つ上がって23になった。
さすがはCランクモンスター、一匹でこれはちょっと嬉しい。
普通なら彼らのようにパーティー6人で分ける経験値が俺はひとり。
明日からの狩りが楽しみだ。
そしてオークは魔石を持っている、これはさらに嬉しい。
オークはでかいが魔石だけなら目立たず換金できそうだ。
薬草採取は卒業だ。
しかし、知らない所で悪いニュースが飛び交っていた。
「で、いい話なんだろうな。」
「いえ、それが。」悪い知らせなので躊躇したが、後でばれると面倒だ、しかたない。
カシスの街で仲間6人が消えた事、探したが見つからない事を告げる。
「気に入らないな。」6人が消えた、大抵こういう時はモンスターの仕業だが死体くらいは
残るのが普通だ、しかし今回は無い。
「しばらく様子見だ、ひょっこり近くの村にでも現れるかもしれん。」
「それと、6人が狙っていた冒険者のガキですけど、どうやらこの街にいるようです。」
「よし、ちょっかい出すなよ、探りをいれとけ。」
今日も森の奥で狩りだ昨日のギルドへの納品報告でランクはDに上がった。
ルーキーは卒業だ。
だが今日はいつもと違う。宿を出てから監視されている。
森へ入るといつものように気配を消して歩いたのでついてこれなかったようだが、何者だろう。
メイリンも気づいていたようで後ろを気にしていたような感じだ。
とりあえず今日の狩りだ森の奥へ向かおう。
オークを探して歩きまわったせいでちょい疲れたが収穫はあった。
しばらくはこうしてレベルを上げていきたいが気になるのは監視する連中だ。
街に入った頃からまた後ろを歩いてくる。
「メイリン後ろの連中頼めるか?」ついてくるのは男二人。
「そうね、しかたない、やってあげるわ感謝しなさい。」
「手は出さなくていい。」
「報酬はそうね、屋台でいろいろ買って。ふふ」
ギルドへ報告をすませメイリンのリクエストであれこれ買って屋台を回る。
宿へ帰るとメイリンは気配を消し出かけた。
暗がりに潜む盗賊の二人。
目当ての冒険者が宿へ入るのを見届けるとひとりはアジトへ報告にもどった。
「ガキは森へいきましたぜ。」
「で? それから?」
「それが、森へ入ると見失って。」
「他には?」
「街ではギルドと宿と買い物くらいです。」
ドアがノックされメイリンが帰ってきた。
「お帰り、どうだった?。」
お皿に串焼きを置きたずねる。
「盗賊、こないだのことであんたを怪しんでるみたい。」
ああ、俺が埋めた連中の仲間か、まぁばれてないはずだ、なんせ行方不明だからな。
ただ気になって調べているくらいか。
これはしばらく様子見かな、へたに動くと感づかれる。
ただ、盗賊を放置というのもどうだか。
「男が7人よ。」串焼きをはむはむする。
少ないな、まあそうだろ。街中で大人数だと目立つ。
目立つのが嫌いなのは俺と一緒か。
面倒ごとになってきたがこれは仕方ない。
世直しをしたいわけじゃないのでできればスルーしたい。
連中があきらめたら他の街へ行こう。
ギルドにていつものようにゴブリンの討伐部位を納品していたら呼ばれた。
「ナオヤさんちょっとこちらへ。」応接間へ案内された。
「やあ、こんにちわ、私はここの支部長だ。ちょっと君に話があってね。」
「君の話を聞いたんだが。オークに苦戦していたところを君が助けたそうじゃないか。」
ああ、あのパーティーか、支部長まで話が上がってたとは。
「えと、少しだけ支援しただけですよ。」
「君はいつも一人なのかね? パーティーに興味があるなら紹介するぞ。」
「いえ、一人が気楽なので結構です。」
「まあ、警戒する話じゃないよ。
有望そうな若者を支援するのはこちらも利益のある話だ。
そこでだ、盗賊のアジトが街の外にあってな、討伐を予定している。
Bランクパーティーが明日討伐へ向かうのだが君も参加してみないかね?
盗賊は10名程だ、後ろから支援してくれればいい。」
「盗賊ですか、いえ今回は辞退します。」
「そうか、気が変わったら明日きてくれ、それとこの話は秘密だ、話は以上だ。」
またまた盗賊か厄介な連中と縁があるな、ギルドがかたずけてくれるなら助かる。
しかし街の外なら監視の連中とは別か?
いや、これで俺から目を離すかもしれない。
ギルドのほうはどうするか、
目をつけられたからには少し自粛してランクが上がらないように調整するか。
薬草を主に納品しよう。
数日後
「大変だ!外の拠点が潰された、全滅です。」
「くそっ、やられたか。」
「冒険者のしわざです。」
「例のガキか?」
「いえ、あいつは森へ行ってました。」
「ううむ、いや面倒だ、始末しろ。」
朝になりメイリンと共に森へと歩いていく。
しかし今日は後ろの連中がいつもと違う男が4人静かに殺気を放ちついてくる。
森へ入ると気配隠蔽スキルは使わずに奥へと歩いていく。
男達は二手に分かれてついてくる。
そろそろか、気配を消し一方の男二人の背後へ回る。
不意討ちで一人は剣を突きたてもう一人には『パラライズ』そして剣で止め。
残り二人も同じように始末した。後は穴を掘り埋める。
気配を消して不意打ちまるで暗殺者だな。
いや違う、暗殺者とは自分から仕掛けるものだ、
これはそうではない。が、今夜はそうもいかない、こっちから仕掛ける必要がある。
「メイリン、夜は忙しくなりそうだ、狩りはやめて休養しよう。」
「そうね、今夜は手伝ってあげる。」
まるで深い穴に落ちた気分だ悪党を成敗して気分爽快とはいかないものだ。
夜になりメイリンの案内でアジトへ向かう。剣は最初に買ったやつで少し短い。
屋内ならこれがいいだろう。屋内で剣をやたらと振り回す状況は、回避したいが。
気配を探ると一階に二人、二階に一人いるようだ。
静かにドアを開けると二人が見えた。『パラライズ』メイリンと同時に魔法を放つ。
動けない二人にゆっくり近づき『ポイズン』を二人に掛ける。
そのまま二階へ上がっていくとドアを開け『パラライズ』。
男は動けないが戸惑っているような顔だ。
「そ・う・か き・さま・か。」
『ポイズン』
男がこと切れるのを待つ間に部屋を調べると金貨・銀貨の詰まった箱を発見。
そしてアイテムボックスに収納、男と階下の二人も収納し外へ。
明日は森の奥へ行き3人を埋めよう。
宿への暗い道をとぼとぼ宿へむかって歩く。
レベルは35になって盗賊相手なら次があっても通用するだろが
夜道をこそこそ歩きたくはない。
「これで終わりだといいんだが。」
「面倒だけど収穫あったしいいじゃない。」
金貨の詰まった箱を手に入れてウキウキかよ。
「もっと高級な宿に移るわよ。」
「いや、高級なとこはペットお断りだろ。」それに目立つし。
「誰がペットよ。」プンプン。
ペット可の小さな家でも借りるか。
こういうペット事情は元の世界と変わりないようだ。
宿に戻り一息ついた。
「明日から遠征するよ。街から離れて大きな魔法の練習をするの。
「いきなりだな。」
「口答えしない。」
「了解。」
メイリンの指導はありがたい。
これがなかったら、魔物相手に苦労していただろう。
おかげで生活にも余裕がある。
家を借りるのは延期だな、そうだな家を借りるなら他の街にしよう。
Dランクは半年の猶予がある、金は余裕なのだからしばらくギルドは利用しなくてもいい。
依頼ボードをチェックするくらいか。
そうすればギルド経由で居場所がばれる恐れはない。
盗賊は、どこから情報を得ていたのか分かりようがないが用心しておこう。
「なら食料とか買い込んで準備するかな、保存食なら手持ち有るけど。」
「肉、肉、、、それと串焼きとか。ウサギの丸焼き!」
「はいはい、調理済みの食料もストックしておくか。」
鳥やウサギの丸焼きとかなら切り分けるだけで済むからお手軽だし、サンドイッチもいい。
簡単な調理ができる準備はある、前回それで旅をしてる。
「明日は、まず買い物だね。」
財布は余裕たっぷりだから美味しそうなものはどんどん買っておこう。
それと、弓だ、今まで使ってなかったが購入して練習しよう。
弓は魔法より遠くまで届く使えるようにしたい。
読んで頂いてありがとうございます。
よければブックマークの登録と評価をお願いします。




