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40.日常

 朝になった。


「食事出来てるわよ。」


「いま行く。」


 テーブルに着くといつものように朝食が並んでいる。


「なんか久しぶりな感じだな。」


「私を置いていくから。」


「もう終わったのよね。」


「そうだといいがな。」


 王都は遠い、何かあるにせよ時間がかかる。


「しばらくはのんびりしよう。」


「そろそろ船が完成する頃ではないか?」


「そうだな商人の所へ寄ってみるか。」



「ちょうど完成したところです。」


「見に行こう。」


「案内します。」


 桟橋に船が係留されていた。

 船は5人乗りで漁船だがヨットのような雰囲気もある。


「これなら大物狙いもできそうだな。」


「操船は出来るのか?」


「俺? いや俺は船乗りじゃないから、風で船が進む仕組みはわかるけど。

 船の線上と風向きの半分に帆を向けるんだよ。

 後で図を描いておく。」


「そうしてくれ、あと漁師の拠点が必要じゃな、近くに家を探せるか?」


「探しておきましょう。」


「もうすぐ乗組員が来る、来たら練習させよう。」


「船乗りならすぐ覚えるだろ、慣れたらオールは要らなくなる。」


 何故風上に進めるのかわかる奴は空も飛べるようになる。


「仲間に船乗りなんぞいないぞ。」


「・・・・。」


「まあのんびり覚えていくさ。」


「次は灯りの道具だな。」


「店に戻りましょう。」



「これか。」


 小さな試作品だが灯りは十分、点滅もできる。


「これはもっと大きく作れる?」


「どれくらいで?」


「そうだなこれくらい。」


 手で大きさを示したが直径20センチ程だ。


「これを2つと望遠鏡も2つ、魔石が必要なら用意する。」


「わかりました。」


「完成が楽しみだな。」



「完成したら試験しよう。」


「ああ場所は探しておく。」


 ネットワークが完成したら王都の状況もすぐわかるようになる。


「店のほうは?」


「順調だ。」


「帰ろうか。」


 新しいメニューでも考えるか。

 こうしてると日常に戻ったようだ。



 7日後道具が完成した。


「やっと試験ができるな。」


「ああ一組の道具は仲間に持たせて目標地点に行ってもらう。

 使い魔で行けばすぐだ。」


 それから仲間がきて道具を受取り去っていった。


 そして午後。


「みんなで行こうか、一泊することになるけど。」


 夜は門を閉じてるので帰れない。


「行きましょう。」


「仲間が先行して試験の準備をしている、私らは見ているだけでいい。

 ここまでくれば彼らに任せて進めたほうがいいからな。」


 準備してみんなで出かけた。

 街の近くの丘で頂上は広くなってるが街の反対側へ少し降りた所だ。

 魔王の仲間が準備をしていた、ひとりは女性だが少し肌が浅黒いくらいで見た目は人間と大差はない。


「魔王様準備は出来ています。」


「ああ夜まで待とうか。」


 それからテントを張り夕食の準備などもしながら暗くなるのを待った。

 食事を済ませのんびりお茶を飲む。

 そしてあたり一面暗くなりそろそろかと思ったら小さな光が見えた気がした。


「今、光ってなかった?」


「どれ、様子をみてみよう。」


 魔王が仲間と話している、少ししてこちらも灯りを点滅しだした。

 しばらく待ってると魔王がこっちへ来た。


「成功じゃ信号のやりとりができたぞ。」


「見てもいいかな?」


「ああいいぞ。」


「ちょっと覗かせて。」


 見てみると光がはっきりと見えた。


「はっきり見えるこれなら大丈夫だな。試験は成功だ。

 乾杯しよう。」


「そうじゃな、そうしよう。」


 みんなで遅くまで酒を飲み乾杯した。


 翌日から魔王が動き出した。

 拠点を作るのだろうが既に俺の手を離れている。

 口出しはせずに店の新メニューでも考えておこう。




読んで頂いてありがとうございます。

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