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33.騎士団

 夕食後


「店で面白い事を言ってたな。」


「船の目印になるって話かな?」


「それだ。」


「こないだの伝言屋の話の続きになるが、

まず道具については遠くまで光が届くような工夫が必要で作ってもらうが、

これには別の使い道があって夜に海へ向かって照らせば目印になる。

 漁師はこれを目印にすれば夜でも遭難せずに帰ってこれるようになる。

 その為には岬に建物を作って矢倉のような高い位置から照らすわけだがこれを灯台と言って船乗りには有難い代物なんだ。」


「灯台か。」


「これがあれば今より遠くで漁ができるし信号の発信場所としても使えるんじゃないかな。

 街の外だし漁の安全の為だと言う建前も通る。」


「海沿いの街はいいが平地はどうするのじゃ。」


「それは今後の課題だな。街中から強い光を出すのは周りの理解が得られるかわからないから。

 街中に矢倉は変だし街の外に拠点が必要かな。伝言屋と言う商売が定着すれば認めてもらえるようになるかもね。」


「岬に灯台じゃなくて小高い丘に2階建ての普通の家でもいいし。」


「普通の家がいい。ここから見える丘に家を建てるか。」


「まずは道具が完成してどれくらい遠くまで見えるか試してみてからだね。」


「そうじゃなまずは道具を作ってからじゃな。」


「道具の性能しだいで中継地点も変わってくるからね。

 あと心配なのは国が介入してくることかな。」


「その場合は取引できるかもな。技術や道具を提供する代わりに街中に矢倉のような建物を作らせてもらうとかな。」


「最初は街の外に拠点を作ってひっそりやったほうがいいかもね。へたすると外国のスパイと疑われる。」


「疑われる前に国中に拠点を作って便利さを認められればいけるじゃろ。」


「王都は外したほうがいいかも。」


「じっくり考えていこうか。」


「難しい話をしているわね。」ミリーには難しいかな。


「そうだな難しい問題だ、失敗したら面倒なことになる。

 だけど伝言ネットワークが出来たらすごく便利になるから。」


「われわれとしても情報収集が出来るようになるからな。」


「集めた情報を売ることもできる。」


「面白そうじゃな。」


「たとえばどこかの街道が土砂崩れで通れないなんて情報は金を払ってでも知りたいだろ?

 流通に影響あるから商人はこういった情報には敏感だ。

 またそうした事態に対処する為に伝言屋を利用する。」


 いずれは新聞社みたいなこともできるかも。


「なるほどな。」


「他にも商談が成立したら商品を届けるように伝言するとか商人には有難いはずだ。

 これが広まったら国にはなくてはならない存在になる。

 国が認めるようになるには時間がかかりそうだが、商人には支持されるだろう。」


「是非とも導入したいな。まあ今日はこれくらいにしよう。」


「難しい話はおわったの?」


「ああ、すまんな。」


「それじゃ景気づけにまた美桃をだしましょうか。」


「やったー!」


「ミリーったら。」


「だってー。」


「しょうがないわね。」



 翌朝領主の使いが来て手紙を渡された。


「何だったの?」


「領主から手紙だ。」


「なんだろう。」


「海賊の件で王都から騎士団が調査に来ている。」


「しばらくはおとなしくしたほうがよさそうだ。

 魔王様?」


「わかっておる。」


 海賊は守備隊が捕まえ尋問している。俺の所にはこないだろう。






 俺の予想というか願望は外れた。夕方になって騎士団の調査隊が家へやってきた。

 総勢7人。騎士団と聞いていたのでフルプレートを想像していたが、防具は胸当てだけでマントをしていた。

 隊長は初見から好きになれそうもない横柄な態度でたぶん貴族だろう。


「質問に答えろ。海賊が来た時お前は何をした?」


「領主がすべて知ってるはずだが?」


「貴様に聞いておるのだ。」


「海賊を捕まえたのは街の守備隊ですよ。」


 嘘は言っていない、俺は船を沈めただけだ。


「たかか50名程の守備隊が海賊を捕まえたとは到底信じられん。

 海賊はその倍以上いたのだ。

 しかも被害無しとはどういう事だ、絶対に何か隠している。

 誰かが手を貸したとの噂を聞いたからここへ来たのだ。」


 こいつは官僚タイプだなしかも無能、誰かが手を貸したからといって何が問題なんだ?

 実際に夜通し仕事をして海賊に対処したのは守備隊なのだから。


「俺は冒険者ですよ、必要なことは冒険者ギルドへ報告してある。

 そしてギルドは領主へ報告しているはずだ。」


「貴様逆らうつもりか? 私は国の騎士団だぞ。」剣を抜きこっちに向けてきた。


「抜きましたね。命をかけてもらいますよ。」


「貴様ー!」


 向かってきたがよけつつ剣を抜き腕を切り落とした。


「貴様やりおったな。」


「だから? 先に手を出したのはお前だろ。」


 止めを刺しておいた。


「さて、お前たちはどうするんだ?」残り6人に向かって言った。


「敵討ちなら、相手になるぞ。」


「いや、帰って団に報告する。」


「そうしろ、次はこんな無礼で傲慢な奴を連れてくるな。」


「しかし止めを刺す必要は無かったはずだが。」


「君もこいつの同類か? こんなバカを放置したら次にやることは想像できるだろ。

 そして殺し合う相手に手加減を要求するな。」


 死んだ隊長を馬車に乗せ騎士団は帰っていった。



「とんだことになったな、まさか剣を抜いてくるとは。」


「仕方がないわ。」


「あれでいいのよ。」





 翌日ギルドと領主に報告した。その後カイルがやってきた。


「騎士団とやりあったと聞いたが本当か?」


「ああ仕方なかった、向こうが剣を抜いて向かってきたんだ。」


「それで殺したのか?」


「ひとり。」


「まいったな。」


「あわててもしょうがない、また誰かくるだろう。」


「この街でおまえを相手にしようなどと思うバカはいないと思うが騎士団がどうでるか。」


「なんとかなるだろ。」



読んで頂いてありがとうございます。

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