2.転生
「ん、、ここは、転生したのか、あの女神・・いろいろ聞きたい事あったのに仕方ないな。」
まずは確認だ。手足は・・なんだか若いな女神が15歳にすると言ってたが
たしかにそれくらいだ。鏡がないから顔まで見れないが大丈夫だろう。
服装はまーこんなもんか防具はないがこの世界では普通の村人かな。
それと肩掛けのバック。
「ん?ネコ?こっちにもネコいるのか」
「誰がネコよ、メイリン様って呼びなさい。女神様に頼まれて仕方なく
来てやったんだからありがたく思いなさい。」
そこにはクロネコがいた。大きさは普通のネコだ。
「ああ、そういえば案内役がどうとか言ってたな。僕はナオヤだ、
よろしくメイリン。」
「はー貧相な恰好ね、まーいいわ、『ステータスオープン』と言ってみて。」
貧相って女神が用意したものなんだが、それにずいぶん偉そうだ。
「ステータスオープン」
サイトウ ナオヤ LV 1
HP 10/10
MP 10/10
----スキル----
翻訳 LV 1/10
鑑定 LV 1/10
アイテムボックス LV 1
-----称号-----
転生者
「でた・・けどレベル1だしこれからか。」
「中身も貧相ね。近くに小さな街があるのそこへ行きましょ、
まずは身分証を手に入れるわよ。
大きな街なんかは身分証がないと入れないからね。」
「小さな街は必要ないのか。」
メイリンの話では小さな街は門番はいるがわりと素通りなのだそうだ、
制限していたら街の衰退につながるし近隣の村人は身分証を
持っていないものも多い。
商人や村人旅人が多く訪れるようになって街は発展していく。
大きくなった街は身分証のないものは制限し悪事を働いた者は街に入れない。
そして通行税をとるが冒険者や商人はギルドを通して納税しているので
通行税はかからない。
小さな街では歩く人々はわりと見知った顔が多いので、よそ者が悪事を
働いてもすぐに身バレする。
よそ者は一目でわかるものだ。門番はそういう身バレした者に対処すればいいわけだ。
ネコをつれた旅人・・・不審ではないよな門番はどう思うのか止められる程ではないと思いたい。
周りには木々があるが深い森というわけじゃない、それに舗装はされてないが
人が歩ける道だから遭難はしなさそうだし道なりに行けば街か村があるだろう。
勇者か今頃お城で豪華な接待を受けてるんだろうが魔王を倒すとか大変だ、
俺は自由に生きたいからこっちのほうがいい。
まー頑張って魔王を倒してくれ。失敗して世界が滅びるとか勘弁してほしい。
それとここは勇者の召喚された国ではなく、この国は魔族の領域に隣接してもいないらしい。
「ちょっと聞いてるの? ぼーっとしてないで真面目に聞きなさい。」
「あ、これこれ、この草鑑定してみて。」
「鑑定!」 『月鈴草 初級回復薬の原料』傷口に貼り付けても効果がある
「採取して半分だけね、全部とると全滅しちゃうから。
冒険者ギルドが買い取ってくれるわ。」
10本程あったので5本採取した。それをアイテムボックスに収納する。
なるほど、それならせっせと集めよう。せめて2・3日分の宿と食費分は道中でなんとかしたい。
それからは歩きながら鑑定しまくった、鑑定はMP消費はないようで助かった。
そしてアイテムボックスには
月鈴草 200本
水霧草 150本
「ちょっと調子にのりすぎよ。そんな量を一度に換金すると
目立つからそれぞれ30本ずつにしなさい。
30本でも多いんだから。まったく『鑑定』さまさまね。いっとくけど
『鑑定』と『アイテムボックス』のスキルを持ってることは秘密、
なかなかレアでばれたら危ないわよ。
貴族や商人、盗賊だって欲しがるものなんだから。
貴族に仕えるのも悪くないけど。」
なるほど気をつけよう、持ってるスキルは秘匿するほうが無難だな、特に今は。
「『鑑定』スキルもちには分ったりするのかな?」
「スキルまで鑑定できるのはレベル5からね王宮にいるわ。そういうのは王宮勤めか
有力貴族がかこってるから王都か有力貴族の領内では気を付けなさい。」
「そうだね、気を付ける。」
メイリンの話では希少スキルは生まれつきのもので後から覚えられるものではなく
ステータスの閲覧は転生者に与えられる能力だと。
街が見えてきた、小さい街だ。しばらくはここを拠点にしてLVを上げつつ情報収集だな。
そういえば魔物とかいなかったな、こんなものか?
「魔物とか見なかったけどどうなんだ?」
「それはわたしがニラミをきかせていたから近寄らなかっただけで普通にいたわよ。
まだそういうのは早い、剣とか魔法の練習をしてからね。
明日から始めるわよ。」
魔法・・使えるのか楽しみだ。
--はじめての街--
門番が二人槍を持って立っている。目つきが怖い。『カシスの街』のプレートがある。
「旅人か?」
「そうです、冒険者ギルドへ登録に。」
「そうか、真っすぐ行けば見えるよ。」
「ありがとうございます。」
「通っていいぞ。」
ふぅ普通に通れたなネコの事もスルーされたし、チラッとメイリンを見ると
視線に気づいたのかドヤ顔だ。
「隠蔽のスキルを使ったからあっちは気づいてないわよ。」
肩に乗ってきた。しかしこのスキルは通行人に尻尾を踏まれる恐れがあるようだ。
「あー肩にのってもいいが爪をたてないでくれ。」
冒険者ギルドが見えてきた、木造で大きくはない。中に入ると正面に受付があって女の職員がいた。
左手には何人かがテーブルを囲んで酒を飲んでいる。真っすぐ受付へ向かう。
「あのー冒険者登録をしたいんですが。」
「ああ新規の登録ですね、ではこちらに記入をお願いします。
名前・年齢・性別・種族は必須です。
他の項目は仕事の紹介やパーティー募集の紹介などに利用します。」
「はい、わかりました。」登録用紙を受け取った。
用紙には『名前』『年齢』『性別』『種族』『職業(剣士(武器)、魔法(属性)、斥候、回復職)』
『スキル』等の記入欄がある。『ナオヤ、15、男、人間』必須事項だけ記入し受付嬢へ渡す。
平民は苗字はないとメイリンに聞いていたので書かなかった。しかし日本語でOKなのか、
翻訳スキルが上手く働いているようだが、レベル1でこれなら上げる必要があるのかな?
「はい、いま手続きしますね出来たら呼びますので待っててください。」
後ろの職員へ用紙を渡す。待ってる間ヒマなので壁に貼ってあるクエストを眺める、
ランク別に分けてあるがあるのはF〜Dランク。
Fランクは薬草などの採取系または近隣村へのお使い等だ。
C〜Aランクの依頼は1つのボードだが空だ。
ここのように小さな街ではC〜Aランクの依頼はめったに出ないのだろう。
つまりこの街の冒険者はDランク以下のようだ。
Fランクは途中で採取した薬草の採取依頼があった。
よしよしこれならさっそくクエストを受けられるぞ。
「ナオヤさーん」
「はい」
「これが冒険者カードです。ここに血を一滴垂らしてください。」
「はい」血を垂らす。
「これで完了です、これに冒険者としての心得、規約等書いてますのよく読んでくださいね。
あ、規約は抜粋です詳しく聞きたいときは受付へ来てください。
それから初心者向け講習会というのも有るのですがこの町ではやってません、
大きな街でやってるのでご希望でしたらそちらへどうぞ。」
カードと規約等書いた紙を1枚受け取った。
「えーと薬草の買取をお願いします。」
「それでしたらあちらの買取カウンタへどうぞ。薬草採取は常時受付となっており事前に
クエストを受けなくても納品すればクエストが完了となります。」
ボードにもあるが薬草採取とゴブリン討伐は常時受付となっているようだ。
さっそく納品するか。
「検品をお願いします。」バッグから取り出すふりしてアイテムボックスから取出し
薬草をカウンターへ置いた。
「はい、検品しますね。カードも出して下さい。」
「お待たせしました、月鈴草 30本、水霧草 30本ですね。銀貨60枚となります。
いやしかしすごいです、普通みなさん10本くらいしか採取できなくて・・・。」
控えめに出したのにこれか、すこし目立ったが今は金欠しかたない。
出された銀貨を受け取ってギルドを出て道具屋へ、すぐ近くに道具屋があった。
ギルドへ来る途中に見かけたのだ。
中へ入り剣をみると置いてあるのはほとんど両刃の鉄剣でロングソード、
ショートソードが主流だが大きな片刃の剣もあった。
片手剣ショートソードをゆっくり振ってみる、いい感じだこれならいいだろう。
ロングソードは重くて振り回されるみたいだ
自分の体格筋力に合わないのは持ってみて分かった。
命がかかっているので、かっこよさなど二の次だ。
戦いの最中に疲れて腕が上がらなくなるなど悪夢でしかない。
「これの値段は?」
「銀貨60枚。」
今日は厳しいな、んー。
「ここで薬草の買取とかしてます?」
「ここは道具屋だ薬屋なら隣だ。」
「分ったまた来る。」
隣の薬屋へ来た。
「こんにちわ、薬草の買取できますか?」
「いらっしゃい。薬草ね買取できますよ。」
ここは道具屋のおやじと違ってあいそがいい、ニコニコした店員がいた。
カウンターに薬草を各30本づつ置いた。
店員が一人しかいない上に他に客もいないのでここならよさそうだ。
「確認しますね。」
「月鈴草 30本、水霧草 30本ですね。銀貨60枚となります。」
銀貨を受取となりの道具屋でさきほどのショートソードとナイフを買った。
宿屋へいきメイリンと共に夕食を食べ部屋に戻ると疲れて眠くなってきた。
今日はいろいろあったので今後のことは明日だ。
異世界の1日目はとても忙しかったが無事に宿までたどりつけたのでよしとしよう。
勇者は今頃は王宮の豪華なベッドの中だろう、しかし俺には自由があるそれは何物にも代えがたい。
読んで頂いてありがとうございます。
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