表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
依存癖のある、彼と彼女  作者: モダンジャズ昆布茶
9/12

#9.人生

徹夜テンションって、何言ってるかわかんないよね・・・。

「ねぇ、人生って、何なんだろうね?」


 椎奈が用意してくれた、トースト、ベーコンエッグ、スープ、サラダとオーソドックスな朝食を食べ終え、紅茶を啜っている──なおこの場合の「啜っている」はあくまで表現的なものである──と、不意にそんな問いが浮かんだ。


 この質問は僕の癖のようなもので、そういう、「意味も答えも明確には無い問い」について考えてみることがある。そして、そういう時のは、たいてい彼女だ。・・・というか、僕は基本的には、彼女以外と喋ることが無い。


 ────ボッチと哂うがいい。知ってるから。


「いま、でしょうか」


 そして椎奈は、そういう問いにも、わりあいはっきりとした答えを提示してくれる。


「いま?」


 ならば、過去はどうなのだ。そう問うと、


「過去は、言ってしまえば人跡です。『いま』以外はただの(わだち)でしかない」


 ならば─────未来は?


「『みらい』に特定の呼称など必要は無いですよ。『いま』があるから『未来(それ)』があるのですから、『みらい』は『いま』で事足ります」


小人生(いま)」の総算が「大人生」(おわりまで)。そういうことなのだろう。


「なら、僕の理論もあながち間違いでもないのかもね」


 独り言。悪癖。


「啓さんの、理論・・・ですか?」


 椎奈が、どこかわくわくした様子で聞いてくる。というかこれは、僕たち共通の趣味かな。


「うん。『生きるということは、死ぬということである』っていうこと」


「生きること」を終えること。


 それが「死ぬこと」ならば、それはちょうど、読書と同じではないだろうか?


「読むこと」を終えることは、「読了すること」である。


 あるいは、製造過程か。「死ぬこと」と「装丁する」こと。


 その人生(ほん)の、唯一(オリジン)足り得る性質は、むしろその中身。何を成しているか。そして、何に影響を与えたか。生死は関係ない。どれだけ強く多く、的球を動かせるかが重要なのだ。


 だから、イコール。そこに差異は無い、ということ。


「っていうこと」


 そう締め括る。椎奈は眉にしわを寄せ、時折首を傾げてはウンウンと唸っている。最後には、妙に疲れ切った様子の笑顔で、「相変わらず、啓さんは何を言っているか分からないですね」などと言われた。・・・・・いつものことなので、気にしてはいないが。


「でも、『生きるということは、死ぬということである』というのは、なんとなく分かります」


「なら、よかった」


 自分でも解かりづらい自覚はあったから。



「椎奈」


 名を呼ぶ


「何ですか?」


 返答が返る。


「なんか、そうやって唸ってる時の椎奈って、可愛いね」


「それはどうも」 


訳分かった?私は分からん。


気に入ってもらえれば、コメント・メッセージ・ブックマークよろしくお願いします!!




また、誤字・脱字の報告、言葉の誤用等のミスについても、御報告頂けたら幸いです♪

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ