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呪詛の祝言  作者: 柱こまち
呪詛の祝言
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呪詛の祝言 The Last Episode そのとき、外は

 地球全土を覆う黒雲、これは紛れもない異常気象だ。世界は悲鳴と絶望に呑まれつつある。


 ―――――某国首相官邸―――――


 急激な異常気象と災害。衛星との通信が途絶し、各国との通信機能が瞬く間に沈黙した。


「ダメだ!!各国機関との連絡が依然としてとれない!!」


「どうなってるんだ。現在確認が取れている情報を報告しろ!」


「はい、三時間ほど前より各国機関との連絡手段が完全に途絶えました。このままでは確実な原因の究明が行えません。加えて、我が国で起こっている大規模な地震や洪水、落雷や活火山の噴火などが局所的に連続して起こっており、迂闊に救命部隊を動員することも厳しい状況です!」


「いったい、何が起きているのだ・・・」


 国の趨勢を決める国家権力を用いる者たちが一堂に会する。しかし、そんな彼らでもこの状況には太刀打ちできない。


「首相()は今どちらに!」


「官邸内の地下シェルターに避難完了しています」


「我々も避難しましょう!」


 続々とその場を後にして避難先に向かおうとする者たちは、予てから用意されていた緊急時の避難マニュアルのどれに該当するのかを確認しながら行動を起こす。


「どこに避難するというのかね?」


「「え!?」」


 官邸内の会議室に残って状況を確認する者たちの避難の優先順位はあまり高くはない。というよりも、官邸の地下シェルターに避難する権利を持つ者自体があまりに少なく設定されている。


「官邸内の地下シェルターにも収容制限がある。もうじきその制限を満たすだろう。外に出るのは一向にかまわないが、かつてない異常気象のせいで有能な気象予報士もお手上げ状態だ。外に出た途端に落雷や地割れが起こるやも知れぬな」


「ですが、そんなこと言っていたって・・・」


「ああ、どうにもならない。私たちは災害によって命を亡くさないことを祈るしかない」


「そ、そんな・・・」 


 誰もが不安の渦中で死を恐れる一方、同時に誰もが、なんだかんだ言って自分が死ぬことはないだろうと根拠のない希望に身を委ねる。それを達観というには、あまりに粗末過ぎた。


「な?!ありえない!!こんなことが・・・・・」


「どうした。報告しろ!」


「官邸の地下から熱源反応あり。どんどん近づいている・・・これは!?」


「まさか――――――――」


 官邸は瞬く間に炎に焼き尽くされた。地下から噴き上げる高熱の流動性物質は、官邸があった場所一帯を燃やし尽くし、溶解させ、豪雨に触れて次第に凝固する。その上をまた新たな炎が覆い尽くし、被害地域が拡大する動きは止まらない。


 常識では測れない程の地殻変動が始まっている。数日後には見たこともないような断崖絶壁が織りなす渓谷にでもなってしまうのだろう。人類が築き上げた環境を許さない。残骸すら許されないとでも云われているかのように徹底的にかき消されていく。


 このような出来事が世界中で頻発している。



 これは、滅亡ではなく回帰である。加護を受けた者たちはそう呟いた―――。



♦♦♦♦♦♦†♦♦♦♦♦♦



 世界は生まれ変わる。それがこの星が決めた方針。


 お前(人間)たちはこの星から弾かれる存在となる。星にとっても、我らにとっても嬰児(みどりご)として映るお前たちの悪逆に対して叱らなければなるまい。

 

 罰を与える。そのような言葉で飾る必要すらない。生命としての大罪を犯した事実。それを広域的に流布しようものなら、尚更止めねばなるまい。


 お前たちのしていることは生命への究極的冒涜であると判断された。その結果が現状だ。


 星が―――――憤っている。


 己の権能を用いて、数世紀先を予定していた事象すら前倒しするほどに。


 その理由は単純明快。生物が死を克服し始めたからだ。


 それだけの知恵を得てしまった文明がどういう末路にいきつくか、そのモデルケースを我々は吐き気を催すほど観測してきた。


 生物は、本能的に死を恐れなければならない。

 生物は、永続的に生と死を循環させなければならない。

 生物は、それらを星の許可なしに克服してはならない。


 この三つが星が決めた生物の大原則。その基本だ。


 故に、記憶の保存と抽出の技術を確立させたお前たちに生物としての価値は無く、生命としての意義を自ら放棄したため、これ以上の文明の向上を許してはならない。


 既に、そのための仕掛けを施した者たちに救いをかける義理は無く、また救える数も限られている。


 自然と共存した生命には、特別に無償で加護を与える方針になった。テオトマはまた別だが、この災害の先でなら相応する生物として進化し、発展してくれるだろう。少なくとも、そうなってくれるように祈るだけの価値はある。


 我は最古の支配者の一人にして、文明の移り変わりを観測する者。


 〝呪詛の祝言〟を越えた先で、彼岸より見守っている。

読んでいただき誠にありがとうございます。


最早、ホラーに非ず。まぁ、登場人物たちからしてみれば、命にかかわることとして恐怖のオンパレードではあるんですけれどね。ほら、すぐに命が消えてるからそんな心配もほんの一瞬だけでしょ?


感想や評価、ブクマ等頂けたら幸いです!


実は、呪詛の祝言のその後のお話しを執筆中です。もともと、そっちがメインでファンタジー感あるお話になっているので、早め早めに投稿できればいいですね。


そう、このお話しはあくまで御伽噺。メインストーリーに至るためのターニングポイント。その始まりの期間を描いているに過ぎないのです。

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