わたしの永遠の故郷をさがして 第二部 第七十六章
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「もうすぐ地球ね。お風呂は良いし、お食事もいいし、待遇は最高だし、もうちょっと、ここにいたいなあ。」
マヤコが言った。
いや、実際とっても良かったのだ。
最高のディナーだった。
おいしい、おいしい!
見たことも聞いたこともないような食材がずらりと並んだ。
なにしろ、お魚料理がある。
海が消滅した金星で、魚が取れるわけがない。
しかし、空中都市のひとつが、「人工海」を作って、そこで本物のお魚を、養殖しているのだった。
ものすごく高価な食材だ。
一般人が一生働いても買えない価格がついているのだ。
そのほかにも、同様な、本物のお肉や野菜が並んだ。
ダンスパーティでは、慣れなくておどおどしているマヤコ達を、クルーたちが丁寧に指導してくれたし、普段はお目にかかる事さえできないような超セレブの男性が、誘ってくれたり。
もう、本当に人生で一度きりの(たぶん、帰りにもう一回あるはずだが・・・)体験だった。
そうして、もうすぐ地球という時、彼女たちは大きな天窓から、ものすごいものを見た。
「なに、あれ?」
「うわ、宇宙船? でっかーい。ものすごい巨大な・・・。」
ウナを除く三人が騒いだ。
かなり遠くにいるようなのに、それでも天窓全体を覆いつくして、まだおつりがいっぱい来るような、巨大な姿。
それは、間違いなくアブラシオだったのだが、四人には、その正体は全く分からなかった。
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「まあまあ、アーニーさん、ほらほら、リリカさんのコンピューターに火山に関するあなたのデータを、いっぱい入れてあげなさい。」
ビュリア(=女王へレナ)が、アーニーに指示した。
「でも、いいんですか? リリカさんは危険人物ですよ。ナニ言うかわからないですよ。」
「いいから。早くやりなさい。」
ヘレナが急かした。
「はいはい。」
「こうした現状を、王国政府は、なんと心得ておられるのか? 対策は? 大体、知っているのかね?」
ボス博士は、リリカ(本体=アンナ)に迫った。
まあ、本人としても、もう少し柔らかく普通に報告すればいいんだが・・・と、内心思ってはいるのだが、どうも相手が高級官僚とか、政治家と言うと、自然とけんか腰になってしまうのだった。
要するに、博士はそういう階層の人間が嫌いだった。
「知っているのかね?」と言っても、自分が報告する係なんだから、ほとんど言いがかり以外のものではないのだ。そんなことは、分かってやっているのだ。
さすがに、このリリカが、画期的な「首相令」を出した相手だったと気が付いて、仕方なく付け加えたが。
「まあ、あなたは、多少、いままでよりも、ましなようだがね。」
「なるほど・・・」
リリカ(本体=アンナ)はうなずいて、何かまともな事を言おうとしていた。
『てめぇ、この威張りくさったガキおやじが!』
と、内心では思っていたが・・・・。
そこで、口を少し開きかけたとき、二人の目の前の空間に、大きなデータが開いた。
アーニーの仕業だ。
おまけに、急に頭の中に知識が、湧いて上がってきた。
「これは、なんだ。なんでこんなデータがある?」
博士は驚愕した。
自分が命がけで集めたデータよりも、はるかに前からの、さらに正確な巨大火山の情報が目の前に次々に開示されていた。
「これは、女王様が取っていらしゃったデータです。女王様の別荘は、あの山の頂上にありますから。」
「私は見たことがない。こんなものを持っているのなら、もっとやることは他にもあった。侮辱ですな。」
「まあ、あなたって、その位の方? 失望かなあ・・・。もうちょっとましな男かと思ったのに。」
『うわうわうわうわ・・・・だから、リリカさんは危ないって、言ったでしょうに・・・』
アーニーがつぶやいた。
「うふふ。面白いじゃない。格闘するかしらね? それとも決闘?」
ヘレナは、後半部分を半分ささやくように、しかも緊迫した口調で楽しみながら言った。
『ヘレナ、冗談言っている時じゃないでしょう。あらら、険悪ですよ。睨み合ってる。』
リリカ(本体=アンナ)は立ち上がり、博士の周囲を、ぐるっと一周して、圧力をかけた。
それから、ふっと力を抜いて、こう言った。
「データはあっても、それを自由に使える人は少ないのです。博士、あなた位なのですよ。御分かりですか? 何をすればいいのか。あなたのアドバイスが欲しいのです。この先、最後までね。」
ブル博士は、「最後まで」という言葉が気に入った。
「そうですかな・・・。いいでしょう。私は、女王様からも、かつてそう言われていた。ならば、相談しましょう。そうしてすぐ実行です。時間はない、ぼくの見るところ、良くて一年以内に、超巨大噴火は必ず起こる。火星全体が揺れ動き、地殻が大変動する。噴出物が火星の大気を覆い、太陽の光は長期間遮蔽される。生物は、全滅はしないだろうが、文明は消滅する。」
「避難すれば?」
「そうです。幸い、避難する技術はある。例えば、地球に逃げるのです。もちろん、地球だけでなくてよい。地球はまだ、住みにくい。火星の衛星も、地球の衛星も使えばよい。最低十年、可能ならば二十年、そこで生き延びるのです。そうすれば、再建は可能になるでしょう。問題は、金星です。」
「金星、ですね。」
「そうです、まあこのあたりの、政治向きの話は、あなた方の方が良くご存知でしょう。しかし、金星はもうだめです。あそこの、大気循環管理システムは、ビューナスの消滅と資源切れで、もう崩壊しているはずなのです。これまでは、ビューナスの力で維持してきていたのでしょう。だから、まだ持っているのは不思議なのですがね。隠し資源が多少残っていたのかもしれませんな。しかし、まもなくあの星では暴風が吹き荒れるようになります。空中都市は、壊滅する。金星のジュアル博士とも連絡を取っているが、通常ならば、つまり創造主の助けでも入らない限りは、どうにもできないと言う。そこで、金星の跡継ぎは、地球移住を強行するつもりのようです。火星は、それを受け入れますか?協力できますか?」
リリカ(本体=アンナ)は、インターホンの前に立った。
「ふうん。・・・副首相はまだなの?・・・・、あ、いい、来たわ。」
ダレルが首相室にようやく入ってきたのだった。
「お邪魔いたします。ダレルです。あ、いや、お話は隣で聞いていましたよ。ちょっと、入りにくかったのでね。」
リリカ(本体=アンナ)が、多少呆れたように、口を開けた。
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『ほら、博士が言ってますよ。創造主の助けがなければって、ね。金星は、ちょっともう、どうしようもないと思います。太陽をいじくれないですし。まあ、これまでずっと助けてきたんですからね。でも火星なら、手があるのですから。ねえ、ヘレナ、火星に金星人を受け入れませんか?多少狭いけれど、不可能じゃないですよ。火星と衛星ふたつの地下を中心にして、シェルターを建設しましょう。地球の衛星も、博士の言う様に使えます。地下は、地上より少し厄介ですが、でもアーニーとアブラシオがやれば、一か月もかからないですから。』
「あの、跡継ぎさんが、了承すると思う?彼の意志は、地球の独占に違いない。見えないけれど。」
「それは、リリカさんたちに頑張ってもらいましょうよ。もしだめなら、排除するしかない。」
「簡単に言わないでね。あれでも、ビューナスの子なんだから。そこ、わかってる?」
「まあ、すみません。でも、そうですよ。あなたが「ゴー」と言ってくれたら、すぐに始めますよ。食料や飲料水の供給も必要だし。」
「じゃあ、『ゴー』。」
「え、いいですか? えらく、あっさりと・・・」
「ええ、どうぞ。最後のお勤めよね。ところで、あの子、何してる?地球の未来からやって来た、やっかいな子。」
「王宮の見学とか、してますね。」
「ふうん。ものすごく気にはなるのよね。でも、あの子は、どうも排除できない。未来のテクノロジーの固まりね。体自体が保護されていて、ちょっかいが出せない。たぶんあなたでもできない。わたくしの能力を見切っていて、ことごとく保護している。その背景には、未来のわたくしの、超天才である妹が関与している。と、もう少し過去の、未来のわたくしが情報をくれた。」
『ややこしいなあ。』
「歴史の改変と、その影響を確かめようとしているみたい。」
『むむ、何のためにですか?』
「自分達の未来を守るため。私の存在を、まだ守るため。」
『はあ?』
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宇宙観光バスは、無事に地球に到着した。
観光施設は、地上から五百メートルくらいに、太い柱で持ち上げられている。
危ない動物たちや、自然の脅威から施設を守ることと、眺望の良さを得るためにだ。
施設のつなぎに、宇宙空港が作られている。
施設の中から眺める太古の地球も素晴らしい。
けれど、施設自体を、夜間に周囲から眺めると、それはもう異様なほど素晴らしい光景になる。
現在から二億五千万年前の地球に聳え立つ、巨大な文明のキノコだ。
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************ タルレジャ王国第二王女様のインタビュー***********
作者:「いやあ、ルイーザさんが、いえ、道子さんが、どうしてもまた呼べとおっしゃるものですから。こんにちは。」
道子(ルイーザ・以下略):「どうも。気になったものですからね。」
作者:「は?」
道子:「ちゃんと、ご飯食べてますか? このところいつも一人でぼんやりしたり、寝てばかりでしょう?」
作者:「はあ。まあね。どうも、思い浮かばないと言うか。体が重いと言うか。地球の重力が増したような気がします。」
道子:「あなたの重力が増したのです。」
作者:「はあ、そうですか・・・」
道子:「まあ、毎日一人でご飯は、寂しくないですか?」
作者:「毎日じゃあないですよ。」
道子:「じゃあ、ほぼ毎日。」
作者:「まあ、いっしょに食べると、叱られてばかりですし。こぼすとか、汚すとか。洗濯が大変だ、とか。」
道子:「まあ、でも、気を付けてくださいな。寂しかったら呼んでくださいね。」
作者:「はあ、これはどうも。でも、誤解を招きますから。」
道子:「言ってみただけですから。」
作者:「はあ・・・。」
道子:「で、なんなんですが。こんどいつ出してくださるの?今回、ちらっと呼ばれたような気もしましたが、あれ、なんですか?」
作者:「まあ、ははは。いやあ、うん、また来てくださいね。楽しみだなあ。ははは。」
道子:「もっといい役、ください。カエルに変えますよ。」
作者:「え?・・・ぼく帰ります。」




