表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/121

わたしの永遠の故郷をさがして第二部 第十一章 

「お呼びですか。」

 リリカ(複写)首相が、すぐに姿を現した。

「座って。たぶんもう、時間がないの。」

 女王が少し早口で促した。

「いい、核爆弾テロが起こるとの情報がビューナス様から入りました。」

「まあ、それはまた、大変ですが、場所はどこですか?」

「さて、そこが問題なんだなあ。でも待って、空間の微妙な変化を感じる。そうだ、これね。この前もこれを感じた。でも前回はまあ、ブリューリ様と遊んでいて、いいかげんにやってしまって、訳の分からないことになってしまったわ。今回は逃がさないわ。まじめに対応してさしあげますわ。でも、ちょっと遠いわね。第二大陸の食料倉庫だ。リリカさん、ここに行って。兵士も十人つけてあげるから。装備もわたくしが勝手に装着するわよ。ほら行きなさい。」

 リリカ(複写)は女王の意思で、第二大陸まで生きたままで転送された。


「わたくしの存在が、本当に架空の物ならば、今回は、いったいどのようにされるのかしら。ぜひ試してみなくては。わたくしが持っているのは、自分に対する信頼と忠誠心だから。だからわたくしは介入しない。黙って見ているの。もし核爆発が起こってもね。間違いならば・・・間違いだけれど・・・いったい何が、どうなるのかを。」

 女王は声に出さないようにしながら、心の中でつぶやいた。

 アーニーは、もちろんそれを見ていたけれど、残念ながら、彼には人の(女王は、人ではないかもしれないが)心の中を見通す力はないのだ。

 

 リリカ(アンナ)たちテロリストは、すでに第二大陸の巨大な食料倉庫に到着していた。

 到着してすぐに、彼女たちは活動を始めたのだ。

 幸い・・・多分幸い・・・誰もいない。

 もちろん、ここも、先日の加工工場も、監視の目は厳しい。

 テロリストの侵入事件が頻発していたから、なおさらだ。

 食料倉庫の自営警備隊は・・・みんなロボットだ、警備長だけはアンドロイドだったが・・・すぐに行動を始めた。

 けれど、リリカ(アンナ)たちの動きは速い。

 カシャの動きは、普通人の百倍以上のスピードがある。

 リリカ(アンナ)は、もともとミュータントではない。

 ただ、リリカの体はきわめて優秀だった。

 比較的小さなこの部屋の周囲には、例のように地雷が撒かれた。

 警備隊が到着したのは、侵入から数分後だったが、先頭の隊員数人が地雷で飛ばされてしまった。

 「包囲完了、ただし危なくてこれ以上は近寄れません。」

 「リリカ首相様が到着されました。」

 リリカ(複写)が女王の兵十人を連れて現れた。

 この兵は、しかしただ者ではない。

 地雷くらいではびくともしない、特殊加工済みの「無敵兵士」だ。

 「突入しなさい。」

 リリカ(アンナ)が指示した。

 「無敵兵士」はテロリストが立てこもる部屋に向かって突入していった。

 あちこちで地雷が爆発するが、彼らにはまったく何の障害にもならない。

 「ほら続いて突入よ。」

 警備隊とリリカ(アンナ)が、後に続いて走り込んでゆく。

 「来たよ。じゃんじゃん撃ちまくれ。」

 リリカ(アンナ)が叫んだ。

 「俺がリーダーだ。くそ。」

 カシャは素早く動き回りながら射撃する。

 リリカ(アンナ)は、スピードは及ばないが、射撃はやたらに上手い。

 ウンタールも射撃の腕なら引けは取らない。

 「腕を上げたな、お嬢さんよ。」

 「うるせぇ!」

 リリカ(アンナ)が毒づいて移動する。

 

 テロリストの使っている銃は、貫通力が異常に高いようだった。

 自衛兵たちが打ち抜かれて倒れてゆく。

 兵士たちは、一旦突入を止められてしまった。

 リリカは、黒い覆面をしたテロリストをちらっと見た。

 「なによ、あの銃。でも、あの女。あれ・・誰? あの声、私と同じ? まさか・・・」

 いったい、相手は何人いるのか?

 あちらこちらから銃弾が飛んでくる。激しい銃声が飛び交う。

 映像では、四人が侵入したはずだが、弾の発射される地点があまりに多い。

 「くそ、近寄れないか。仕方ない。」

 リリカ(複写)は手りゅう弾を投げ込んだ。

 しかし、カシャはそれを手でキャッチすると、投げ返した。

 リリカの向こう側の角で爆発した。

 兵士が二人飛んだ。

 一人は「無敵兵士」だったので、体に傷は負わないが、もう一人は破壊された。


 リリカ(アンナ)は、「かぐや二号」を連れて隣の小部屋に移った。

 ボルが、まだひっくり返っている。

 「さあ、てめぇ、ここで隠れるんじゃ。座って。」

 「かぐや二号」は、にっこり微笑んで床に座った。

 リリカ(アンナ)は、彼女の背中に手を入れて、やや幅の狭い背中の「ベルト」の裏側を探った。

 そこには、安全装置の解除スイッチがある。

 「よし、けぇじゃ。そら、解除じゃ。」

 リリカ(アンナ)は「かぐや二号」の顔を見ながら言った。

 「たのむでぇ。てめぇに、かかっとるんじゃけぇな。」

 彼女は、またにっこりとほほ笑んだ。

 「けぇで、隣の部屋の様子を見ながら、わいらが移動したら、すぐ爆発せぇ。ええな?」

 「かぐや二号」はにっこりとうなずいた。

 リリカ(アンナ)は、映像タブレットを渡した。

 それから、彼女の肩を少し抱いてから、隣の部屋に戻って行こうとしたが、そこでボルに声をかけた。

 「どうじゃ、動けそうか?」

 ボルは、上半身を起こして答えた。

 「ああ、あと五分で大丈夫だ。」

 「よし。」

 リリカ(アンナ)が銃撃のさなかに戻った瞬間に、銃弾が彼女の首筋を通過した。

 「おりゃあ!」

 リリカは小さく叫んで、その場に座り込んだ。

 「大丈夫か」

 カシャが撃ち続けながら言った。

 「てめぇ、くそ。何じゃ、下手くそめ。」

 赤く染まった彼女の首は、しかしすぐに再生を始めた。

 「おまえ、やはり化け物か?」

 「うるせぇ、あと五分足らずじゃ!」

 リリカ(アンナ)は立ち上がって、再び攻撃を始めた。


 「これじゃあ、ラチが開かないわ、よし、突入するわ。続いて、あなたたちはいい、外で援護して。」

 リリカ(複写)は、「無敵兵士」を率いて、ドアに近寄って行った、何発かの銃弾が、リリカ(複写)を貫いたが、こちらもすぐに再生してしまう。

 しゃがみながら、とにかく部屋に侵入できた。

 机の裏に隠れる。

 カシャがすぐに攻撃を仕掛けてきた。

 「ううん、見えないわね。そらともかく乱射。」

 リリカ(複写)が応戦する。

 「ものすごく正確じゃないか。危ない危ない。ありゃ、こいつはアンナだ。いや、リリカか!」

 カシャは、一度リリカ(アンナ)の傍らに戻った。

 「お前が来てるぞ。」

 「なんじゃ?よく見えん。」

 「あの机の陰だ。」

 「くそ、ぶっ飛ばしてやる。」

 リリカ(アンナ)は自分の複製に向かって銃を乱射した。

 「後ろに回りたいが、隙間がないな。」

 カシャは動き回りながらつぶやいた。

 「やれやれ、仕方ないわね。あれを使うわ。全員、視力ガード。」

 リリカも特殊グラスを装着し、空中に「太陽球」を放り投げた。

 太陽の光を、目に前で急激に破裂させたような、猛烈な閃光が走った。

 「うわ!」

 動き回っていたカシャは、閃光を直に浴びてしまった。

 彼は床に落ちた。

 「狙って!」

 リリカ(複写)が叫ぶ。

 カシャは集中砲火を浴びたが、素早く動いてとにかく大きなテーブルの後ろに入った。

 「大丈夫か?」

 そこにいたウンタールが声をかけた。

 「くそ、目が見えない。」

 「おれも、やられた。こりゃあだめだ。」

 「アンナは?」

 「一つ向こうにいるが、ありゃあ正気じゃないぜ。時間はまだか?」

 「多分、もう良いころ合いだろう。」

 リリカ(アンナ)も、丁度、下を向いてはいたが、視力の大部分は奪われていた。

 ただ、なんとなく影はわかる。

 ボルはようやく動き始めた。

 「くそ。まだ限界ぎりぎりだが、やるぞ。」

 隣の部屋で、「かぐや二号」の映像タブレットを見ながら、そう言った。

 強烈な閃光だったが、タブレットは防衛機能が働いて、無事機能をしていた。

 彼はドアの隙間から、はいずり出ながら移動してゆく。

 まずウンタールとカシャを確保した。

 しかし、リリカ(アンナ)との間には弾が、まだ飛び交っている。

 「アンナ、来い。援護する」

 ボルが声をかけた。

 リリカ(アンナ)は机に背中を持たせながら、そちらに這い寄ろうとしていた。

 が、彼女は感じた。

 銃を突き付けられた。

 いつの間にか、リリカ(複写)が背後から忍び寄ってきていたのだ。

 「捕まえたわ。動かないで。ほら、あなたたちも動くな。さあ立って。ゆっくりよ。」

 

 リリカ(アンナ)は、手を上げて立ち上がった。

「兵士さんたち、こっちに来て。さあ、たっぷり尋問させてただきますから、いっしょにおいでくださいね。あっちの部屋、押さえて。」

 数人の「無敵兵士」が隣の部屋に押し入った。

「まずいかな。」

 ウンタールがリリカ(アンナ)にささやいた。

「おのれで判断するじゃろう。」

 彼女は答えた。

 実際、兵士たちは、もぬけの殻の部屋を眺めていた。

 かぐや二号は、どこかに自分で移動していたのだ。

「そこ、何? ほら、マスク取りなさい。失礼ですよ。」

 リリカ(複写)がリリカ(アンナ)の黒いマスクをはぎ取った。

「うそ」

 リリカ(複写)が言った。

「今じゃ、ボル、行け!」

 リリカ(アンナ)が叫んだ。

 そうして、テロリストたちと、リリカ(複写)は消えてしまった。















 



















*******特別インタビュー 松村弘志さん姉を語る*******


作者  「今日は、タルレジャ王国第一・第二王女様の弟さんで、第三王女様のお兄様に当たられます、    弘志さんにお越しいただきました。こんにちは。」

弘志  「どうも。」

作者  「さて、学校はお忙しいですか?」

弘志  「そうですね。まあ、けっこう普通ですよ。特に部活とかやってないですし。」

作者  「そうですか。で、王女様でいらっしゃるお姉さまお二人と、妹さんのことですが。」

弘志  「はいはい。」

作者  「第一・第二王女様、それから第三王女さまは、どんなお姉さまですか?」

弘志  「そうですねえ、まあ天才というか、変人というか。でも、弘子姉さんのことは、尊敬してま     す。もちろん道子姉さんも。友子のことは、実際よく知りません。一緒に生活したことがないか    らです。まあ、いずれにしても、代ってあげるのは嫌ですね。」

作者  「ほう。どうしてですか?」

弘志  「とにかく、早朝から真夜中まで、スケジュールがぎゅうぎゅう詰めで、個人の時間というもの    がまったく、ありません。あれでは、窮屈で仕方ないですよ。ぼく、王子に指名されてないので    助かります。」

作者  「ほう。しかし、あなたも、先ごろ雑誌の表紙になるくらい人気がありますが、学校ではいかが    でしたか? かつらをかぶると、お姉さまと区別がつかないとか・・・。」

弘志  「まあ、そういう噂は、先走りしますよね。はっきり言って、学校では少しいじめられました      よ。からかわれた、かな。でもまあ、仕方ないです。姉が姉ですから。確かに姉に無理やり、     かつらを被せられたリしたことはあります。あれは姉の秘密のストレス発散方法なんです。」

作者  「そ・・・、そうなんですか。あの、将来の夢は?」

弘志  「普通のサラリーマン。ぜひ、その方向でお願いします!」

作者  「はあ、まあ、考えてみます。今日はどうもありがとうございました。」

弘志  「いえいえ、まあ、色々世の中ありますが、あなたもあまり気を落とさずに、がんばってくださ     い。」

作者  「うわ~~~~ん。(涙)」

























   






 

 









 










 


 

 






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ