『第七話 ぶどう?…葡萄!!』
双子への怒りが冷める前に、レイさんが私を迎えに来てしまった。
「絶対後で仕返しますから!!覚えておいてください!!」
と、安い悪役のような言葉を言って部屋を出る。
あいつらのせいで逃げ遅れたじゃないか!!
走りたくないよー…。
そんなことを思っているうちにレイさんがよく来ている鍛錬場についてしまった。
「それじゃ、まずは軽く走ってからにするか」
そ、そんな!!
「よし、行くぞ」
そのままレイさんは走り出す。
…!
このまま、逃げられるんじゃないか…?
レイさんは後ろを振り向いていない!
それなら、私が走っていないことに気づいていないはず!!
あんじゅは とうぼうを かいしした!!
ばいばーい、レイさーん!!
意気揚々、レイさんとは反対の方向に走り出す。
あー、ちょろいちょろい!!
この調子で次も逃げ――
「・・・」
私の右肩にぽん、と手が置かれた。
ゆっくり振り返ってみるとそこには思ったとおりレイさんがいて、にっこりと綺麗な笑みを顔に浮かべた。
その顔は、今度逃げたらどうなるかわかってるよな?と言っていた。
もう、逃げません…。
――――
「ぜぇ、はぁ…」
近くの木に手をついて息を整える。
レイさんによって、私は鍛錬場を10週走らされていた。
およそ、鍛錬場1周が250mぐらいだ。
なので…
250×10=2500
となる。
はっはっは、2500とかありえない…。
「これで、懲りただろう?」
えぇ、懲りましたとも。
レイさんは、もう敵に回せないです…。
「準備運動はこれくらいにして次は剣の構えから教えるか」
「準備運動!?」
ちょ、え、待って。
今、準備運動って言った!?
この人言ったよね!?
確かにレイさんは息も切れてないけどさ…。
「レイ、さん…。休憩しましょう…!」
そうじゃないと、私が死んでしまいます。本気で。
――――
レイさんからなんとか休憩をもらい、十分に休んでから剣の構えから教わっていく。
「お前はまだ小さいからな。これでいいだろう」
そう言って渡されたのは木でできた短剣。
「これで練習になるんですか?」
「重いのを無理に使って怪我をするよりいい」
「おぉ、優しいですね!」
「お前…、俺を何だと思ってるんだ…」
鬼畜ですけど、なにか?