『第三話 勉強?え、なにそれ知らない』
今、私は椅子に座らされている。シオンさんが強制的に。
「嫌だー!!勉強なんて5歳児にはまだ早いもんー!子供だもん!!」
必死に私はそう言った。
え?前世?なにそれおいしいの?
だって、前世って言っても勉強なんて全く覚えてないよ?
しかも今更気づいたけど、ここって日本とちょっと違うんだよね。
まず、冷蔵庫とか家電が一切ない。
ずっと、危険だからってキッチンに入らせてもらえなかったし。
暖房とかは暖炉だった。
「杏樹さん?現実逃避しても変わりませんよ?」
おおお、心読まれた!?
いやいや、そんなわけ―
「あります」
「あるの!?」
まじか。え、プライバシーの侵害だよ!?
「それって、私にも!?」
「使えない…こともないですが」
「おお!!魔法とかあったり!?」
「似たようなものでしたら、術というものが」
きたーーー!!
転生で異世界チートきたーー!!
ひゃっほう!!私はこのために生まれてきたんだぁああ!!
「使いたい!!…そういえば、私って無駄に霊力があるんだよね!?」
「えぇ」
「これでチートが目の前に!!」
「…ちゃんと普通の勉強が終わったら、術のほうも教えるのでさっさと座りなさい」
「はい…」
若干、殺気じみたものを出すシオンさん…。
怖い、怖いです。
絶対、シオンさんには逆らわないと決めた。