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信じられない。いや、信じたくない。
突き抜けるほどの雲一つない晴天の今日。
ここ、セルストリア王国には祝福を告げる鐘が鳴り響いている。
王城近くに設けられている教会。そこには、多くの人々が今日の主役である二人を囲むように拍手を送っていた。
腕を組み司祭の待つ祭壇へ向かう二人。
花嫁はなめらかな白磁の肌に純白のドレスを、艶やかな常闇の髪にはシンプルながらも芸の細かい最高級のヴェールをまとっている。
華奢な体に散りばめられた宝石は彼女の輝きをいっそう増している。
そんな花嫁の横には月明かりのように輝く銀髪を風になびかせ淡い灰紫の瞳を彼女に向けている青年。
誰もが必ず見とれてしまうであろう端正な顔立ち、武術を嗜んでいるため身長の割に細いがしっかりと筋肉がついているのがわかる肢体。
青年は傍の少女に目を向ける。
このような美青年に熱い視線を送られたら老若男女、誰もが心を奪われるに違いない。
実際に彼の表情を見た者はうっとりと頬を赤らめている。
花嫁以外は。
花嫁の顔色がありえないほどに蒼白になっている。
彼女の紅き双方には怒りに戸惑い、焦り、恐怖が浮かんでいる。
(信じない、信じない、信じない、
信じるもんですか!!)
心中で自己暗示を繰り返す花嫁
アメリア=ナイトレイは夫となる青年を睨みつけた。
(絶対に離婚してやるんだから!)




