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業
第八章
業
そう、何もかもを理解した。
自分の存在が、人類の「業」そのものだったのだ。
人がどこから来て、どこへ向かうのか、その全てを統べるという「業」だ。
だが、目の前に浮かぶ玉は、全てを理解したこの瞬間でさえ、未知のものである。
五人の男達は、代々この玉を封印することを宿命づけられた一族の末裔であり、遠い親類に当たる。木村が言っていたのは真実だったのだ。
かつて、この地で死病が流行り、人里に降りたものがいた。
その者が、治療方法を探す旅の最中にばら撒いた種の一つがご先祖様ということだ。
木村も同様の血筋であり、この二人が下界での一族最後の生き残りと言うこととなる。
もはや彼らの手で、玉の力を御しきれなくなり、自分たちを呼んだのだ。
人が先に進み続けるために、幾千年の時を経て、対峙する時が来た。
全人類の「業」として。




