遭遇
第二章 遭遇
山深くに目的地の集落はあり、途中まではなんとか車で登ることが出来た。
途中でガソリンが無くなり、徒歩で集落を目指すこととなった。
しかし、いくらあるけど人が通るような道は見あたらず、ある程度まで来ると霧が出てきて、遭難しかけない。
バッグの中にはあらかじめサバイバルキットも入ってはいるが、必要最低限のものしかない。
事前調査では、集落にたどり着くまでの所要時間は山の麓から約2時間ほどのはずだが、すでに7時間近くが経過している。
明らかにおかしいと思いながらも、歩みを進めた。
山道には、所々に小さな鳥居のようなものがおかれ、何かが祀られているのだろう。
また、山の麓の入り口にも、奇妙な石像が置かれていた。それは一見お地蔵様のようでもあったが、全て一様に苦悶の表情を浮かべ、赤黒く変色していた。
不気味にも感じたが、こちらも依頼の遂行が優先だと考え、車を進めたのだが、この有様だ。
そうこうしているうちに、日が陰りはじめ、歩くスピードを早めた。
霧のせいか体温が奪われ、身体が少し震えてきた。
とその時、数十メートル先に子供の影が見えた。
おそらく集落の子供だろうと思い、声をかけてみた。
だが反応は全くない。それどころかどんなに早く走っても、距離は一向に縮まらない。
その状況が10分ほど続くと、整備された道に出た。
そこで子供の姿は見失った。
おかしいとは思いながらも、夜になるまでには辿りつきたいと思い、道なりに進んだ。
すると、15ほどで集落の入り口に辿りついた。
と同時に、背後から少女のクスクスと笑う声が聞こえ、さてはさっきの子供がからかっているのだろうと思い、そちらに振り返った。
だが、目の前にいたのは、時代遅れの着物を着た子供で、その目は白目がなく、漆黒だった。
その姿を捉えた瞬間、視界が歪み、激しい頭痛に意識を失った。




