天狗の鼻を折るのは誰?
三人になって、魔獣退治も慣れた3S中等部の面々に襲うものそれは?
「どうやれば安く効率に魔獣を倒して儲けられるか、それが問題だね」
通の言葉にモゴも強く頷く。
「あちき達が争っていても、無駄にお金使うだけだもんね」
今度は通が頷く。
二人の間に不思議な協力体制が整おうして居た。
「あのー確実に魔獣を倒せる方法を検討した方が宜しいのでは?」
静の言葉に二人は冷たい視線を向ける。
「良いわよね、親がちゃんと稼いでくれる人はお金に苦労無くて」
通の言葉にモゴが頷き言う。
「それに静は自分の力使うのにお金要らないし」
「しかし……」
口どもる静を見て雅が言う。
「こら貧乏人ども金持ちに当たるのは止めなさい。そうしないと記事にするわよ」
雅の言葉にしぶしぶ頷く貧乏人コンビ。
「あの三人、そろそろ嵌るな?」
毎度の事だが、ろくすっぽ残業をせず資料の整理をヤヤにやらせていた良美が言う。
「だろーね。三人とも才能だけはあるから嵌りやすいわね」
まとめた資料を返しながらヤヤが応える。
「小較と光の時は、百母の長に頼んでたが、今回はどうする?」
良美の言葉にヤヤが少し悩む。
「そうだね、モゴいるから、百母の長だとばれる可能性があるわね」
「なんか丁度良く強い魔獣出てこないかなー」
気楽に言う良美に苦笑するヤヤ。
「さー今夜も働いてお金稼ぐぞ!」
「おー」
モゴと通が元気一杯言っている。
「所で本当に三人で大丈夫?」
小較の言葉に強く頷くモゴ。
「お任せあれ」
通もうんうんと頷く。
「出来れば一緒に……」
弱気な事を言おうとする静の口を二人で塞ぐ。
「安心して小較さん」
「あたし達だって何時までも白風先輩に頼ってられないもの」
必死な二人に小較が頷く。
「そー言うなら任せるけど危なくなったら逃げるんだよ」
「「はーい」」
二人が元気良く返事をする。
「どうしてついて来て貰わなかったんですか?」
三人になった後、静が聞くと通が言う。
「ただでさえ三等分して少なくなるのに、白風先輩が来たらあたし達は単なるサポートになって貰える額が激減するから」
通の言葉にうんうんと頷くモゴ。
「一人ならともかく三人ならたいていの魔獣を倒せるからね」
金銭欲バリバリの二人に溜息を吐く静。
「だいたい、あたしの支払われる金額が六万も家の生活費に天引きされてるのは納得できないよ」
通の言葉にモゴが言う。
「それはまだいいよ、あちきなんか触媒のぬいぐるみのお金以外全て自動的に借金の返済にまわされるんだよ」
そんな二人の愚痴を聞きながら、静が歩いていると、物凄く嫌な予感した為、足を止めると、その前に一体の青い毛並みの人狼があらわれた。
『ほう八刃の人間か、丁度良い八刃の人間の血肉は我がここに存在する上で大いなる糧になる』
そして、青い人狼は、一瞬で間合いを詰めてくる。
『我が守護の意思に答え、炎よ我等を守れ、守炎翼』
静が咄嗟に防御の為の炎を出す。
『九尾弓』
通が九尾弓を構える。
「先手打って牽制するから足止めお願い!」
モゴは頷き、ぬいぐるみを己を持った甲虫のぬいぐるみを取り出す。
『淡赤色鳥矢、孵化』
通が淡赤色鳥矢を番え、射る。
淡赤色鳥矢は、青い人狼に直撃する。
『これがどうかしたか?』
青い人狼は平然と近づいてくる。
慌ててモゴが土斧甲虫のぬいぐるみを地面において唱える。
『百母桃の名の元に、この寄り座しを用いて、ここに獣晶せよ、土斧甲虫』
土斧甲虫は獣晶して青い人狼が突撃をかける。
『下らん』
青い人狼は平然と土斧甲虫の斧を正面から蹴り砕く。
「冗談じゃないよ。土斧甲虫の斧は車だって打ち砕くんだよ!」
モゴが驚く中、青い人狼は平然と炎の防壁を超えた。
『この程度で我とやるつもりだったのか?』
青い人狼の言葉にモゴが反発する。
「こっからが本番だよ!」
モゴはバックから真っ白な竜のぬいぐるみを取り出し、青い人狼に向ける。
『百母桃の名の元に、この寄り座しを用いて、ここに獣晶せよ、光集進竜』
白い竜のぬいぐるみは、獣晶して、竜と化し、辺りの光を集め一気に青い人狼に向かう。
『この位でないと面白くない』
しかし青い人狼はなんと向かってくる光の竜にアッパーを食らわす。
光の竜は進行方向をずらし空に消えていく。
呆然とするモゴ。
「嘘だ! 昼間だったら家一つ消し飛ばすあちきの奥の手だよ。夜だって、バズーカー砲の何倍の威力がある筈だよ……」
『真正面から喰らえば大変だが、あの程度の攻撃だったら容易に弾けるわ』
「あたしが決める!」
通が羽矢筒に指を入れる。
『純白色鳥矢、孵化』
そして黒犬達を一撃で消滅させた最強の矢を九尾弓に番える。
「あたしは外さないよ!」
純白色鳥矢は、真っ直ぐに青い人狼に向かう。
そして通は見た、純白色鳥矢の矢柄(ヤガラ、棒の部分)を掴む青い人狼を。
『矢なんて物は、矢尻(ヤジリ・矢の先っぽ)に当たらなければ大した事は無い』
そして静が両手を向けて唱える。
『我が攻撃の意思に答え、炎よ全てを爆炎に包め、爆炎翼』
凄まじい炎が青い人狼を包み込む。
三人とも決まったと思ったが、火が消えた後には、焦げ痕すら無い青い人狼が居た。
『まさかこんな、火力だけの炎でどうにか出来ると思ったのか?』
誰も言葉は無い。
そして青い人狼は三人に近づきその鋭い爪を持った腕を振り上げる。
『ちゃんと止めを刺してから食べてやるから安心しろ』
動けなくなる三人。
『影刃』
青い人狼自身の影から刃が生まれて青い人狼の動きを止める。
『トール』
電撃を纏った踵が人狼の右肩を打ち抜く。
「大丈夫?」
青い人狼から間合いを取り、モゴ達の前で壁になる小較。
『少しは出来る奴が出て来たみたいだな』
青い人狼が唸り手を降ると、手から氷の矢が生まれて小較に向かって飛んでくる。
『フェニックスウイング』
小較は腕から発生させた炎で正確に迎撃した。
迎撃している間に青い人狼が接近して来て、笑みを浮かべる。
『甘いな!』
技を出した直後の隙がある小較の腹に青い人狼の爪が迫った。
「八刃を甘く見すぎです」
青い人狼の影から現れた鏡が手に持った黒い刀で青い人狼の左腕を斬りおとす。
『一匹じゃないだと!』
「あたし達は異邪に対しては、全力を向ける。それが八刃だよ」
小較はそう言って青い人狼の腹に手を当てる。
『バジリスク』
『うぎゃー!』
全身の骨を砕かれる青い人狼。
それでも闘争心を失わず、信じられないスピードで斬りおとされた腕すら再生させながら立ち上がる青い人狼。
『舐めるな、貴様等、下位の世界の存在が我等上位世界の存在に勝てると思うな!』
「無駄だ。回復に力を使いすぎたお前ではそこから抜け出せぬ」
鏡の言葉で足元を見る青い人狼。
『しまった!』
どんどん足から飲み込まれていき、完全に影に飲み込まれる青い人狼。
小較も鏡も暫く緊張を解かずただ辺りの気配を探る。
「もう大丈夫みたいです」
小較の言葉に鏡も頷いて影から光の元に戻っていく。
そして小較はモゴ達の所に行く。
「もう終わったわよ」
その言葉に泣いていた三人が顔を上げる。
「本当?」
弱々しげな通の言葉に強く頷く小較。
そして立ち上がると、三人が座っていた所に水溜りが出来ていた。
真っ赤になる三人。
「取り敢えず、えーとシャワー室いこう。着替えはシロキバからあたしが持ってくるよ」
そして何も喋れない三人を連れて行く小較であった。
「情けないあれが直系の娘だというのか!」
長身の男が唸る。
「所詮は戦いを捨てた奴等の子供その程度ですよ」
その隣で、一本の弓を持った男が応えた。
「まー遺伝子細工は少しはやるようだが、白風の名を持ってて下位の異邪を一人で倒せないとは未熟だな」
筋肉質な男が評する。
「何時までも本家の顔を立てて置く訳にはいかないな」
最初の男はそう言うと、八刃学園のフェイスから離れて車に戻る。
「まずはどうする?」
弓を持った男の言葉に、筋肉質の男が言う。
「ヤヤ様には、お断りを入れる必要はあるだろう」
その言葉には全員頷く。
「軟弱な本家の人間の中でも、あの人こそが一番の実戦を知っている。あの人に理解していただければ我々の出世もある」
最初に車に乗り込んだ男が言う。
「ああ、あんな遺伝子細工や、腑抜けた小娘達に八刃の未来を左右される等、もっての他だ!」
そして車はヤヤが居るシロキバに向かうのであった。
今回のモゴの収支
○収入
青人狼退治サポート 100,000
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合計 =100,000
○支出
土斧甲虫(触媒・ぬいぐるみ製造費) 2,200
光集進竜(触媒・ぬいぐるみ製造費) 20,000
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合計 = 22,200
◎利益
収入 100,000
支出 - 22,200
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純利 = 77,800
●借金残高
繰越金額 199,611,100
返済金額 - 77,800
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借金残高 199,533,300
今回の通の収支
○収入
青人狼退治サポート 100,000
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合計 =100,000
○支出
淡赤色鳥矢 500
純白色鳥矢 + 100,000
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合計 =100,500
◎利益
収入 100,000
支出 -100,500
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純損 = 00,500
●通のサイフ中身
おこずかい残金 10,750
3S損失 - 00,500
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サイフ残金 10,250