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やっぱり最初から巨大ロボを出すのは、反則なんだろうな

亜李子登場編の完結です

「案の定、あの三名は、落第だってよ」

 何時も如く、ビールを飲みながら、経過報告をする良美。

「困りましたね」

 ヤヤが小さく溜息を吐くと良美は、摘みのサラミを齧りながら言う。

「いっその事、火姫ヒキを捜査要員に引き込んだらどうだ? あいつだったら多少の戦闘能力もあるし、問題ないと思うぞ」

 ヤヤが首を横に振る。

優子ユウコさんが絶対許可しません。本人も父親の助手をするって、そっちの勉強に忙しいらしいですから」

 新しい缶を開けて良美が言う。

「ミリスは、どうだ? 元々は、魔約は、あいつの管轄だから、詳しいだろ?」

 ヤヤは、再び首を横に振る。

「そっちは、そっちで、逆に過剰に反応が出る可能性があるって、四門博士からストップ出てる」

 眉を顰める良美。

「意外と人材が居ないもんだな」

 頷くヤヤ。

「八刃は、戦闘能力至上主義だからね。その中で頭脳派の人間は、貴重で、他の切迫した部門に取られてるの。3Sは、表舞台の花形だけど、八刃としては、ゴミ収集車と変わらない、単なる生徒に対するアピールだから、若手か、他の仕事が無い人間しか、回ってこないのよ」

 舌打ちする良美。

「通や静も長業務に引き抜かれちまったしな。モゴが残って居るといっても、あいつだって次期長としての仕事が入るから、十全に出来ない。強引に引っこ抜いて来いよ。お前だったら出来るだろう」

 ヤヤが疲れた顔をして言う。

「これ以上余計なしがらみを増やさせないでよ。あちきは、若い頃のつけが祟って、いろんな所に貸しが山ほどあるんだからね。ここは、助っ人に頑張ってもらいます。最悪、あの亜李子って子を引っこ抜くのもいいかも知れない」

 手を叩く良美。

「いいかもな。裏工作は、任せた」

 呑気に酒宴を続ける良美を尻目に、子供達が寝静まっている間に、色々な裏工作を行うヤヤであった。



 朝の教室に、真兎が入る。

 教壇に立つと日直の織羽が立ち上がり。

「起立」

 全員が立つ。

 八刃学園は、意外とこういった礼節を大切にする。

 中には、嫌う人間も居るが、教師の中には、表面上は、穏やかでも、格闘技のチャンピオンを瞬殺する人間が幾らでもいるので、礼節を守っておいた方が安全と言うのが、八刃学園での長生きするコツと知る。

「礼」

 織羽の号令に従って、頭を下げる生徒達。

 真兎も、潜入操作として、何度か生徒や教育実習生として、学園に来た事があるが、きっちっり頭をさげるこの学園の礼節だけには、好感を持った。

「ラビット先生、おはようございます」

 織羽のこの言葉を聞くまで。

 真兎が引き攣って居ると、クラス全員が復唱する。

「「「ラビット先生、おはようございます」」」

 真兎が教卓を叩く。

「誰だ、そのあだ名を広げたのは!」

 視線が歩達に集まる。

 真兎が、歩に近づく。

「理由を説明してもらおうか?」

 歩は、無邪気な顔で言う。

「あのね、昨日の武勇伝を話していたら、亜李子ちゃんが、真兎先生の事を、ラビットって呼んでたの話したら、クラス一致でそう呼ぼうって事になったの」

 怒りを堪えながら真兎が言う。

「どうしたらそうなるんだ?」

 楽しんでいるクラスメイトの中から、控えめな星語明日が説明する。

「八刃学園では、有名なあだ名がある人は、そっちで呼ぶ方が、周囲に勘違いを発生させないので、そちらで呼ぶ習慣があるのです」

 ツモローが頷き答える。

「有名なところだと、ヤヤさんなんかがそう」

 亜李子が真兎の肩を叩き言う。

「ただの呼び名、気にしたら負けだよ」

 真兎が亜李子を横目で睨み言う。

「お前が、口を滑らすからそうなったんだろうが」



 授業も終わり、3Sの部屋に集まる一同。

「でも、どうしてラビットなんてあだ名になった」

 千剣の質問に、亜李子が答える。

「インターポールでは、漢字名では、色々誤読する事が多いのです。その為、統一する意味も含めてラビットと呼ばれていたのです。若そうな外見と機敏な行動と洞察力がうさぎのイメージとあったため、定着しました」

 真兎が舌打ちしながらも捜査資料を纏める。

「容疑者は、二人だ。残りの二人の部長候補。二人とも部長になりたいって願望が強い。ついでに言えば、お互いの事を強く意識しているのは、間違いない。それがあせりを生み出したことは、十分に考えられる事だ」

 亜李子が頷く。

「頂いた、今までの事件資料から考えても十分に考えられる範囲ですね。問題は、この二人からどうやって搾り出すか」

 ツモローが手をあげて言う。

「面倒だから、二人共に、やっちまえば良いんじゃないか?」

 真兎が机を叩く。

「お前等、今までどうやってたんだ!」

 歩が呑気な顔をして言う。

「モゴさんの指示に従って、魔獣や魔約獣を倒してました」

 真兎に視線を向けられてモゴがそっぽを向いていう。

「ラビット先生にも、何となく理由解るでしょ?」

 真兎が頭に手を当てている間に亜李子が言う。

「魔約の解除処理は、常人には、負担がかかります。最悪のケースを除き、確定出来ないうちには、認められない。そう、正式文章にありますが」

 表沙汰にされない八刃学園裏校則の記述を見せる。

「そんなルール有ったんだ」

 ツモローが呟き、自分達の生徒手帳を確認する新3Sメンバーを見て、真兎がモゴに言う。

「面子の変更を要求したいんだが」

 モゴが視線を逸らして言う。

「色々八刃内の力関係で、かなり難しいと思われます」

 舌打ちする真兎。

「何処の組織も、現場が苦労するのは、変わらないな」

 亜李子が頷く。

「何時もの事ですね」

 真兎は、コーヒーを啜り言う。

「ああ、何時もの事だ。不十分な情報に、足らない要員、上の人間の事情で制限される捜査。愚痴は、終わりだ、亜李子。お前は、どうみる?」

 亜李子が、問題の人物のプロフィールを見て答える。

「正直、五分五分と言う所です。しかし、気になる事が一つ。前回の襲撃と前々回の襲撃の仕方の違うのが、不自然です」

 眉を顰める真兎。

「決定権がある現部長の次にライバル候補。順当な流れだと思うが?」

 亜李子もそれには、頷く。

「問題は、襲撃方法が違う事。最初の部長には、直接攻撃をしているのに関らず、二回目の高橋留美音さんの場合は、火を使った。今までのケースから考えて、方法が変わる理由がありません」

 真兎が立ち上がる。

「情報が不足している時は、動くのが先だ。昨日の襲撃に巻き込まれた高等部の一年生を呼んで来い」

「ラジャー」

 真兎の言葉に、歩達が動く。

「パシリとしては、有能なんだけどね」

 モゴの言葉に溜息を吐く、真兎であった。



「昨日のトラブルの事ですか?」

 事件に巻き込まれた、高等部一年生、尾田栄三郎の言葉に、真兎が言う。

「そうだ、事件の詳細を話してくれないか?」

 栄三郎は、少し考えながら答える。

「僕が次の部誌の為の部員のネームを纏めている時に、高橋先輩が来たんです。それで、ネームのチェックをしていた時、いきなり猿の魔獣が襲ってきて、その後は、驚いて何がなんだか……」

 真兎が幾つか細かい事を聞いた後、亜李子が質問する。

「ところで、なんで貴方がネームの纏めをしていたのですか?」

 すると栄三郎が恥ずかしそうに言う。

「僕、画は、上手いんですが、ネームを作るのが下手なんです。部長にも何時も駄目だしを食らっていて。他人のネームを見て勉強しろと部長から命令されたんですよ。本当に部長には、感謝しています」

 笑顔になる栄三郎。

 栄三郎が帰った後、亜李子が言う。

「ラビット、気付いた?」

 真兎が頷く。

「二回目の襲撃がなければ、容疑者リストに追加してたな」

 歩が手をあげる。

「ラビット先生、質問。部長の事を慕っているみたいだったけど、どうして?」

 真兎が溜息混じりに答える。

「言葉の裏を読め。さっきの言葉は、画がうまいのにネームが下手だから駄目だって貶されて、自分の仕事を押し付けられて迷惑してるって事だよ。それも、部長と個人を指して言うって事は、かなり個人的に頭に来てる証拠だ」

 亜李子が頷き、捕捉する。

「技術的に、自分より下手な人間の方が、高い評価を受ける事に、強いストレスを感じ、事件発展するケースは、芸術系の事件ではよくある話です」

「途中から出て来た予想外の人物。あいつが魔約者だ」

 思い付きを言うツモローの頭を叩いてから真兎が言う。

「二回目の襲撃をどう説明するんだ? 事件は、一点だけみて捜査すると、大きな踏み間違いをする。どんな事件でも全ての事象に辻褄があう回答がある。それを見つけ出すのが俺達の仕事だ」

 感嘆をあげる歩達に、深い疲れを感じる真兎であった。



 何故か人気が無い校庭の一角。

「はい、3Sのメンバーには、気付かれていません。次期部長争いと合わせたのが、良かったみたいです」

 星語明日が、携帯で報告する。

 その胸には、一つのペンダントがあった。

「気になるのは、転校生と新しい先生です。予知をやり直す必要があるかもしれません」

 相手のからの返事に星語明日は、電話なのに首を横に振る。

「いえ、余計な干渉は、更なる歪みを生みます。ここは、静観して下さい」

 星語明日が携帯を切り、電話をしていた気配が完全に消えると同時に織羽が現れる

「お待たせ。一緒に帰ろう」

「はい」

 星語明日が頷き、並んで歩く。

 その中、織羽が前を向いたまま言う。

「明日は、予知能力あるでしょう?」

 顔を引き攣らせる星語明日。

「何の事ですか?」

 織羽が笑顔で言う。

「誤魔化さなくっても、大丈夫。他の人間には、話さない。あたしもその能力で、困ってたから」

 星語明日が複雑な顔をして言う。

「どうして解ったんですか?」

 織羽が苦笑する。

「顔を合わすとき、何時も当然って顔をしている。遅れても、早くても同じ顔。予知能力で予め来る時間がわかってなければ出来ない顔なのよ」

 沈黙する星語明日を見て、織羽が言う。

「あたしは、あんたを信じてる。自分の力を悪い事に使う奴じゃない。信じて良いでしょ?」

 星語明日が強く頷く。

「はい。私は、この力を正しい事に使っているつもりです」

 織羽が微笑む。

「だったら何の問題もないよ。お互い大変だよね、こんな力の所為でこんなおかしな学園に来るはめになったんだから」

 星語明日が言う。

「でも、織羽さんに会えて良かった。あたしは、力の使い続ける決意が強まりました」

 二人は、他愛の無い会話をしながら寮に向かうのであった。



 漫画部部員の聞き取りを終えた後、真兎が軽く溜息を吐く。

「これは、魔約なんて物が無くても、事件起こしそうな状態だな」

 亜李子が三つに区切られたホワイトボードに部員の名前を這ったマグネットを分けていく。

「これが、事件の発生前、支持率は、ほぼ同率。部長の鶴の一声で、次期部長が決まってもおかしくない状態でした」

 その後、留美音の所にあったマグネットを動かす。

「そして、水島虎児と赤塚不一の一騎討ちの体制に入った。その上、どちらも部長というか、漫画家を目指す情熱は、強い。どちらも、手が届く範囲に夢があるだけに、必死なのが周りの部員にも解ってる。普通なら、ここでアリバイとかから絞り込むのだがな」

 真兎がホワイトボードを睨む中、亜李子が資料の確認しながら言う。

「尾田栄三郎さんの技術は、誰もが認めているみたいですね」

 歩が頷く。

「歩も見たけど、雑誌に載ってる漫画より上手かったよ」

 ツモローも頷く。

「コマ割も確りしてる」

 最後に千剣が告げる。

「ワンパターン。何処か見たことのある展開。独創性が感じられない。それが部員達の統一見解」

 亜李子が資料を再確認してから言う。

「やっぱり、二回目の事件でネームが消失してる」

「でも、放火されたんだから、当然だと思うよ」

 歩の言葉に、真兎が驚いた顔をする。

「だから、一回目と二回目とで、方法が違ったのか!」

 亜李子が頷く。

「次期部長の争いだったら、二回目に高橋留美音さんを狙うのは、おかしい。ライバル視してる、相手を狙う筈です。そして、この理由だったら、方法を変えた理由も合点が行きます」

 歩達が、頭に疑問符を浮かべている中、真兎が言う。

「犯人が解ったぞ」



 漫画部、連続する事件の為、残っている部員も少ない。

 その中に、漫画部に常備されている高価な機器を使って原稿を書く、尾田栄三郎が居た。

 そこに、歩達が現れた。

「尾田栄三郎さん、校則違反である、魔約を行った罰で、確保します。大人しく同行しなさい。そうすれば、罪が軽くなりますよ」

 歩の宣言に、栄三郎が顔を引き攣らせながらも反論する。

「何の根拠があってそんな事をいうのですか? 僕は、次期部長候補でも何でもありませんよ」

 歩達は、言葉に詰り、後ろに居た真兎を見る。

 真兎は、溜息を吐いてから、栄三郎の机に向かっていく。

「魔約者じゃないのに、暴力を振るえば、校則違反ですよ!」

 真兎は、栄三郎の原稿を取り、回りに居た部員に見せる。

「この話しを書いた覚えがある奴いないか?」

 漫画部員と歩達が困惑する中、栄三郎が青褪める。

 その中、部員の一人が声をあげる。

「それ、俺が書いたネームの話しに似ているぞ」

 ざわめきが起こる中、真兎が言う。

「理由は、これだ。お前は、部長に押し付けられたネーム整理の中で見つけちまったんだ、自分が書けば確実にプロの目にも止まるネタを。このネームをあいつが書いたのを知ってるのは、部長とお前だけだ。部長が倒れている間に、何処かの賞を取ってしまえば、後は、それをコネにプロ入りするつもりだったんだろ?」

 栄三郎が拳を握り締めて言う。

「僕の画は、プロの編集者も認めてくれたんだ。原作がつけば、連載も不可能じゃない。何でもいいから賞を取れ、そうすれば、それを種に適当な原作を見つけてデビューさせてやるって言ってくれてたんだ!」

 そして、元のネームを書いた部員を指差して言う。

「そいつにこのネームは、勿体無いんだよ! 顔の書き分けも出来ないヘタクソが! 僕が書いて、有名になる方が、このネームの為になるんだよ!」

 真兎が蔑む様に見下す。

「言いたい事はそれだけか? どんな理由つけたところで、ルールが守れなかった時点でお前は、負けなんだよ!」

 悔しそうにする栄三郎だったが、いきなり体を抱え込む。

「しまった、魔約獣に成る、全員、離れろ!」

 千剣が叫ぶと、即座にその場を離れる漫画部員達。

 残された真兎の目の前で、栄三郎の全身から毛が生え、体を倍増させた猿の様になる。

「あれが魔約獣……」

 亜李子が驚いている間に、推理では、役に立たなかった歩達が、装備を終えて、動き出す。

 真兎に振り下ろされた、猿の魔約獣の腕を千剣が受け止める。

「早く下がって」

 真兎が悔しそうな顔をして下がる。

 その間に、ツモローが黒い弾丸をエアーマグナムに装填する。

「動きを止める。動けなくしろ」

 連射された黒い弾丸は、猿の魔約獣の傍の机にあたると、見えざる力、重力で猿の魔約獣の動きを止めた。

光金コウキン色鳥矢孵化』

 歩が金色の矢を取り出し、番え、射る。

 それが猿の魔約獣の上部に達した時、歩が指を鳴らす。

『羽撃』

 矢から無数のダイヤの槍が生まれ、四方八方から、猿の魔約獣の動きを封じる。

「流石に手馴れたものですね」

 亜李子が感心した後、歩達の動きが止まる。

「どうしたんだ?」

 真兎が質問すると、歩が困った顔をして近づいてくる。

「この後、どうしよう? 何時もだったらモゴさんが、魔約者に魔約の間違いを指摘する事で拒絶反応起こさせて、魔約種が変化した魔約星を見つけ出すんだけど、歩、何言ったらいいか解らない」

 真兎がこける中、歩が振り返り、千剣を見る。

「すまないが、拙者には、あの様な盗作男にかける言葉は、解らん」

 何か言われる前にツモローも手をあげる。

「ここは、殴り合いの喧嘩して、拳と拳で分かり合うシーンじゃないか?」

 真兎が立ち上がり言う。

「お前等、条件反射で仕事するの、止めろ」

 大きな羽を持つ、輝石獣武装をしたまま、しゃがみこんで相談する歩達に頭を抱えながら真兎が言う。

「亜李子、任せて良いか? 俺は、さっき追い詰めたばっかりだから説得力が無い」

 亜李子が頷き、猿の魔約獣に近づく。

「お前達も見て参考にしろよ」

 真兎の言葉に、すっかりギャラリーモードの歩達が頷く。

 ダイヤの槍の檻の中で必死に足掻く猿の魔約獣の前に立ち、亜李子が言う。

「高橋留美音さんが言っていました。貴方の画が好きだと」

 猿の魔約獣が、怒鳴り返す。

『だから、なんだと言うんだ?』

 亜李子が続ける。

「一生懸命な貴方を見ている自分も頑張ろうと思うと。何時か、自分が考えた話しを元に漫画を描いて欲しいって」

 その一言に猿の魔約獣の動きが止まるのを見て、亜李子が止めをさす。

「貴方を認めてくれる人は、居ます。だから諦めないで下さい」

 猿の魔約獣の尻尾が光る。

「見つけた」

 歩は、矢を番え、地孔雀の尾が地面に突き刺さる。

「スターブラスターセット」

 矢に地孔雀の力が流れ込む。

『スタークラッシュシュート』

 歩の放った矢は、猿の魔約獣の魔約星を撃ち抜く。



「中々、大変そうですが、暫くやらせてもらいます」

 ヤヤに頭を下げて報告する亜李子、続いて真兎が言う。

「出来れば、もう少し、頭脳派の人間を入れて欲しいがな」

 ヤヤは、苦笑しながら言う。

「こちらでも頑張ってみますので、すいませんがよろしくお願いします」

 そこに良美が来る。

「ヤヤ、亜李子を引き抜くって話どうなってる?」

 真兎が睨むと、そっぽをむくヤヤ。

 苦笑する亜李子を見て、真兎も苦笑して言う。

「少し、ここで生徒と先生の真似事してるのも良いかもな」

 亜李子が嬉しそうに頷く。



 星語明日は、ペンダントを見る。

「また、一歩近づいた。この界門円カイモンエンに力を貯めていけば、異界との繋がりを強くすることが出来る」

 屋上から、学園を見下ろし、星語明日が言う。

「この平和は、八刃の力による仮初。人間は、自らの手で、更なる成長をしなければいけない。その為には、段階を踏んだ異界との接触が必要。その為にも、界門円に更なる力を与えなければいけない」

 そこで悲しそうな顔になるが、首を大きく横に振る。

「多少の犠牲は、仕方ない。覚悟は、あの時にした筈。先行者の七輝シチキ導輝ドウキの名前を得た時に」

 次の魔約種の誕生と、それを宿す為の生徒の予知を開始する星語明日であった。

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