頭のラブコメ劇場は、連載になるかも
のんびりモードで尋問です
「猛、今度の土曜日に買いたい服があるから、渋谷を案内しろよ」
華のそっぽを向いた誘いに猛は、苦笑しながら答える。
「構わないよ」
「「駄目!」」
そこに割り込んでくるのは、瞳子と綾子であった。
瞳子は、華に詰寄り言う。
「何でデートの約束なんてしてるの!」
華は、顔を真っ赤にして言う。
「デートなんかじゃねえ! ただ、買い物の道案内をさせるだけだ。まあ、案内してもらったお礼に、クレープか肉まんくらいは、奢ってやるがな」
「世間一般では、それをデートと言う」
一人、予習をしていた小較が呟く。
「そんなはっきり言わないでくれよ、華が恥ずかしがるだろう。少なくとも華にとっては、単なる買い物のつもりなんだから」
意味ありげな言い方に綾子が涙目で言う。
「竜王寺くんにとっては、どうなの?」
綾子の質問に猛は、笑顔で答える。
「楽しみにしてるだけじゃ駄目かな?」
よろめく綾子。
「あたしもついて行く。ただ買い物に行くだけだったら良いでしょ!」
瞳子が華に言うと、華は少し引きながらも言う。
「良いぜ」
「本当に良いの?」
小較が質問すると猛は、頬を掻きながら言う。
「まだ、先に進むつもりは、無いから良いよ」
小較が頷く。
「なるほどね、瞳子は、針が付いたサンダルで出かける様なもんだね」
暗に止めろと言っているのだが、そのくらいで怯む瞳子では、無かった。
「今は、リードされてても絶対に奪い取ってやる! あたしのセレブ生活の為にも!」
小較が同情の眼差しを猛に向けるが、猛が肩を竦めて言う。
「正直な分、下手に勘ぐる必要が無い分ましだよ」
「頭にラブコメ劇場を入れるのが、お約束になりそうね」
闇がコミックの感想を述べるとモゴが頷く。
「それは、ともかく、高等部、合奏部が魔約の対象に絞り込まれた筈なんだけど、チェックしても判明しなかったそうだよ」
首を傾げる静。
「詰り、合奏部の人では、無いという事ですか?」
首を横に振る闇。
「多分、違う。あたしの感では、相手がこちらのチェックを誤魔化す機能を追加したのよ」
「そうなると、直ぐに見つけるのは、大変そうね?」
雅の言葉に机を叩く通。
「面倒な事止めて、容疑者全部にスターダストすれば良いんだよ」
かなりいっている目に、モゴ達が引く。
「どうしたんだ?」
事情を知らない闇が聞くと、モゴが小声で言う。
「前回のパスワード盗難で、折角の貯金が全部とられてたの。残金では、お昼ご飯も食べられず、飢えてるの」
闇が肩を竦めて言う。
「どんなに文明の利器が発達しても各自の警戒が足らなければ意味が無いと言うことね」
「五月蝿い、昭和初期の遺物、パソコンの事もろくに知らないで、知った口聞かないでよ!」
通が怒鳴るが、闇は、平然と自分の鞄から最新型のノートパソコンを取り出すと、学園内ネットワークに接続して、3S専用ページから問題の事件の関係者のリストを表示する。
「色々の調査の結果、魔約者は、ここにあがってる四人のうちの一人の可能性が高いらしい」
その様子を見ていた通が驚いた顔をして言う。
「どうして、パソコンを使えるの?」
闇は、大きな溜息を吐いて言う。
「漫画やアニメでも誤解されてるけど、術者、特に術式を理解したものならば、パソコンを理解するのは、難しくない。元々、術とは、架空世界に異なった常識を積み立てるもの。パソコンの世界もそれは同じ」
意外な展開に言葉を無くす通を放置してモゴが言う。
「とりあえず、この四人が魔約者になりうるだけの精神力を持ってる事だね」
静が読み上げる。
「まずは、部長の高等部二年の藤森武人先輩」
雅が独自の情報ネットワークから情報を取り出す。
「熱血部長だけど、部員を思いの所もあり。人気は、高い。担当しているのは、トランペット」
「次は、この綺麗な人、副部長の高等部二年の藤原玲魅さん」
モゴの言葉に続き再び、雅が補足説明を入れる。
「先生にも評判が高く、猪突猛進型の部長をよくサポートすると部員からの信頼も厚いわ」
「こっちのいかにもライバルそうな高等部一年の部員、藤崎優が怪しくない?」
通の言葉に雅が頷く。
「ずばりその通り、部長と同じトランペットを演奏しているよ」
闇が呆れた顔をして言う。
「するとこっちの高等部一年の藤沢命って言うのは、部長に恋してるって奴?」
雅が驚いた顔をして言う。
「ビンゴ! フルートの演奏者だけど、部長の藤森先輩に近付く為って変り種」
「しかし、よく四人まで絞り込めたね?」
通の言葉にモゴが答える。
「魔約者になるには、それ相応の魂の力が必要なんだけど、意外とそれが大きいのが解ったんだよ」
「とにかく、その四人を調査するのですね?」
静の言葉に頷く一同。
「頑張れ」
その中、一人、他人事の闇の言葉に通が言う。
「闇は、手伝わないのか?」
闇は、あっさり頷く。
「あたしは、3Sじゃないしね。それに、今日は、このコミックの新刊の発売日なの」
「なんだと!」
怒りを覚える通をモゴと静が抑えて、雅と共にクラスを出て行く。
そこに良美が来て言う。
「どうせ、余計な干渉するなって止められてるんだろう?」
闇が頷く。
「高位の人間が表に出ていたら若手が育たないからね」
良美が呆れた顔をする。
「お前だってまだ14だろ?」
闇は、遠い目をして言う。
「こんな甘い時代の八刃と一緒にしないで欲しいですね」
良美が少し鋭い目付きになる。
「ヤヤは、違うよ」
闇は、肩を竦める。
「解ってますよ。正直、三強は、当時のトップクラスに匹敵する力を持ってる。白風の次期長もね。でもあの戦いは、そんなレベルでも命懸になる最悪な物だったのよ」
暗い表情になる闇であった。
「何度も言うが、練習の邪魔をしてくれるな!」
武人の言葉に、モゴが言う。
「何度も言う事になると思うけど、魔約は校則違反で、発見次第処罰対象になる。合奏部の練習自体が中止に成らなかった事を幸運に思ってください」
睨み合う二人。
「あの本当に練習時間を削られるのは、きついのですが?」
おっとりした様子の副部長の玲魅の言葉に静が申し訳なさそうに言う。
「すいません。しかし、万が一にも魔約が長続きすると、魔約者の寿命に関る問題なので放置できないのです」
困った顔をする二人を見ながら通が荒んだ目で言う。
「容疑者全員に無理やりスターダスト食らわせば解決だね」
「冗談ですよね?」
かなり怯える命の質問に、モゴが大きく溜息を吐いてから、通を指差して言う。
「ああいう過激派が居るんで、大人しく尋問を受けて」
「何で俺達が尋問を受けないといけないんだ!」
いきり立つ、優を玲魅が宥める。
「取敢えず、あたし達四人が尋問受ければ、他のメンバーは、練習を続けていて良いんですね?」
モゴが頷くと玲魅が武人の方を見る。
武人は、必死に堪える様子をみせながら言う。
「お前達は、練習を続けてろ。さっさと尋問を始めろ」
そうして、尋問が始まった。
一人ずつ、最初は、部長の武人から始まった。
「この頃自分の力で、どうにもならない事があると思った事は?」
モゴの質問に武人は、睨み返しながら言う。
「いまのこの状況だな!」
静が怯むが、通が続けて質問する。
「問題のコンクールの自信はあるの?」
武人は、机を叩き言う。
「自信なんて関係ない。自分達の全力を叩きつけるそれだけだ」
頬を掻きモゴ達は、情報通の雅を見るが、首を横に振られた。
次は、副部長の玲魅になった。
「なぜ、この部活を?」
モゴの質問に玲魅が平然と答える。
「部長の魅力です」
戸惑いながら静が言う。
「それって、藤森先輩のトランペットが魅力的って事ですか?」
玲魅は、苦笑しながら答える。
「それもありますが、それいじょうに、部長の力強さ。正直、男性としての魅力を感じています」
戸惑う通を置いて雅が言う。
「そういえば、藤原先輩は、転校組みでしたよね?」
頷く玲魅。
「そうだけど、この学校では、珍しいことじゃないと思うけど?」
頷く通。
「確かにな、転校生が居ない日が無いくらいだからな」
「でも、転校してくる生徒には、色々問題がある場合が多いのも確かだよ。前の学校はどうしたのですか?」
モゴの質問に玲魅が悲しそうに言う。
「恋人に捨てられたのです」
重苦しい空気が流れた。
重苦しい空気を振り払う為に、次の命が呼ばれた。
「それで、貴方は、部活と武人さん、どっちが大切ですか?」
モゴのずばりな質問に命は、迷わず答える。
「部長に決まってます!」
「少しは、躊躇しろよ」
通が突っ込むが、構わず命は続ける。
「あのパワフルな性格と行動力。命は一生ついていきます!」
「でも、藤森先輩の傍には、何時も藤原先輩が居ますよね?」
雅の言葉に、命の顔が夜叉に変化する。
「あの淫乱女! 絶対、部長から引き離してやる!」
暴れだした命を外に出して最後の一人、優の番になる。
「武人さんをライバル視していましたね?」
「当然だ、一年先に生まれただけの奴に何時までも負けてられるか!」
強い意志を持って断言する優に、通が言う。
「詰り、邪魔だったって事だよね?」
優は、机を強く叩く。
「俺は、実力であいつを抜かすんだ!」
雅は、首を横に振るので、あっさりと優の尋問は、終了した。
そして事件は、その直後に起こった。
再び、淫尾蛇が現れた。
「銭の元!」
やる気満々の通に引っ張られてモゴ達は、アニライズクリスタルを掲げる。
『百母栗理との約定を持ちて、この装備を寄り座しに、輝石獣よ獣晶し、我が力になれ、爆炎鷹/烈風隼/地孔雀』
『輝石獣武装『爆炎鷹』・『烈風隼』・『地孔雀』がコールされました』
九菜作成の人工知能『HUTABA』の言葉に九菜が頷き言う。
「座標確認!」
九菜の言葉に答えて、輝石獣武装システム室の中央にある八刃学園のモデルの玄武エリアの寮が点滅して拡大映像が半球のカバーに展開される。
『座標確認終了しました』
『HUTABA』の声に九菜が頷く。
「セーフティー解除!」
『セーフティー解除。輝石獣武装『爆炎鷹』・『烈風隼』・『地孔雀』開放します』
『HUTABA』の声と同時に、円柱の水槽に収まっていた輝石獣達が、水槽を透過して八刃学園のモデルに突っ込んで行った。
空中に穴が開き、三匹の輝石獣が、モゴ達に迫る。
モゴは、素早く制服の脱ぐと、爆炎鷹が、モゴの背中につき装備が展開する。
通は、少し躊躇しながら制服を脱ぐと、地孔雀が、通の背中につき装備が展開する。
静は、制服を脱がずに、そのまま烈風準が展開されて、制服が破ける。
通が、尾羽を床に透過し、地面に展開させた状態で、九尾弓を構える。
『閃青・閃黄色鳥矢孵化』
二本の色鳥矢を同時に番え、放つ。
閃青色鳥矢は、周囲の淫尾蛇に氷をまとわりつかせながら進み、閃黄色鳥矢が、淫尾蛇を捕らえた氷に刺さった瞬間、凄まじい雷撃が氷を伝わり、一気に淫尾蛇の数を減らす。
「頑張ってるね。こっちは、力を合わせていこうか?」
モゴの言葉に頷き、静が手を前に出す。
『我が攻撃の意思に答え、炎よ尽きぬ流となれ、流炎翼』
静の手から炎が放たれる。
『エアーブースター』
炎が増幅されるなか、爆炎鷹の力で、敵を蹴散らしながら進むモゴが小さな黒い虫のぬいぐるみを取り出す。
『百母桃の名の元に、この寄り座しを用いて、ここに獣晶せよ、力集虫』
ぬいぐるみが獣晶したと同時に、それを淫尾蛇の方に投げつけながら呪文を唱えるモゴ。
『力を集めし虫、百母桃の名の元に、合わせ鏡に映せし様に増やし在れ。合鏡獣晶』
力集虫は、物凄いスピードで増えて、次々に淫尾蛇に近付く。
そして、力集虫に引っ張られて、静の炎が誘導弾の様に淫尾蛇を滅ぼしきった。
「結局、魔約者は、確定出来なかったのね?」
シロキバで、夕食を食べながら良美が言うと、通が不機嫌そうに頷く。
「タイミングが最悪だった。尋問が終った直後だったから、容疑者の全員が同じ場所に居た」
「結局、何がしたいのかな?」
ご飯をよそりながら小較が呟くとヤヤが少し考えてから言う。
「いくつか可能性を考えられるけど、多分、コンクールがらみね」
通が口を膨らませて言う。
「そんくらい解りますよ」
ヤヤは、苦笑して言う。
「何で今なのかも解る?」
通が不思議そうな顔をする中、モゴが手を叩く。
「そうか、この練習時期に問題を起こすって事は、可能性は、二つ。だれか邪魔な人間を排除して、自分がレギュラーになるか、もしくは、コンクール自体がつぶす目的だね?」
ヤヤは、較美にご飯を食べさせながら微笑み答えない。
「とにかく、その線でしらべるぞ!」
一人やる気をたぎらせている通であった。
今回のモゴの収支
○収入
魔獣(淫尾蛇)排除 050,000
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合計 = 50,000
○支出
戦闘費用については、全額支給 0.000
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合計 = 00,000
◎利益
収入 50,000
支出 - 00,000
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純利 = 50,000
●借金残高
繰越金額 257,578,100
返済金額 - 50,000
--------------------------------------------------------------------------------
借金残高 257,528,100
今回の通の収支
○収入
魔獣(淫尾蛇)排除 050,000
--------------------------------------------------------------------------------
合計 = 50,000
○支出
戦闘費用については、全額支給 0.000
--------------------------------------------------------------------------------
合計 = 00,000
◎利益
収入 50,000
支出 - 00,000
--------------------------------------------------------------------------------
純利 = 50,000
●通のサイフ中身
おこずかい残金 300
家への入金 - 50,000
退治バイト利益 + 50,000
--------------------------------------------------------------------------------
サイフ残金 300




