第三十三話:合宿その十
ついに始まった四継リレー。果たして結末は‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
ソバスチャン
「鈴木、そこからがお前の見せどころだぞ!!」
ベンチからリレーを眺めるソバスチャンはそう言った。
そして一方の鈴木はオーラを纏い、凄まじいピッチでジリジリと黒山と白山を追い詰めた。
田中先生
「ふむ、鈴木がここで二人を抜かないと、セバスチャンが一番アウトコースだから、レース展開がキツくなるのぉ、ここは鈴木の爆走にかけるしかないのぉ」
そして鈴木が50mを通過したあたりで、完全なる鈴木テリトリーが完成した。
純
「あれが鈴木先輩‥‥なんて速さだ‥‥」
セバスチャン
「チョッ、スズキソンナニトバシタラバトンアワナイネ」
そして70m地点で二人を抜きトップへと躍り出た。
純
「す‥‥凄い‥‥それに比べて僕はまだまだだな‥‥」
そして鈴木は更に差を伸ばしてセバスチャンにバトンを渡した。
鈴木が練習よりも速いスピードで走っていてバトンを合わせるのは困難な事だが、セバスチャンのバトンテクでジャストミートだった。
鈴木
「チャンスを作った、いけセバスチャン!」
セバスチャンは見事なコーナリング裁きをした。しかし黒山と白山、さらには赤山もインから入ってきた。
ソバスチャン
「兄貴、そこからが兄貴の力の見せどころだぜ」
そうソバスチャンが言い放った瞬間、セバスチャンの体がピクリと動いた。
そして次の瞬間、ついにそれは作動した。
そうコーナーを使った加速である。
しかし、ただの加速と違い、セバスチャンのやつは、半端ないぐらいに速いのだ。
明
「いいぜぇ、セバスチャン先輩、練習通りの速さだ。」
他の学校との差は3m位のところでバトンは明に渡った。
純
「行けぇ明!」
明は最初の20mですでにほぼトップスピードになり、差をさらに広げた。
純
「よし、いいぞ明」
田中先生
「‥‥‥」
そして明は50m地点でもトップのまま爆走を続けた。
明は、あと少しだと思いさらに気合いを入れた。
残り40m‥‥30‥‥20‥‥
そして‥‥‥明が勝ちを確信した瞬間だった。
耳元を通り抜ける風、そして目に入る3つの学校。
そしてレースは終わった。
明はゴール地点でたたずむことしか出来なかった。