プロローグ(改)
初執筆、初投稿です。
とりあえず小説を書き続けられるかを確かめることが第一目的です。
まだまだ未熟ですがゆっくり見守っていただければ幸いです。
俺は何のために生きているのか?
親のため?家柄のため?
田舎のエリート意識から脱け出せない親、所詮田舎の地主程度の家柄。
本来ならば日本全国、いや、世界を相手にするような仕事に就くことすら可能だったろうに、地元に戻って家を継げという親の意見、というより、とある脅迫を含んだ強硬な意見に逆らいきれず、地元で公務員などやることになった。その過程で同時に彼女さえ失った。
公務員としての生活は極めて単調。
出勤し、書類を作成し、現場を確認し、また書類を作成の繰り返し。
何か判断を迫られることがあっても俺にとって難易度は低いものだった。
そんな親の思い通りの毎日に生きる気力を失ってしまった。
そして俺は仕事帰りの夕方、こんな日々に嫌気がさして、気晴らしに車を運転し海に向かってみた。
気分が落ち込んだら海へ、なんてのはありがちなことだと思いはしたが、今思うとどうにか広い世界を感じたい一心だったのかもしれない。
スーツで浜辺に立つと冷たい風が吹いた。季節はまさに冬になろうとする頃。
広い空、広い海、遥か彼方の水平線を眺めていると、俺は何のために生きているのか?と思わずにはいられなかった。
広い世界で自由に、思うがまま自らの能力で生きていきたい。
そうしているうちに何かが身体の中で弾けたような気がした。気が付くと、俺は海に向かって走り出していた。
スーツのまま、後先など考えず海に飛び込む。意外に深いが気にしない。世界が闇につつまれるなか、沖に向かって潜る。深く深く……。
そんなことを考えながら深く潜っていると、だんだん呼吸が苦しくなってくる。やがてどうにも耐えられなくなり、生存本能に従い海面に浮上する。
スーツが身体に絡み付くが、なんとか海面に顔を出し、浅く早い呼吸をしていると、生温い風が顔を撫でた。
生温い風?そんな季節だっただろうか?
心なしか海水の温度も上がっているような気がする。
いや!?そもそもこれは海水か?
先程から唇に僅かに触れる水からは海水特有の塩辛さが感じられない。
何かが起きている。
そう感じた俺はとにかく浜に戻ることにする。
振り返ると、暗闇の中に微かに白い浜が見える。
なんとか浜に辿り着いた俺の目線の先には、あるべき俺の車が見あたらない。
それどころか、防波堤や自動販売機、公衆トイレなど来たときにはあったはずのありとあらゆる人工物が見あたらない。
いったい何が起こったのか?
人工物が無くなったことに気をとられていたが、よく見ると周囲の地形も違うようだ。
どうやらここは違う場所……、ということになるのか。
なぜだ?あんな短時間で流されてしまったのか?
まずは、ここがどこなのか、場所の確認だ。しかし、周囲に明かりはない。曇りがちで星明かりは少なく、月もない。暗闇といってもいいだろう。よく知らない土地を暗闇の中歩き回るのは危険だ。
どこに流されてしまったのか分からないが、それほどではないだろう。
どのみち明日は休みだ。とりあえず夜が明けるまでここにとどまろう。
そうと決めたら、まずはスーツなど着ているものを全部脱ぎ、水を抜き乾かす。
素っ裸だが、寒さは感じない。小春日和にでもなったのだろうか?
何はともあれラッキーということで、パンツだけを身に付けぼんやり朝まで過ごすことにする。
うんざりする家を離れて、非日常の香りがするこのひとときを楽しもうと思う。
うつらうつらしながら、久しぶりに何もかもを忘れたような夜が明けて、目の前の景色に驚いた。
海に入って知らぬ間に流されたと思っていたが、目の前に広がるのはどう見ても湖だ。
うっすら対岸が見えるし、俺のいる浜から左右を見ると対岸まで大きな弧を描いて陸が続いている。
これは湖だ。
海から湖に流されるなど考えられない。そもそも俺の住んでいる辺りにこんな湖はなかったはずだ。
どういうことだ?
ここはどこなんだ?
落ち着け。冷静にならねば。
スーツは生乾きだが、まあ着られる程度には乾いている。
とにかく人を探そう。誰かに訊くなり、何かの地図などを見るなりしないと状況が判断できない。
辺りを見渡してみる。まだ夜明けといっても、太陽が水平線からまさに頭を出そうとしているところである。
と、煙が立ち上っているのを見つけた。
煙というか黒煙である。それも一筋ではなく幾筋も。
これは……、火事か?
何かが燃えている。
山火事でもない限り、そこには人がいるはずだ。
行ってみよう。
生乾きのスーツに革靴で走る。
そこには、火事で燃える小さな村があった。
誤字脱字、表現の不十分なところなどの批評、感想をお待ちしております。
平成24年6月3日一部修正。




