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のじゃろり封印が解ける

俺は鷹城崇人。とある霊媒師の名家の一人息子だ。年は18歳。ある日、俺の家は没落した。簡単に説明しよう。俺の両親は、家に封印されていた祟り神と取引をして、破滅し、行方不明になった。残ったのは大量の金。俺は交流のあった他の霊媒師の家の保護を受けて都内にマンションの一室をもらった。もらったんだが・・・

 

「のじゃあ!崇人ぉ。ファンパオレンジ欲しいのじゃ!」

 

「じゃが様ファンパオレンジは3時にポテチと一緒にっていつも行ってるでしょ。」

 

「のじゃあ!!!欲しいのじゃ!!!」

 

「ダメです。ルール守らないと祓いますよ。」

 

「のじゃあ・・・わかったのじゃ・・・ルールは守らないといけんの・・・」

 

そう残ったのは金だけじゃない。家に封印されていた祟り神も、残った。そいつ、じゃが様も行く宛が無く、もう封印されるのは御免だと言うので俺に着いてきた。まじでどうすんだ。特級呪物ならまだしも祟り神。俺は一応だが霊媒師の力はある。だが祟り神には対抗出来ない。そんな不思議な同居生活が始まった。

 

「のじゃ!!!こいつ!!!煽り運転するのじゃ!!!」

 

「はいはい。無視しないと先進みませんよ。」

 

「ぐぎぎ。こいつ後で呪ってやるのじゃ!!!」

 

その祟り神様は、家でのんべんだらりとゲームして、おやつ食べて、寝て、を繰り返すニート。まぁ働き者の祟り神なんていたら日本は滅ぶ。このままのんべんだらりとしていれば。俺も安心出来る。

 

「のじゃあ!!!青マリモで邪魔されたのじゃあ!!!」

 

「それがマリモカート。」

 

「のじゃああああ!!!絶対呪ってやるのじゃ!!!」

 

ムキになってゲームしてるうちは呪いを振り撒かないので。ある意味封印してる・・・とも言えなくもないか。

 

・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・

 

・・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・・

 

・・・

 

・・

 

 

 

「のじゃ。崇人ぉ。」

 

「どうしたんですじゃが様。」

 

「これに行きたいのじゃあ。」

 

ある日、じゃが様はチラシを見せてきた。それは・・・肉フェス。

 

「のじゃあ!お肉いっぱい食べられる場所って聞いたのじゃ!」

 

「いや、良いですけど・・・呪い振り撒きません?」

 

「のじゃ・・・儂の真の姿を見たりすると呪われるかもしれんの・・・」

 

「じゃが様は真の姿見せたりとか、呪詛吐かないって約束出来るんなら連れてってあげますよ。」

 

「やったのじゃ!!」

 

ルンルンとバッグを持ってくるじゃが様・・・待った。

 

「じゃが様。」

 

「なんじゃ崇人。」

 

「そのバッグの中、見せてください。」

 

「のじゃあ。」

 

バッグを渡される。中を調べると・・・

 

「なんですこれは。」

 

「それは蛇の足なのじゃ。」

 

「呪物持ってこうとしてた!?」

 

「のじゃあ。ダメかのう。」

 

「ダメ!!!他には・・・これは?」

 

「それは隼の頭なのじゃ。」

 

「また呪物!!!!」

 

「他には黒珊瑚の欠片とか目玉真珠とか入ってるのじゃ。」

 

「なんでそんな呪物持ってこうとするんですか!!!」

 

「だって儂、祟り神じゃし・・・」

 

「これ持ってくなら連れて行きません。」

 

「のじゃ!?」

 

じゃが様は慌ててバッグの中身を謎空間に放り込んでいる。よし。

 

「これで良いのじゃ?」

 

「ハンカチとティッシュ、水筒と、あとお財布だけにしてくださいね。」

 

「わかったのじゃ!」

 

「じゃあ行きますよ。」

 

「のじゃ!」

 

こんな、こんな日常が、祟り神との日々である。呪いを何とか止めて、日常を過ごす。俺の戦いの日々。それが没落したとしても俺の使命だから。死ぬまでじゃが様の面倒を見ようと思う。

 

「のじゃあ崇人ぉ。」

 

「なんです。」

 

「暑いのじゃあ・・・おんぶして欲しいのじゃあ・・・」

 

「ダメです。自分で歩かないと連れていきません。」

 

「のじゃあ!」

 

・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・

 

・・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・・

 

・・・

 

・・

 

 

夏のある日。

 

「のじゃ!のじゃ!」

 

じゃが様はゲームして、俺はのんびり本を読んでいる。大学には行ってないが・・・働かなくてもなんとかなるだけのお金がある為気楽で良い。

 

「のじゃああああああ!!!!負けたのじゃあああああああ!!!」

 

「うるさいですよじゃが様。」

 

「こいつ!!!ずっと壁ハメしてくるのじゃ!!!もう許さないのじゃ!!!絶対呪ってやるのじゃ!!!」

 

「はいはい。」

 

じゃが様はすぐ呪うと言うが、呪いと言うのは割とめんどくさいもので、相手の名前がわからないと呪えない。つまり、ゲームのオンライン対戦で負けたからと言って相手を呪う事は出来ないのである。まぁじゃが様は祟り神なので相手の名前を千里眼で見てくるという手段を取れないわけではないのだが・・・じゃが様曰く、どこに居るのかわからない相手を千里眼で探すのは、鳴門海峡を泳いで渡るくらいしんどいのでやりたくないらしい。

 

「のじゃ!!!今度は儂が壁ハメ・・・のじゃああああああ!!!!!空中コンボはダメなのじゃ!!!!」

 

「コーヒーうめ。」

 

「のじゃ!!!のじゃ!!!のじゃああああああ!!!!」

 

「この本・・・密室トリックが雑過ぎる・・・レビューは星2だな・・・」

 

「ああああああああ!!!!止めるのじゃ!!!!儂の勝率が下がってしまうのじゃ!!!!ランク落ちしちゃうのじゃ!!!!」

 

「次は紅茶飲むか。」

 

「のじゃ・・・のじゃ・・・崇人ぉぉぉぉぉ!!!!」

 

「はいはいじゃが様どうしたんですか。」

 

「こいつにいじめられたのじゃあ!!!!こいつ呪ってやるのじゃ!!!!」

 

「はいはい。そう言って呪えた事無いじゃないですか。」

 

「ぜったい!!!ぜぇーったい呪ってやるのじゃ!!!儂を弄んだ事後悔させてやるのじゃ!!!!」

 

そう言ってじゃが様は自分の巻き角を掴んで念じ始めた。マズイ。千里眼で探してる。

 

「ダイヤ帯から落とした罪は重いのじゃ・・・どこじゃ・・・どこにおるのじゃ・・・」

 

「じゃ、じゃが様!?ほんとに呪うの!?」

 

「見つけたのじゃあ・・・」

 

口を三日月型に割りながら笑うじゃが様。マズイぞ・・・これは本気だ。だがどうやって止める?俺の力じゃじゃが様に対抗するのは不可能。まいったな・・・

 

「なーっはっはっはっは!!!呪いを喰らうのじゃ!!!!」

 

「わー!!!じゃが様!!!!」

 

うにょーんとじゃが様から黒い念が飛んでいく。やばい。本当に呪った。

 

「はぁ・・・はぁ・・・ふう!!!」

 

「じゃが様ダメでしょ!!!!」

 

「のじゃあ!!!儂で遊ぶのが悪いのじゃ!!!儂は祟り神なのじゃ!!!」

 

「いつも簡単に呪うなって行ってるでしょ!!!!」

 

「簡単じゃ無いのじゃ!!!千里眼まで使ったのじゃ!!!めーっちゃ疲れたのじゃ!!!」

 

「・・・ちなみにどんな呪いを?」

 

「ふっふっふっふ・・・聞いて驚くのじゃ。これは最近発明した呪いなのじゃ。」

 

「ええ・・・」

 

「これは恐ろしいのじゃ・・・呪いを掛けた儂でも恐れ慄く呪いなのじゃ・・・」

 

「なにしてんの・・・」

 

「題して!!!食べた物が全部漬物味になる呪いなのじゃあ!!!!」

 

「・・・。」

 

「くっくっくっく・・・恐ろしいのじゃ・・・一年はずっと奈良漬けの味しかしないのじゃ・・・」

 

「・・・。」

 

割としょーもない呪いで良かった。流石にゲームで負けたくらいじゃ殺す呪いはかけないか。

 

「のじゃあ!!崇人!!!3時なのじゃ!!!ファンパオレンジとポテチ欲しいのじゃ!!!」

 

「はいはい。」

 

じゃが様にファンパオレンジをコップに注ぎ、ポテチを皿に出す。わーいと飲み食い始めたのを見て、やっぱりすぐ呪う所は祟り神なんだなと再認識した。

 

「のじゃ?どうしたのじゃ?」

 

「いや・・・なんでもない。」

 

「のじゃあ。じゃあポテチ少しあげるのじゃ。」

 

「いや、のりしお味はあまり好きじゃないから。」

 

「のじゃ!!!贅沢なのじゃ!!!のりしお味が至高なのじゃ!!!」

 

「コンソメ味が最高なの!!」

 

俺とじゃが様の味の好みは合わない。

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・

 

・・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・・

 

・・・

 

・・

 

 

またある日。

 

「こーんにーちはー!!!」

 

「のじゃ?」

 

「あーこと姉か。」

 

来客があった。というのも、俺を保護してくれた家から監視が来るのだ。監視と言っても、俺が大金を持ってるのを無駄遣いしてないかとか、変に高い買い物してないかとか。霊的に変な事に巻き込まれてないのかとかそんなところの監視である。

 

「こと姉いらっしゃい。」

 

「たかちゃん!げんきしてた?」

 

「うん。」

 

「こと〜!!よく来たのじゃ!!」

 

「うん〜!じゃが様も久しぶり!!」

 

俺を保護した家は、俺が祟り神のじゃが様を連れている事を知っている。最初は一族総出でじゃが様を滅ぼそうとした。だが、ゲームして、おやつ食べて、大いびきをかきながら昼寝しているじゃが様を見て、危険性無しと判断して静観する事になった。

 

「こと?おやつ持って来てくれたのじゃ?」

 

「持ってきたよ〜!ケーキだよ!!」

 

「のじゃあ!!!やったのじゃ!!!」

 

そしてこの俺の監視役、東雲琴は身寄りの無い俺のお世話係としての側面もある。まぁ特にお世話されるような事はないが、それだと東雲琴ことこと姉はへそを曲げるので、洗濯を溜めておいたり、食器を洗わずにいたり、部屋を散らかしておいたりと世話焼きを刺激する状態にしてある。

 

「じゃあたかちゃんとじゃが様はおやつ食べててね。あたしお掃除するからね。」

 

「わかったのじゃ〜」

 

「お願いこと姉。」

 

「まっかせて!!!」

 

掃除洗濯を始めること姉。まぁ助かるには助かるが俺は全部自分で出来るので。でもなぁ。こと姉はすごい世話焼きだ。昔から事あるごとに俺のお姉ちゃんぶるし、大変だ。だがこと姉は霊的な力がすこぶる強く、並の悪霊では全く歯が立たず、じゃが様クラスの祟り神と対峙しても渡り合えるくらいの強力な霊媒師だ。なのですごい忙しい・・・はず。なのだが、結構な頻度で俺の家に来る。こと姉の実力だと東雲家の次期当主にはなれるはずなんだが・・・こと姉は実家を継ぐ気は無いらしい。

 

「のじゃあ〜ケーキ美味いのじゃ〜」

 

「はい!じゃが様ファンパオレンジ!」

 

「ありがとうなのじゃ!」

 

「こと姉、じゃが様甘やかしちゃダメだよ。」

 

「え〜大丈夫だよ〜」

 

「大丈夫じゃないよ。甘やかし過ぎて呪い連発するようになったらどうするのさ。」

 

「大丈夫だよね〜じゃが様〜」

 

「大丈夫なのじゃ〜」

 

・・・ここでじゃが様がどういう祟り神なのか説明しよう。じゃが様は正体不明、ルーツは鵺や九尾の狐に連なる大妖怪にあるようだが。詳細は不明。約束を司る祟り神で、人間と約束をして願いを叶え、約束を違えた時に尋常ではない呪いをかける祟り神だったようだ。願いを叶えると言っても、かなり歪んだ形で叶える為、良い結果にはまずならないと言う。そう、家には伝わっていた。なのにどうして俺の両親はじゃが様と約束等したのだろうか。謎は尽きない。

 

「のじゃ〜崇人・・・」

 

「ケーキもう食べたでしょ。」

 

「のじゃ〜」

 

「はぁ・・・はい。少しだけですよ。」

 

「やったのじゃ!」

 

じゃが様は・・・今でこそ、ゲーム三昧のニートだが、昔は相当暴れたらしい。無理矢理約束をして、違えさせて呪いを振り撒き、いくつもの霊媒師の一族を滅ぼした。忘れてはならないがとてつもなく怖い祟り神なのだ。今のゲーム三昧の姿を見てると忘れそうだが、決して油断してはならない。本来だと姿を見ただけで呪われる存在。今は少女の姿だが。

 

「のじゃあ〜」

 

「じゃが様今日はケーキ食べたから3時のおやつは無しですからね。」

 

「のじゃ!?せ、殺生な!!儂祟り神じゃぞ!?」

 

「ダメです。ルールは守って。おやつは1日1回。」

 

「のじゃあ〜〜〜・・・」

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・

 

・・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・・

 

・・・

 

・・

 

 

「あ、たかちゃん。」

 

「なに?こと姉。」

 

「後でお兄ちゃん来るって。」

 

「ひで兄か・・・」

 

「そんなに苦手なの?」

 

「いや・・・苦手じゃないけど・・・」

 

そんな話をしてたらピンポーンと呼び鈴が鳴った。

 

「あ、来たかな。」

 

「早いな・・・行ってくる。」

 

「うん。」

 

東雲英智。こと姉のお兄さんだ。こと姉ほど霊媒師の能力は無いけど、敏腕で次期当主候補の1人。なんだけど・・・俺を溺愛し過ぎていて・・・なんというか・・・

 

「崇人ぉぉぉ〜〜〜〜〜!!!!」

 

「わぷ・・・」

 

家に招き入れる度に熱烈ハグである。圧が強い。

 

「崇人!!!元気だったか?」

 

「はい。ひで兄もみたいですね。」

 

「それはそうだ!健康じゃないとこんな仕事出来ないからな!」

 

「上がってください。」

 

「ああ!」

 

ひで兄はヨドアシカメラの大きな袋を持っている。これは・・・

 

「おお!英智!」

 

「じゃが様、ご機嫌いかがでしょうか。」

 

「うむ。英智も息災なのじゃ?」

 

「はい。一族皆、意気揚々でございます。」

 

「良かろう。」

 

「して、じゃが様、早速ですが此度の貢物でございます。」

 

「おお〜〜〜〜〜!!!流石英智なのじゃ!!!」

 

ひで兄がじゃが様にヨドアシカメラの袋を渡す。やっぱりじゃが様用だったか・・・ひで兄は東雲家の中でもじゃが様には穏健派だ。大人しくしているなら今後とも大人しくしてもらおうという派閥。まぁじゃが様を退治するとなったら相当な血が流れる事だろう。退治出来たとしても東雲家が残っているかどうかは怪しい。そんなんでも退治すべきだという人がいるが・・・

 

「おおおお〜〜〜〜〜!!!!プラックステーションファイブなのじゃ〜〜〜〜〜!!!!これ欲しかったのじゃ〜〜〜〜〜〜!!!!」

 

「ではじゃが様、これにてしばらく・・・」

 

「うむ、約束は守ろう。これでも約束を司る神なのじゃ。祟り神じゃが。」

 

ひで兄は、じゃが様と約束をしている。これはシンプルなので違えないし、ちゃんと叶った。約束はゲームを献上するから暴れないで欲しいと言うもの。

 

「やったのじゃ!!!スーパーロードファイターシックスとブレイクブルーとギルティゴアストライブまであるのじゃ!!!英智は太っ腹じゃの〜〜。」

 

「これくらい安い物でございます。」

 

「うむ!!!ではまた頼むのじゃ!!!」

 

「はい。」

 

「お兄ちゃんごはん作るから手伝って。」

 

「はいはい。」

 

じゃが様はゲームをセッティングして初めてしまった。俺はこと姉とひで兄と一緒にごはんを作った。

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・

 

・・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・・

 

・・・

 

・・

 

 

「崇人。」

 

「何?ひで兄。」

 

「話がある。」

 

ごはんを食べ終えて、ひで兄と一緒にお風呂に入った後・・・最初はこと姉が一緒に入ると言い出したのでなんとか止まってもらった。そしてお風呂上がりのアイスを食べ、こと姉がお風呂に行ったら、ひで兄は何か真剣な顔で話を切り出してきた。どうしたんだろう。

 

「崇人、鷹城家に伝わる封印術は知っているか。」

 

「え?一応・・・やった事は無いけど・・・」

 

「今も出来るか?」

 

「出来る・・・はず。」

 

「本当は崇人に危険な事はして欲しくない・・・だが、どうしても崇人の力を借りないといけないんだ。」

 

「ひで兄・・・わかった。なにをすればいいの。」

 

「ウチに、悪霊を祓って欲しいという依頼が来たんだ。だがそれは悪霊では無く、野良の神仏に値する存在の祟りでな・・・琴はそういうのをやりたがらない。だから封印術に長けた鷹城家に何とか出来ないかと思って・・・」

 

「なるほど・・・確かに今ウチの資料は全部、持ってきてあるよ。一度調べ直したいからそれでもいい?」

 

「構わない。だが、急いでくれ。このままでは災害級の天罰が降ることになってしまう。」

 

「わかった。急ぐよ。」

 

「のう崇人。」

 

「なにじゃが様。」

 

「その神仏、儂がなんとかしてやるのじゃ。」

 

なんだ・・・?基本的に、じゃが様はこっちの仕事に口を挟む事は無い。何か企んでいるのか?

 

「じゃが様、良いのですか?」

 

「良いのじゃ英智。儂はもう封印が解けて全盛期の力を取り戻しているのじゃ。そこらの信仰の薄い野良神仏なんぞ取るに足らないのじゃ。滅ぼしてやるのじゃ。」

 

「それはありがたいのですが・・・じゃが様、は、何故?」

 

「・・・。」

 

「じゃが様?」

 

「じゃが様どうしたの?」

 

「頼みが、あるのじゃ。」

 

「頼み?」

 

「そうじゃ・・・」

 

じゃが様が・・・頼み?そんな事初めてだ。なんだろう。

 

「ちょっと崇人には頼み辛いのじゃ。だから英智なのじゃ。」

 

「わかりました。出来る範囲でやりましょう。」

 

「うむ。いつ行くのじゃ?」

 

「すぐ行けるならば・・・」

 

「ならすぐ行くのじゃ。」

 

「わかりました。崇人も良いか?」

 

「あ、はい・・・」

 

じゃが様の頼みというのはわからない。だけどじゃが様がちからを貸してくれるならこの一件はすぐに片が付くだろう。そして翌日。俺たちは東雲家の本家、宮城県仙台市に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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