表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/84

五重の塔7

五階へ続く重い扉を押し開けた。

中は広い大広間。中央に、場違いなほどぽつんと椅子が一脚置かれており、そこに一人の人影がうなだれて座っていた。

顔は見えないが、あの髪の色、間違いない。


「待たせたな。」



軽く手を挙げて声をかけると、その人物はゆっくりと立ち上がり、こちらへ歩み出てきた。



「やっと来たか。見事に全員揃っているようで何よりだ。」



「よく言うぜ。あんな試練用意しておいて、危うく脱落しかけたんだぞ。」



「確かに、二階とかは大変だったかもな。」



「いや、四階。」



「四階は・・まぁ何か有ってもおかしくはないけど。」



「から五階の通路。」



「それは俺関係ないと思うんだが。」



「バカ言え!きっかけを作ったやつが悪いに決まってんだろ!あの精神年齢を下げる部屋のせいで散々だったんだぞ。どういう仕掛けだよ。」



「あれは魔法だよ。昔、脳波に干渉できる奴がいてな。その能力をコピーしただけだ。」



ほんと、コイツすげぇな。これ以上の驚きなんてそうそうないぞ。



「どうしたのシエン?さっきから目を丸くして。」



「お、お兄ちゃん?」



「嘘だろ?!」



「最速で記録塗り替えられてるわね。」



「そりゃそうだろ。え、神の兄?どういうことだ?」



「シエン、お前のことも待っていたぞ。この転移者のPSを見て、もしかしたらと思ったんだ。」



「やっぱり、本当にお兄ちゃんなんですね!今まで一体どこに・・。」



「ちょっと待って。」



トキが間に入るように声を上げた。



「あなた、シエンの兄というのは本当なの?」



「あぁ、そうだ。」



「じゃあ証拠を見せてくれるかしら。」



確かに、姿を自由に変えられるPSの使い手もいる。シエンの兄を偽ってる可能性は捨てきれない。



「仕方ない。S-バースト!」



シユウが叫び、両手を前へ突き出す。瞬間、腕からスライムがボタボタと垂れ落ちた。



「血縁関係は間違いねぇな。」



「バカ。相手は能力をコピーできるのよ。他人の技を真似ただけかも知れないわ。」



「うん。それに、PSは普通一人一つだしね。」



「いや、それは違うよ。」



シラスの発言を、シユウが否定する。付け加えるようにトキが解説をした。



「シラス。神は通常、PSを二つ持つの。一つは転移者に分け与えるためにね。」



「え、そうなのかい?」



「あぁ。俺のも、元はシエンから与えられたものだ。」



つまり、こいつは転移者に渡さず、自分で二つの力を持っていたということになる。最も、一つはクソ使えない能力だと思うが。



「そう、このスライムを腕から出す能力が、生まれつきのPSだ。これに愛想を尽かした俺は、転移者を呼ぶと嘘をつき、もう一つ能力を手に入れたということさ。」



「となると、やっぱりお兄ちゃんなんですね。」



「そうだ。久しぶりだな、シエン。と言っても、お前は俺のことを覚えてないだろうが。」



「そんな昔から会ってないのか?」



「はい。昔に家を出て行ったとしか聞いてません。なので、姿を見たのも写真だけです。」



そうなのか。じゃあよくわかったな。



「待て、じゃあ転移者じゃないって事か?」



「そうだ。知りたい情報、これで知れただろ?」



「ちげーよ!俺が知りたいのは敵の転移者の情報!お前、まさか敵ですらないのか?」



「ふ、それは違うぜ。」



「な!」



すると、瞬きする間に移動するシユウ。いつのまにかシラスの背後を取っていた。



「俺は敵の転移者と、闘技場を通じて知り合っていた。何故か、死体を欲しがってたんでな。」



死体を欲しがる?!何の目的でだ。悪趣味にも程があるだろ。



「メアリースー様への会い方を教えてやろう。ただし、コイツの命は貰うがな。」



「おっけー、頼んだ。」



「お願いするわ。」



「あれ、コイツそっちの仲間だよな?」



困惑しているシユウ。捉える相手を間違えたな。



「そうですけど、やむを得ません。シラスさん!死んでください!」



「いや、二十回目はちょっと・・。」



「いや一回目で言え!と言うか、どんだけ殺されてるんだ?」



そりゃそうなるよな。生き返るなんて奇天烈にもほどがある。



「シラス、大丈夫よ。貴方が認知してないだけで、百回は普通に超えてるわ。八十回分ぐらいお得よ。」



「ならいいか・・。」



「本人なら良いなら良いけど、つまり生き返るPSって事か?」



「そうだ。今更前言撤回なんてさせねーぞ。」



「それは良いが、ほら。」



すると、シラスの手首に銀の輪っかを付けるシユウ。あれはまさか・・?!



「これならどうなるかな?」



そして、サバイバルナイフをポケットから取り出し、背後から首を切ろうとするシユウ。



「ま、待て!」



虚しく静止は間に合わず、シラスは喉を掻っ切られた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ