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王様ゲーム2

「それじゃあ、丁度シラスさんも戻ったし、次行きましょう!」



太郎以外の四人がコップに割り箸を戻し、シエンがそれを混ぜる。傷がついてるのはこれで二本。それを避ければ、二分の一で王様だ。



「では、王様だーれだ!」



掛け声と共に、傷のない割り箸を引こうとする。が、直前でトキに取られてしまった。急いでもう一つの方を引く。さて、トキが何って言うか様子を見よう。



「私が王様ね。」



そう言い、優雅に割り箸を掲げるトキ。だが大丈夫。今回、俺は番号を確認していない。つまり、心を読まれても番号の特定がされな・・。



「二番がデスソースを飲む。」



即答?!と言うことは・・。嫌な予感がし、チラリと握った割り箸を確認する。そこには二番と書かれていた。



「さぁ勇、早く飲んで頂戴。」



「待ってくれ。何でバレたんだ!」



おかしい。ちゃんと対策をしたはずなのに!



「対策してたからよ。」



「何?!」



「何も考えてなければランダムだったわ。実は、さっきの二回目のゲーム。あなたが避けていたのを、あえて引いてみたの。そしたら、一回目に勇が引いた割り箸と同じ数字。ここで印を疑ったわ。だから今度は、貴方が引こうとしていたのを引いたの。そして、残った三つの中で貴方が選ぶのは、貴方の引いてない二番よ。四番は太郎の手元に残ってるしね。」



「くそっ」



そう吐き捨て、歯を食いしばる。握りしめた拳が震え、額には冷や汗が浮かんでいた。トキの策略に完全に嵌められたことを悟り、胸の奥で怒りが燃え上がるのを感じる。



「俺が何をしたって言うんだ。」



「ずるいことするからよ。」



トキの笑顔は、光を湛えた刃物のようだった。甘美な外見の下に隠された鋭い知性が、俺の心を切り裂いていく。



「くそ、これでいいかよ。」



やけになって、デスソースを一気飲みし、空瓶をドンと勢いよく机に置く。



「・・やるじゃない。」



「勇さん・・つらくないんですか?」



「つれーよ。」



喉の奥がヒリヒリするのを感じ、思わず目を細める。しかし幸か不幸か、那由多に飲まされた時に耐性が出来ていたみたいだ。さて、仕返しの時間だ。



「ちなみに、まだ続けるんだろ?」



「私は三人に飲ませれたので、溜飲がさがって満足なのは満足なんですが・・。」



この野郎、なんて悪い性格してやがる。どうにか勝負に持ちこませないと。



「シエン。王様の命令なら、部屋に置いてるスライムを捨ててやらんこともない。」



「まだ飾ってるんですか?!絶対捨ててもらいます!勝負です!」



よし、一人釣れた。リスクはでかいが、そんなこと言ってられない。仕返ししないと、俺の気が収まらないし。



「私はもう抜けるわ。シラスはどうするの?」



シエンの顔が真っ赤に染まる一方で、トキは涼しい顔で状況を楽しんでいた。緊張と余裕、羞恥と愉悦が同じ空間に共存していた。



「勿論するよ!」



お、シラスは参加か。いい流れだ。この三人でやるなら、リスクは少ない。



「分かったわ。じゃあ、勇はその割り箸戻さないでおいて。」



そう言い、コップに王様の割り箸を戻すトキ。続いて、シエンとシラスもそれぞれの割り箸を戻した。



「分かった。じゃあシエン、頼む。」



「はい!王様だーれだ?」



今あるのは、一番、三番、そして王様の割り箸だ。最初二つは目印を入れてるから・・って、全部に目印があるじゃねーか!トキ、やりやがったな。



「睨まないで頂戴。ここからは公平にしなさい。」



「くそ、分かったよ。」



彼女が王様の割り箸にも同じ目印をつけたせいで、判別できなくなってしまった。割り切って渋々と割り箸を取る。すると、そこには王様と書かれていた。



「よっしゃ!俺が王様だ!」



よし。どんな命令にしてやろうか。可哀想なことをさせたくはないから、俺に利益があるやつ。



「トキ。王様の命令は絶対なんだよな?」



「ええ、そうよ。何でも好きなことを命令していいわ。それが、下着を見せるとかでもね。」



こいつ、俺がしたい命令を読み切ってるな。にしても、許可がでるとは意外だった。じゃあ遠慮なく行こう。



「おっけー。じゃあ、一番と三番には下着姿を見せて貰おうか。」



「そんな!トキさん、困ります!」



「そうだよレディ!恥ずかしいじゃないか!くそ、まさか勇が僕の下着を見たいだなんて・・。」



「おい勘違いすんな。お前はついでだ。それに、シエンの下着が見れるなら、巻き込まれてもいいだろ?」



「僕は紳士だからそんな事で喜ばないさ。」



風呂覗こうとしてた奴がよく言う。また怒られそうだから言わないけど。



「だからレディ、止めてく・・う!」



すると、話す途中で机に突っ伏すシラス。



「あれ?なんで死んだ?」



「寿命でしょう。」



「んな訳あるか。ポケットでスイッチ押してたろ。常に仕込んでる毒針を起動させたんだな。何を企んでる?」



「別に、私が殺さなくとも寿命で死んでたから。」



結果オーライみたいな言い方してるけど、ただの人殺しやぞ。



「勇、命令は下着姿を見せるだったわよね。」



「・・そうだが。」



「じゃあ良かったわ。」



「トキさん!全然よくないです!」



トキ、なんか抜け道を教えようとしてないか?



「シエン、早く命令を遂行するんだ!」



「そうね。早く見せてあげなさい。下着姿は、貴方のものじゃないといけないわけではないわ。」



「・・何を言って。」



「そっか!じゃあシラスさんの服を脱がせば、下着姿を見せるはクリアできるんですね!」



「こじつけじゃねーか!」



「でも筋は通ってるわよ?良かったわね、シラスの下着が見れて。」



「いやもう脱がさなくていい!くそ、どうしていっつもこうなるんだ!」



こうして、この王様ゲームは男性陣がデスソースを一気飲みさせられるだけで完結した。

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