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ワクワクウサウサデスランド2

「改めて、こいつはパーティーメンバーのトキ。うちの頼れる頭脳だ。ちなみに髪が赤いのはイッ!・・何でもな・・い。」



横で俺の右腕を力強く抱き、ニッコリと笑い挨拶をするトキ。おかしいな。髪が赤いのは返り血のせいってまだ言ってないのに、何を怒っているんだろうか。



「そのことで怒ってるのよ。」



「先読みの怒りなんて聞いたことないんだが。さては、俺をいじめて楽しんでるな。」



「楽しませるの間違いでしょ?」



「そもそもその思考が間違いだ。」



二人でコソコソと話す。何で勝手にドM認定されてんだ。



「そんなことより、早く紹介し直してくれるかしら。」



仕方ない。次はうまく言おう。



「こいつはパーティーメンバーのトキ。とても優しいお方だ。」



「ちゃんと根拠もお願い。」



根拠、、?実績がないのにどうやって示せと。とか思ってるとまたやられるな。仕方ない、当てはまりそうな事を言うか。



「多分、前科無しだ。」



「殺すわよ。」



そう言って関節を決められる。だから多分がつくんだよ。



「ちゃんと優しいじゃない。あなたが財布落としてもちゃんと拾うし。」



「ふーん。その後は?」



「拾った人のものよ。」



「渡すまでが優しさだ!」



「何言ってるの。そんなことしたらもったいないお化けがでるでしょ。」



「んーいや、もったいないお化けはでるだろうけど!」



結局この中に優しい要素なんて一つも含まれてねーじゃねーか。



「コホン、まぁ良いわ。飛鳥さん、以前うちの勇がお世話になったようで。ありがとうございました。」



一つ咳払いをし、平静さを保って挨拶するトキ。



「僕は飛鳥と言います。お世話になったのはこちらの方です!勇さん、改めて本当にありがとうございました。そして彼女は、僕担当の神のアベニールです。」



「・・宜しく。」



挨拶を返す飛鳥と、そっぽを向いてそう言うアベニール。どう見ても不機嫌だ。



「すみません、今朝は楽しみにしてくれてたんですけど・・、どうしたんだいアベニール?」



隣の彼女を心配そうに覗き込む飛鳥。



「別に、何でもないわ。ウサウサグッズなんていらなくなっただけ。」



「え、その為に来たんだろう?だとしたら・・、もう帰る?」



「・・そうは言ってないわ。いらないけど、一応買うのは買うから。」



「ちょっ、待ってよ!すみません勇さん、先に行きます!」



そのまま入場していくアベニールと、律儀にお辞儀をして、彼女を追う飛鳥。なんだウサウサグッズって。神とは言っているが、中身は見た目通り子どもなんだな。それ目当てでアイツらはカップルのフリしているのか。



「・・彼女、死んでしまうこと彼に言ってないのね。」



横で考え込んでいるトキ。アベニールの心境を読んで、心配してくれてるんだろう。



「みたいだな。そもそもさっきの会話を聞く限り、アベニールは今日死ぬと思ってなかったっぽいな。」



「そうね。死ぬ状況までは分かっても、日にちまでは分からないのね。ちなみに、予知は絶対なの?」



「今のところ絶対だそうだ。ただ、今まで予知に逆らった事がないらしいし、変えられる可能性はある。死ぬ予知が見えた時まで生きる為に、予知の通りに生きてきたんだとよ。」



「・・成る程ね。後はどんな予知を見たのかだけど、それを聞いてしまうと、私たちの動きが変わって、未来で予知した時より前に死んでしまうかも知れないってことね。逆もまた然りだけど。」



話が早い。その通りで、それを聞いて仕舞えば、彼女が死ぬ時の状況になるまでは死なないと安心しきってしまう。その油断によって、それより前に死ぬ可能性もあれば、逆に死ななくなる可能性もあるだろう。ややこしいな、どうすれば良いんだ。



「未来のことなんて、どうせ分からないのだから、考えるだけ無駄よ。予知が見えようが見えまいが、皆いつかは死んでしまうのだから。」



「それはそうだけど、その中でも今日は危険って事は分かってるんだから、何か対策が出来た方がいいだろう。」



「なら、人のことを考えてる余裕なんてないわよ。」



「え、今日何かあるのか?」



「彼女が死ぬと言うことは、近くにいる私たちが死んでもおかしくないのよ?」



・・彼女の言う通りだった。死ぬ原因が敵に襲われるとかであれば、最悪全滅も考えられる。どうして自分は安全だと思い込んでいたんだろうか。なんなら、俺と会う時に死ぬって言ってたから、俺が原因の可能性まである。そう考えると焦ってくるな。



「だから、私たちは起こったことに全力で対処するだけ。いくら予知が見えようと、実際起こってみないと、どうなるかなんて分からないし。さぁ、行きましょう?」



腕をぐいっと引っ張り、ワクワクウサウサランドへ向かうトキ。普通、こんな事に巻き込まれると、不平をこぼしてもいいんだが、ずいぶん大人だな。



「ほんと、よく出来たパーティーメンバーだよ。」



「今日は彼女よ。感謝なんていいから早くして。ウサウサグッズが売り切れてしまうわ。」



お前もそれ目当てなのかよ。大人だけ、少し撤回しようと思った。

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