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混浴チャレンジ

「鍵がかかっているみたいだね。く・・。」



「ちょっと鍵借りてくる!」



女湯の前で膝をつくシラスと、従業員を呼びに行った馬鹿太郎。お前何の用事で女湯の鍵を欲しがってるのか聞かれないと思ってんのか。ちゃんと自分がしてることに背徳感を感じろ。



「くそ、ダメだ!そこにいた従業員さんに聞いたけど、鍵が無くなったみたいなんだ。今、外から開ける手段は無いらしい。」



「レディ達が覗かれないように鍵を持って行ったのかも知れないね。」



そんなことするか?随分用心なこった。余程信用がないようだな。こいつらの人格のせいだな。



「仕方ない、じゃあこの鍵で入るとするか。」



「勇、その鍵はどうしたんだい?」



「拾ったんだよ。」



「犯人君じゃないか!」



ちげーよ。落ちてたのを拾っただけだ。



「そんな事はどうでもいいだろ。さっさと行くぞ。」



鍵を開けた後、覗き込もうとするも、自分の行動に少し罪悪感を感じる。まぁ大丈夫か。よし、脱衣所には・・誰もいないな。とりあえず下着を拝むとするか。



「何をしてるのかしら?」



なんて思ってると、後ろからトキの冷たい声が響く。いつもより低いトーン、まるで怒りを言葉に乗っけて発してるかのようだ。



「よう、俺らも温泉に入ろうと思ってな。」



腹を括り、いつの間にか後ろにいたトキに違和感なく挨拶をする。振り返ると、彼女の表情は声に反してにっこりと笑っていた。



「女湯に入ろうなんて、どれだけ自分を過信しているのかしら?あなたの命が惜しくないなら、自由にやってもいいけど。」



笑顔から滲み出た殺意を、六感が感じとる。くそ、この世界も混浴したらダメだったのか。しくじった、なんとか誤魔化そう。



「すまんすまん、気づかなかったんだ。どうやら間違えて入ってたみたいだ。な、皆んな。」



そう言って左右も二人に助けを求める。



「そうなのか?」



「どうなんだい?」



「もっと口裏合わせておきなさい。」



いや、合わせずともここは分かるところだろう。おい誰かこの馬鹿どもを摘み出せ。



「あれ、どうして皆さんがいるんですか?」



「・・よからぬことでも考えてたのでしょう。とりあえず死刑ですわね。」



遅れてトキの後ろから、着替えを持ったシエンとリデルが到着する。



「覗くだけで死刑?!常識ないのかい?!」



「あら、覗こうとしたの。常識がないわね。」



一瞬で論破されるシラス。語るに落ちすぎだろ。こいつらと犯行に及ぶのは絶対無理だ。俺だけでも助かるとしよう。

大丈夫、俺は覗こうとはしてなかった。正直に言えば伝わるはずだ。



「俺は覗こうだなんて思ってなかったぞ。」



「一緒に入るのもダメよ。シエン、ここに釜戸ってないかしら。一人入りそうなぐらいの。」



「入れる気か?!疑惑までそこまでするなんて、魔女狩りかよ。」



「何でまだバレてないと思っていますの?」



リデルから軽蔑の視線を感じる。何で俺の企みまでバレてんだよ。くそ、どうなってんだこの世界の常識。



「すまなかったねレディ達、覗いたらダメだとは思わなかっ・・。」



その言葉を最後に、糸が切れた人形のように、奇妙な姿勢で転がるシラス。トキの手には何かのスイッチが握られていた。やばい、迂闊なことを言えばまじで殺される。



「どうしてダメなんだ!覗いたらダメだとか一緒に風呂入ったらダメとか訳のわからん事ばっかり!」



「全部筋通ってますわよ・・。」



「勇さんもいやらしい事考えてたんですか?」



シエンが大きな瞳でこちらを覗き込んでくる。俺はただ、この世界の法律を確認したかっただけで、いやらしい事はついでだ。いや、ついででも不味いか。兎に角否定して様子を見よう。



「・・いや、考えてないぞ。」



「いま、間がありましたけど。何を考えてたんですか?」



「教えましょうか?」



「やめてくれ。」



横槍を入れられる。相手サイドに心読むやつがいる時点で、誤魔化すのは無理だと早めに気づくべきだった。



「ま、勇はいいわよ。ここに居ようが居まいがお仕置きする予定だったから。」



「ん、俺何かしたっけ?」



そう思い思考を巡らせる。まさか、カマをかけて俺の余罪を暴こうとしてるのか?!表情を見せまいと、腕で顔を隠す。



「誰が世界を滅ぼしかねないって?」



世界を滅ぼす・・?あ、そう言えば太郎の尋問をしてる時に、トキに対してそんなこと思ったな。くそ、あの時こっちの事なんて一ミリも見てなかったくせに、何でわかるんだよ。適当か?



「そんなこと思ってないぞ。勘違いだ。」



「思ってないなら、何の話だ?とか言うと思うのだけれども。脈絡ないし、誰も私の事とは言ってないわよ。」



「卑怯にも程がある。」



「あら、確信はなかったのだけど。という事は本当に思ってたのね。」



そういい首根っこを掴まれる。確信がないとか絶対嘘だろ。



「じゃあ、言い訳なら鉄格子越しで聞いてあげるから。」



そうならない為に言い訳を言わせて欲しいんだが。それこそ、風呂でもゆっくり浸かりながら。

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