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神のPS

「本当に厄介ね!」



NDに飛ばされて数十分。私トキは、まるで虎の影が具現化したかのような、体長ニメートル程の化け物にずっと追われていた。とりあえず相手に視覚は無いのは確認済み。聴覚でこちらの位置をざっと知り、嗅覚で正確な位置を捉えてると言った感じなのよね。ただ、火薬の匂いでは誤魔化せれなかったし、人間特有の匂いをしっかり捉えているみたい。倒そうと思ったのだけれど、爆弾を投げても無傷だし、ナイフを投げても擦り抜ける。どうやら、攻撃を受けるタイミングだけ実体を消せるみたい。となると攻撃してくるタイミングでカウンターを仕掛けるしかない。ただ、爆弾にも限りがある。化け物が何体いるかわからない以上、すぐ使うわけにもいかないわね。



「ヴォオオオオオオ!」



なんて思考しながら逃げていると、化物が咆哮し、飛びつき襲いかかってくる。それを木を使って上手く避ける。木にぶつかるたびに鼻と耳をピクピクさせて、またこっちに突進してくるの繰り返し。どうにかして匂いを誤魔化せれたらいいのだけれど・・服を脱ぐのは嫌だし、何かいい案はないかしら。



「あれ、トキさん!合流できました!!」



「やぁレディ、一人寂しくはなかったかい?」



なんて考え込んでいると、シエンとシラスが目の前に現れる。素晴らしいタイミングね、我が下僕達。となると・・、



「最悪死体を使えばいいかしら・・。」



「こっちを見て言ってるけど、まさか死体って僕のことかい?!まだ死んでないからね!」



「これから死ぬこと予期してるんですね・・。」



「いやそんなつもりは・・、え、ないよね?」



目の前でコントをしている二人。音を出した為、すぐこちらに気づいた化物。攻撃してくるタイミングは実態があるだろうし、それに合わせてシラスを爆発させてたら対処はできる。でも、ここはND。シラスが現実で復活する為、一度しか使えない秘策になるわ。このNDに来るには、太郎がスイッチを押さないといけないし。そして、他にも化物がいるかもしれないと思うと、極力その方法は残しておきたい。だとしたら・・、そうだわ!



「シエン、ゲロを吐きなさい!」



「レディ?!耳を疑うような言葉が聞こえたんだけど?!」



「わかりました!S-バースト!ゴボ、ゴボボボボ・・う、うぅゴボボボボ。」



「リトルレディも、即答でオーケーするような内容じゃなかったと思うんだけど?!」



PSとゲロを言い間違えをしてしまったにも関わらず、流れるようにシエンが水色のスライムを地面に吐き出してくれる。その瞬間、彼女特有の甘い香りが漂いだした。これで化物はスライムに攻撃するようになる。



「今の内に離れるわよ。音は立てないでね。」



小さい声で二人に指示を出し、その場から離れる。二人はこくこくと頷き、ゆっくりと私についてきた。




※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



しばらく歩いたところで、後ろを見て足を止める。何も気配がないことを確認し、ふっと警戒を解いた。もう大丈夫よと、手振りで示す。あれだけの濃い匂い、化け物はあの辺りで当分混乱するに違いないわ。



「それより何だったんだいあの化物は?この森にはあんなのが住んでるのかい?」



「それもですし、他の皆さんが急に消えてしまいましたのは、何が起こったんでしょうか?」



あら、二人はここがNDってことに気付いてないのね。まぁ景色も森のままだし、無理もないけど。



「ここはNDよ。太郎によって、皆適当な場所に飛ばされたの。」



「え、ここNDなんですか!?」



「成る程、だからあんな化け物もいたんだね。」



驚き、納得する二人。とある理由から、NDなのは間違いないわ。しかし、肝心な脱出方法がまだ未確定なのよね。太郎がここに来てれば良いのだけれど。あの時、先に聞いとけばよかったわ。



「困ったことに、もしかしたらあれを倒さないとここから出られないのかもしれないわ。その時の為に、早く仲間たちと合流しましょう。それとシエン、先程はお手柄よ。」



「私のPSが役に立ったんですよね!とんでもないです!」



喜んでそう言うシエン。以前彼女のPSの使い所を考えたことはあるのだけれど、まさか本当に使える時が来るとは驚きだわ。これからどう成長するのか、期待ではなく、好奇心としても楽しみね。これからも頑張ってねと、頭を撫でる。



「そう言えばレディ。ここに来て数分後ぐらいに、丁度今歩いてる方角から爆発音のようなものが聞こえたんだ。」



「そうなの?」



撫でる手をひっこめ、シエンに問いかける。



「はい。トキさんと合流する時も音を頼りに来たので、こっちにも誰か仲間がいそうですね。」



そう言った彼女の視線は、少し寂しそうに私の手の行方を追っていた。撫でて欲しいのなら、柄じゃないし、後で適当に勇にでもお願いしとこうかしら。それより爆発音・・、仲間とは限らないけど、進むためには行くしかないでしょうね。リデルの能力の可能性が高いし、大丈夫だとは思うけど。



「じゃあ、急いでこのまま進みましょう。もしかしたら勇が危険な目に遭ってるかもしれないわ。多分大丈夫だとは思うのだけれど。」



彼はああ見えて思考が柔軟だし、何より適応性が高い。きっとここがNDということにも気付いて、上手く化け物も攻略してるでしょう。なんて思ってると、前方から騒音が聞こえる。近くで誰かが争ってるわね。



「誰か走ってきてませんか?」



薄暗い木々に囲まれてるせいで、シルエットが分かるぐらいで、人物は特定できない。確かに、誰かが化物に追われてこっちに逃げてきてるわね。あれは・・。



「お、皆いるじゃねーか!!良かった!シエン、ゲロだせ!」



「勇、無事だったんだね!いやそれより、君もその挨拶感覚でするゲロオーダーは何なんだい?!」



「また私の出番ですね!任せて下さい!う、ゴボボボボボボボ・・。」



「やっぱり応じるんだね!リトルレディ、なんで乗り気なんだい?!」



再会早々酷いことを言うわね。全く、この男は女の子に対してなんてデリカシーが無いのかしら。

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