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決意

「特訓しましょう!」



唐突にシエンがそんなことを言い出す。皆、ポカンとしていた。



「あぁ、頑張ってくれ!」



とりあえず、適当に親指を突き出しておく。トキ相手でなければ、大抵のことはこれで乗り切れる。



「なんで他人事なんですか!勇さんもするんですよ。」



流石に馬鹿にしすぎた様だ。



「まぁしてもいいんだけども。ただ一つ言えるとすれば、鶏はどう頑張っても飛べないってことだ。」



「酷いです!私のこと鶏に見えてるんですか!?」



へぇ、やっぱりこの世界にも鶏はいるんだな。



「シエン、勇はあなたに成長の見込みがないって言ってるのよ。」



何でせっかく人が包んだオブラートビリビリに破いていくんや。



「もう、私だって成長してるんですからね!」



そう言い胸を張るシエン。そうですかと思いつつ、W-サーチを起動する。



弱点 : お化け (76 53 78)



全く、お化けが怖いようじゃ成長してるって言われてもな・・って待て。前見た時って確か、75じゃなかったか?



「成長してる・・、やるじゃねーか。」



「ええ、いろんな色のスライムが自由に出せるように・・って何でもう感心してるんですか!」



ごめん、そのポンコツPSに興味はない。こんなことをわかってしまうとは、なんて恐ろしいPSなんだ!



「どっちにしろ、特訓は必要よ。今回のことで更に実力不足がわかったわ。いざという時の作戦も考えておきたいし。」



話を戻すトキ。実際その通りだ。今回だってみんな死んでてもおかしくない。運が良かっただけだ。



「て言っても、具体的にどうするんだ。師匠がいるわけでもないし。」



「シエンには私が魔法を教えるわ。勇は、お爺さんから格闘を教わって。」



「了解じゃ。わしが一から鍛えてやろう。」



さらっと使われる爺さん。普通に承諾してくれるんだな。確かにあの速度で俺が動けるようになれば、相当強くなれる。どんな感じで教えてくれるのだろう。



「レディ、僕はどうすればいいのかな?」



「あなたは特訓なしでも十分よ。私たちの方について意見をもらうわ。」



「ふ、そういうことなら任せてくれたまえ。」



髪をかきあげるシラス。つまり鶏(見込みなし)ってことか。魔法の実験台にでもされるのかな?



「とりあえず今日は解散ね。ギルドにも転移者がいたことについて報告しないといけないし。」



「そうですね。相手にも転移者がいるとなると、またクエストも変わってきますからね。」



ギルドがその事実を知らないのであれば、一刻も早く伝えるべきだな。



「じゃあまた後日、よろしく頼むぜ爺さん。」



「了解じゃ。それと皆、NDから出してくれてありがとうな。」



「クエストのついでよ。気にすることはないわ。」



その恩があるから、しれっと爺さんに格闘術教えさせようとしたんだと思ったんだが、気のせいだったという事にしておこう。とにかく、特訓の日が楽しみだ。



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※




「おーい、爺さんいるかー?」



転移者クエストが終わって次の日。俺は格闘術を学ぶ為、森の奥にある爺さんの家にまで来ていた。レンガでできた一軒家、小洒落た感じに好感を持つ。コンコンと、ドアを二回ノックした。



「入っていいぞー。」



すると、家の中から返事が来る。ん?どう考えても女の子の声だったが、とりあえず入ってみるか。

ドアノブを回し、ゆっくりと扉を開ける。するとそこには、図書館にでも入ったかのような光景が広がった。壁一面に並ぶぎっしりと詰められた本棚。部屋の奥で、幼女がロッキングチェアーに揺られ分厚い本を読んでいる。俺の方を見ると、本をパタンと閉じ、机に置いた。



「よく来たの、すぐにでも始めるか?」



めちゃくちゃ道が複雑だったので、家を間違えたのかと思っていたが、そういう訳ではなさそうだ。となると、



「爺さん、幼女に変身する趣味があったのか。」



相手はじじい言葉ではあるが、薄ピンクのツインテールが特徴の、小学三年生ぐらいの容姿だった。まぁ別に人の趣味を否定するわけではないが、そういうのは人目につかないところでやってほしい。



「違うわい!こっちが本当の姿じゃ!」



立ち上がって反論するロリ。つまり、爺さんに変身する趣味のある幼女ってことか?もうどっちの方が変態なのかわからん。



「わしはPSの代償で、年を取っても姿が変わらんのじゃ。だから普段外に出る時は爺さんになってるんじゃよ。」



・・まぁその姿だと色々不便だし、話し方がそれなら爺さんに変身するのも納得っちゃあ納得か。性別まで変える必要はないと思うけど。



「成る程ね、まぁ姿なんて何でもいいや。それより、特訓の方を頼むよ。」



「良かろう、格闘術だったかのう?」



そう言いながら、とてとてとこちらに歩いてくるロリ。威厳ないなぁ。



「そのつもりだが、もしかして魔法が本職だったりするのか?」



周りを見た感じ魔法の本ばっかりだ。床にも幾何学的模様が書かれてるし。



「これは研究しとるだけじゃよ。魔法は使えないと思ってくれとる方が助かるわい。」



「ふーん、いかにも使えそうって感じだけどな。じゃあ格闘術の方、よろしく頼むわ。」



「了解じゃ。任せてくれい。」



二人して外に出る。数分歩き、雑草が蔓延る平野へと着いた。

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