表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダイバー入門  作者: きむらきむこ
7/31

7 新パーティ、ダンジョンに行く

 また土曜日がやってきた。

京香たち六人は、話し合って遠出とまでは行かない程度に遠い初心者用ダンジョンで待ち合わせた。


「教会ダンジョン」先日研修会を主催した田中DP㈱が、主に使用しているダンジョンだ。別にダンジョンに占有権があるわけではないので、どこのダンジョンに行っても良かったが、ダンジョンの近くにあるという会社を見てみたかったのだ。


 最寄り駅からちょっと歩いて、田中DP㈱を横目に見ながらダンジョンに到着。田中DP㈱はきれいな社屋と工場のような建物と、社員寮なのか小さめの団地みたいな建物が敷地内にあった。それだけで一つのちいさい町みたいだった。


 教会ダンジョンの周りも静かな住宅街になっていて、ダンジョンの入口が撮影のセットみたいに浮いて見えた。


 受付でカードを出して入ダン手続きをしてから、簡単に先日の打ち合わせを確認してから、ダンジョンに入った。


「この間も言ったけど、私たち、ダンジョンに入るの二回目なのよね」

「まあ僕らもそれほど経験してるわけじゃないから、しっかり警戒していこう」


 教会ダンジョンは二階くらいまでは、ほとんどスライムと薬草に果実採取の、安心安全設定のダンジョンだ。私たちのような初心者やシルバー世代、子連れの不慣れな親ダイバーがやってくる。


 他の初心者ダンジョンと違うところは、下層の五〜六階あたりに田中DP㈱の採取部門の人が潜っている、というところだ。


 初心者が戦うにはちょっと勇気の必要な、三階や四階のダンジョン蜂やダンジョン蟻も適当に採取部門の人が間引いてくれてるので、ダイバー講習で配布のパンフレットにも

「超初心者向け」とお薦めされている。


 前回ダンジョン蜂に襲われた私たちは、言ってみれば、そう、怖気づいていたのだ。藤井くんたちとも話し合って、あまり恐怖感のないダンジョン、ということで此処を選んできたのだ。


 研修会で習った通り、三人一組で一人が警戒に当たるようにスライムを叩く。手を上げて横断歩道を渡る幼稚園児のような気持ちがして、気恥ずかしいが、ダイバーとしての私たちは幼稚園児とさほど変わらないのだ。


 時間で交代しながら、ダンジョンの中を移動して二階に下りた。ここでも基本通りの警戒をして、周りの常連ダイバーさん達からの、微笑ましい視線を浴びた。


「私、交通安全教室帰りの幼稚園児みたい」と私が言うと、藤井くんは「僕もだいたいおんなじ事考えてた、自転車教室の方だけど」と言って笑った。


「尾形がキレないうちに、もう一階下りない?」と寺田くんが言った。尾形くんを見ると明らかに不本意そうだ。


「尾形、もうちょっとしたら、三階に下りるから我慢して〜」と寺田くんが尾形くんに声を掛けた。


「大丈夫、最初だからね、連携に慣れるまではこんなもんだよね」と尾形くんはさっきまで不本意に恥ずかしそうだったにも関わらず、そう答えた。


「そうだよね、俺達初心者なんだから、最初って基本からだよな」


藤井くん達によると、尾形くんは調子に乗りやすいタイプらしいから、モンスターに突っ走っていかないか心配していたのけど、今日は私たちがいるからか、慎重に動いていてホッとしたらしい。



 



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ