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ダイバー入門  作者: きむらきむこ
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5 初心者ダイバー研修 2

 ざわざわしていた周りも、講師の人が入ってきた途端に静まった。…というか、一瞬静まってからまたざわついた。

というのも、講師の男性がすっごく小さかったから。多分160センチを超える私より背が低いと思う。


 あ、あの時の人だ。私たち三人は顔を見合わせて頷いた。講師は、室内を見回して私たちを見てちょっとだけ嬉しそうな顔をした。


「はじめまして、講師の浜崎です。普段は田中DP㈱でダンジョンの採取部門で働いています」


 浜崎さんの自己紹介を聞いて、またざわめきが起こった。

浜崎さんが採取部門で働いているのが、信じられないのだろうなと考えて、私もダンジョンで会ってなかったら、声を上げる方に居ただろう。


 浜崎さんは、ざわめく周りを手を叩いて静めてから、今日の研修内容について説明を始めた。私たちも説明を聞きながら、テキストを確認し、周囲も浜崎さんの話に引き込まれていった。


「今日の午前の研修はこれで終わります。午後からは体育館で行いますので、動きやすい格好で来てください」と、浜崎さんは言って部屋を出た。


「座学面白かったね〜。パーティーの連携の仕方って、実際にあんなふうに動けるかなぁ」里ちゃんは、テキストの図を見ながら言った。


「午後から身体使って練習するんでしょ〜。頑張ろうね」とお弁当を食べながら、三人で励まし合った。



 午後からは主に魔力の制御をいかに上げるか、がメインだった。浜崎さんが言うには、制御がきちんと出来ているとフレンドリーファイアーが防げるし、使える魔法の幅が広がるのだそうだ。


 参加者たちでテニスボールを魔法で包んで持ち上げる、などの練習をしたが、先ずボールが持ち上がらない。浜崎さんはものすごく簡単にやってみせ、ボールを自分の周りにグルグルと回して見せた。「慣れるとボールも増やしていけるよ」と言って、10個くらいのボールを自分の周りで操った。ボールはぶつかることもなく浜崎さんの周りを衛星のように廻っている。


「火を使うとこんな風になる」と言って浜崎さんはボールを一つだけ、青い炎で燃やして消した。

「今日は体育館だから、火を使うと火災報知器が発動しちゃうんで、今度は氷にするね」と言って、残りのボールを全部凍らせて、粉々に消し去ってしまった。この間のダンジョンの蜂みたいだった。


「スッゲー」その場に居た全員が声に出していた。


「これは、水魔法の派生で使えるようになるし、かなり便利だから練習してみると良いよ」

浜崎さんはなんでもないように言ったけれども、それを使えるようになるのに、どのくらいの練習が必要になるのか、それを思うと私は気が遠くなった。


「ダンジョンではモンスターは男だからとか女だからと、区別してくれないからね。それと上手く魔法制御が出来ると、体格的に不利な僕みたいなものでも、モンスターは倒せるようになる。だから女子たちも頑張ってね」


 浜崎さんはそう言って、研修会を締めくくった。


 研修会が終わってから、三人で浜崎さんに挨拶に行った。

 

「先日はどうもありがとうございました。お陰で怪我もなくダンジョンを出ることが出来ました」


「たまたま居合わせて良かったよ。今日の参加は先日の反省からかい?」


「ええ、そうなんです。私たちももうちょっと連携が取れるようにならないと、ダンジョンに行くのは無理だなって、話し合ってて」真奈ちゃんがそう言った。


 



 

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