表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダイバー入門  作者: きむらきむこ
3/31

3 ダンジョンの中で

評価、いいね!ブックマークをありがとうございます。

 受付の前で3人で集合し、入ダンした。田舎の小さいダンジョンにしては、ダンジョン省の人が管理しているという、どちらかと言うと珍しいダンジョンだった。


 ダンジョン省は昔のファンタジー小説に因んで、ギルドと通称されている。もちろんここの責任者はギルマス(ギルドマスター)だ。本当に地方の管理されていないダンジョンは、入口を塞いで勝手に人が入れないようにされている。まぁそういうダンジョンを専門に回ってモンスターの間引きをしてるのが、家の親(うちのおや)みたいなダイバーなんだけど。


 ここにギルドがあるのは、近くにポーション屋さんがあるからだ。ポーション屋さんは大抵お茶屋さんが兼業してて、お茶農家さんの多い地方には、ポーション屋さんも看板を上げることが多い。そのポーション屋さんに卸す薬草や果実をギルドが買い取るので、小さいダンジョンにもギルドが併設されるわけなのよ。


 ポーション屋さんも自分の魔法のランク上げのために、ダンジョンに潜ることがあるし、薬草やポーションの納品の為にもギルドがあるのは助かるらしい。これはお父さん情報ね。


 真奈ちゃんと里ちゃんは、まだあんまり魔法が使えないらしいけど、スライム狩りと薬草採取が主な目的なので、ちょっと油断してたのは確かなのよね。浅い層だから、ダンジョン蜂が巣を作ってたのに気が付かなかったのよ。


 果樹園の方に近づいていた二人が、走って私の横を通り過ぎて行った。「蜂、蜂がいるよー」と言って。


 一瞬何を言われたのか分からなかった。耳から入った音を脳が理解するのに、時間がかかった。「…はぁ?」

気がつくと蜂に囲まれていた。ダンジョン蜂は普通の蜂に比べるとサイズが大きく、気性がスズメバチ寄りで獰猛だった。


「逃げないと!」と思ったが、既に囲まれているのでどうしようもなかった。羽音と共に近寄ってきた蜂をウォーターバレットで叩き落とした。


 ウォーターバレットは水魔法で作る弾丸のようなもので、レベル1で出来る初歩の水魔法だ。なんとか使えはするものの、蜂の数が勝っている為に被害を受けるのは必至だった。


「助けは必要ですか?」と声がかかった。落ち着いた男性の声だった。


「お願いします!」私はウォーターバレットで蜂を落としながら、大声で答えた。


 途端に辺りを飛んでいた蜂が全て、凍って砕けていった。羽音も消えて一面を静けさが制した。私は声も出ないくらいに驚いていた。


「大丈夫?お姉ちゃん?」子どもらしい幼い声が聞こえた。


「あ、ありがとうございます。助かりました。ありがとう、大丈夫よ」前半は助けてくれた男性に、後半は声をかけてくれた男の子に答えた。

 

「蜂に刺されてるなら、ポーションは持っているかい?」


「京香ちゃん、大丈夫だった?」真奈ちゃんと里ちゃんが、走って来た。


「こちらの人に助けてもらったので大丈夫、刺されてもないし」


「本当にありがとうございます」私は深々とお辞儀をしてお礼を言った。こんなに心を込めてお礼を言ったのは初めてかもしれない。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ